2010-02-28
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 馬の歩様は一般に「常歩(ウォーク)」・「速足(トロット)」・「駆歩(キャンター)」・「襲歩(ギャロップ)」の4種類といわれています。

  しかし、実際には6種類とも8種類ともいわれているようです。

 左は馬の「側対歩」 (WIKIPEDIAより)。「速足」は対角線の前後肢が同方向に動く、しかし「側対歩」は同側の前後肢が同方向に動くのです。

 日本に伝わる馬術では、この「側対歩」が重宝されたようだ。上下動がないので馬上で安定したといわれている。

 動物で言うと「ラクダ」「側対歩」であるくことで有名。

 「側対歩」「常歩」の変形(応用)とも考えられる。しかし、「常歩」より速い・・・・・。

 ユーチューブで動画を見つけました。

 馬の「側対歩」を考察すると、「順回転の常歩」も重要であると思います。

 現在、私たちが紹介しているのは肩が側方から見るとタイヤが逆に回るように動く「逆回転の常歩」しかしその逆の「順回転の常歩」もあるのです。

 トップスピードの連続動作を身につけるならば「逆回転の常歩」が有効、しかし日本の武術(武道)のように動と静を繰り返す動きには「順回転の常歩」が必要に思えてきました。

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 昨日は、午前10時ごろから近鉄奈良線で大阪に向かいました。ホームに車両が入ってびっくり、奈良公園の紅葉と鹿のデザイン。

 上本町で小山田さんと合流、大阪国際交流センターで開かれました「SSKコンディショニングセミナー」に参加させていただきました。講師は小田先生と小山田氏、今回のテーマは水平感覚。最近、常歩(なみあし)研究会が提案している感覚です。

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 水平感覚とは、私たちが動作をするときに最も大切な感覚と動き。

 まず、左右の目を水平に保つこと。これらの教えは武術などに受け継がれていて「鼻筋を直に保つ」とか「二目平視」などといわれています。

 この水平感覚を実現するためのトレーニングも紹介されました。徐々に水平感覚が知られることになると思います。

 セミナー後は、SSKの古賀さんにおいしい中華料理をご馳走になりました。詳しくは常人歩人氏のブログへどうぞ。

 昨年(2009)の世界陸上でまたまた100Mの世界記録を塗り替えたボルト選手。彼の走りについて、ベースボールマガジン社の陸上競技クリニック(vol6)に貴重なデータが掲載されています。そして、元400mハードラーの山崎一彦氏(福岡大)が、左右非対称があたりまえ、という記事を書いておられます。

 9秒58(世界陸上ベルリン大会)のボルト選手の40歩のピッチとストライドの全データがグラフになってでています。(JISSの松尾氏の分析)。

 最初の左右合計10歩(最初の10歩)までは、右足のピッチが(右着地から左着地まで)4.5から4.7歩(毎秒)で、左足(左足着地から右足着地まで)が3.8歩(毎秒)から始まり、だんだん速くなり右足のピッチにトータル10歩目で追いつきます。ここまでで3秒かかっています。

 そのあとの17歩(最初から言うと27歩目まで)が、左右足とも4.5歩毎秒をキープします。最後の13歩ですが、あいかわらず最後までボルトの右ピッチは、4.5歩(毎秒)をキープ、ところが左ピッチは、ゴールにむかって徐々に低下し4.25歩(毎秒)くらいまで下がっています。

 ストライドは、8歩まで急激に伸びてゆきます。1歩目が1mの歩幅で、8歩目が2m35cmくらいまで直線的に伸びていきます。その後、17歩目まで、右左とも徐々にストライドが2.35mから2.75mまで伸びてゆきます。

 最後の13歩ですが、ピッチをキープする右足から左足までのストライドは、ほんのわずかにストライドを縮めて2.6mくらいを維持します。ピッチを急激に落とす左足から右足のストライドは2.9mくらいまで伸びてゆきます。

 文章では分かりずらいのですがイメージしてみてください。私はピッチの変化に注目しました。

 スタートからゴールまで、右のピッチ(右から左)は4.5~4.6歩(毎秒)であるのに対し、左のピッチ(左から右)は3.8~4.5歩と幅があります。このことは何を意味しているかというと、左に重心(基準)があるために、左から右へのピッチが変化するのだと考えます。

 右のピッチに変化がないのは、左基準であるために右から左に自然に(自重を利用して)もどっているためと思われます。

 左のピッチに変化があるのは、左基準ですから自在にピッチを調整できるからだとしているからだと思われます。これは走動作だけではなくて、ピッチが変化している側(この場合は左)に基準があるという共通点があるのではないかと考えられます。

 他の選手のデータが分かりませんのでなんともいえませんが、ボルト選手は本来200Mが得意ですから、このようなデータが明確にでたのかもしれません。

 それにしても、左右の違いがデータとして注目されたことは画期的なことだと思います。

 何度が、本校(奈良高専)に、カメルーンからの留学生がいることは紹介してきました。今日の授業で、彼のサッカープレイを動画にとりました。

 昨年4月から、彼の身体に注目しているのですが、日本人にはない特性はやはり骨盤の前傾です。

 (動画掲載に関しては本人の承諾あり)

 彼が日本人の学生の中に入ってバスケットボールやサッカーをしていますと、全くからだづかいが違うことに驚かされます。

 スポーツは好きなのですが自国では一般的な青年だと思います。動画をよく見てください。動きの中で骨盤の前傾を保つことがとても上手い。もちろん後傾することはあるのですが、一瞬にして前傾に戻ります。

