上肢を巧みに操作する・・
リオデジャネイロオリンピック女子卓球団体戦は銅メダル、男子団体は強豪ドイツを破り決勝戦へ進出した。
身体動作学からその特性にせまってみよう。
卓球競技の特性は比較的軽い(190〜200g)ラケットを巧みに操ること。そのために必要な身体操作は主に「抜重」と「肩甲骨の適正位置」だ。
「抜重」とは膝の操作によってカラダが宙に浮いた局面をつくりだすこと。足が接床しているときには腕を高速に振ることはできない。体幹の重心を制御する必要があるため上肢を素早く操作することができないのだ。
そして、もう一つは「肩甲骨の位置」だ。
近年、肩甲骨が自由に動くことの重要性が注目されてきたが、動作の中で肩甲骨にテンションをかけ固定させることが必要となる。
日本の伝承的身体運動でも、肩甲骨を適正位置に収めることは重要視されてきた。その一つの方法が「たすき掛け」だ。
また、武術では手のひらで「クルミ」を回転させる訓練方法があった。「クルミ」を素早く回すためには「肩の適正位置」が不可欠である。
「なみあし身体研究所」では手の親指にある負荷をかけることによって、肩甲骨を適正位置に収めることを推奨している。
五体治療院に通う、競輪の北野良栄選手(95期・元プロ野球選手・」写真)が手の親指にある負荷をかけることによって肩甲骨が適正位置に収まることを発見。研究所公認トレーナーの山田宗司氏が中心となって「テノウチ」(写真)を開発した。
この「テノウチ」は肩甲骨の適正位置だけでなく、上腕を外旋へ導くことができる。
実は、「肩甲骨の適正位置」と「上腕の外旋」が手に入ると、肩甲骨へのテンションのかけ方だけで、上肢が思いのままに素早く動作するようになる。
卓球では以前はペンホルダーというラケット保持の仕方があった。現在では、多くの選手シェイクハンドグリップを用いている。この変容も、身体動作の立場からみれば当然である。
シェイクハンドの方が「肩甲骨の適正位置」と「上腕の外旋」をつくりだすことが著しく容易である。