 日本人と何が違うかと見ていますと、骨盤が後傾しても胸が閉じません

 彼を見るたびに、日本人の身体特性は明らかにあるのだと感じます。日本人のための技術やトレーニング法が必要だと思います。

 先日、気になる論文がネイチャーに掲載されたらしい・・・。

 シューズを履いたランナーの4分の3はかかとから接地する。しかし、裸足のランナーは、圧倒的多数がかかと接地せず、拇指球やそのやや外側で接地しているらしい。かかとを接地させない走りは、足(脚)への衝撃回避になると報告されています。

 最近、フォアフット(ストライク)走法を提唱している方々も多い。足の接地をかかとではなく、フォアフット(前足部)にするというもの。それによって膝・足関節などへの衝撃がやわらげられるというものです。

 フォアフットヒールコンタクトとどちらがいいのか?というような論争にもなってるようです。

 なんで、どちらかに決めたがるのかな〜〜、というのが私の感想。

 正しい歩き方や動き方などない・・・、という理由と同じで正しい接地方法などない、と思われます。

 正しいか正しくないか・・と考えると動きは難しくなる。その人(選手)に適している(合っている)か適していないか・・・。

 足・膝・股関節が合理的に機能すれば、かかと接地が有効。接地と同時か直後、足関節が背屈(屈曲)し膝関節が前方に送り込まれることができれば、かかと接地が可能となります。

 足関節と膝関節の屈曲は、股関節の外旋が条件となりますので、やはり常歩の外旋ストレッチが大切。

 股関節の内旋傾向が強い方は、かかと接地はブレーキになると感じるのかもしれません。フォアフット走法の方が動きやすいと感じると思います。 

 裸足のランナーといえば、オリンピックローマ・東京の両大会で金メダルを獲得した故アベベ選手、ユーチューブで動画を見つけました。

 アベベ選手は、典型的なヒールコンタクトのフラット走法です。動画の一コマを抜いてみました。右足接地の直前です。

 ヒールコンタクトとフラット走法を分けてとらえるのは乱暴。ヒールコンタクトで全身が上手く機能すればフラット走法に・・・・。 

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 走動作で速度が上がっていけば、接地時間が短くなり、また体幹が前傾すればヒールコンタクトしなくなる傾向があります。しかし、その場合も前頸骨筋とハムストリングの収縮による膝の送り込みと体幹の乗り込みが重要

 そのようにとらえると、かかと接地は一つの象徴的(客観的)な事象で、総合的な身体動作の中で考える必要があります。

 そして、もう一つ足部の接地方法と関係がある重要な事項があります。それは・・・足部の骨のアライメントです。

特に「踵骨(しょうこつ)」と「距骨」の位置関係は重要です。  

記事「驚異のインソール」をご覧ください。

記事「フォアフット(2)」へ

休日を利用して呉の大和ミュージアムへ。

一階のフロアには10分の1の戦艦大和が展示されています。また、隣のフロアには、零式戦闘機なども・・。
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常歩研究会では、戦闘機について論議したこともあるのです。
日本と欧米(米国)の戦闘機開発の違いをお聞きするととても興味深い。
例えば、当時日本が誇った戦闘機

ゼロ戦」

は徹底的に軽量化が図られていました。そのために、
パイロットを守る甲板が座席後部に無いのです。
 開戦当時から、報告されていたにもかかわらず「パイロット諸君は自らの命を最優先に考えるとは情けない」という参謀会議の決定から、改良されなったといいます。
 一方、米国は、墜落したゼロ戦を本国に持ち帰り、解体して徹底研究し、後にゼロ戦も歯が立たないといわれたグラマン・トムキャットを開発しました。しかし、それはゼロ戦のように軽量化するのではなく、反対に大容量のエンジンを持たせ、しかも座席後部に頑丈な装甲板を配置した機体だったそうです。
 

 日米の文化や考え方の違いを知ることも大切だと感じた一日でした

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   私たちは「屈曲(感覚)で動く」ことが合理的動作につながると考えています。しかし、その動きやイメージがつかめない人が多いようです。

 その最も大きな要因は「はきもの」。かかとが高い「はきもの」を、幼少時から履いてきた若者に、この「屈曲感覚」を伝えるのは容易ではありません。

 上の写真は「足半(あしなか)」という「はきもの」。戦国時代は武士は日常的にはいていたようです。江戸時代になると農作業などでも使用されたらしい。草履(ぞうり)に似ていますが、かかとの部分がありません。

 かなり前から、その「足半」を模したサンダル(健康のためのサンダル)が販売されるようになりました。以前は、「かかとが着かない」というようなコンセプトだったようですが、最近では「足のゆびとかかとが地面につく」というように変化してきています。

 まさしく、屈曲感覚で履く「はきもの」だと思います。この足半については、神戸大学大学院の高橋昌明教授が「日本人の歩き方」として投稿されています。是非、ご覧ください。

2010-02-01
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  常歩(なみあし)研究会が提唱してきた「垂直感覚⇒体幹を垂直に立てる感覚」をさらに発展させた水平感覚

 武術などでは、頭部を傾けない」という教えが残っているようです。「五輪の書」(宮本武蔵著)では「鼻筋を直にして、少し頤(おとがい)を出す心なり」とあります。頤(おとがい)とはあごのこと。「鼻筋をまっすぐにたてて、すこしあごを出す感覚」というわけです。

 また、中国武術とくに太極拳では「二目平視」という教えがあります。常に両目が水平になること。

 日本では「目を水平にする」という教えはほとんど聞きません。日本では縦(垂直方向)、中国では横(水平方向)の感覚が強いのかもしれません。

 この水平感覚は、視覚だけではなく平衡感覚にも関係すると思われ、身体動作において絶対感覚を生み出すと考えられます。

 下の写真は、このHPでも何度もご紹介した和歌山さんのコーナーリング。両目のラインに注目。

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