集団訓練の功罪

2017-04-07
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 本学新入生宿泊研修では、グループや全体での集団行動に時間を割いています。チームワークや帰属意識、または達成感の醸成が目的であると考えられますが、動作の観点で考察するとメリットばかりではないと思います。

 明治維新により日本人の「身体性」が著しく変容したと言われています。この変容には大きく二つの要因があります。一つは、生活習慣の変化にともなうものであり、もう一つは明治政府の政策によるものです。

 明治政府は徴兵令を公布し多数の農民からなる軍隊を構成することとしまし。しかし、この徴兵令による国民皆兵化には大きな障壁がありました。それは、当時、国民の大部分をしめた農民には集団移動能力が欠如していたのです。つまり、行進ができなかったのです。そこで、学校体育の中で行進を徹底的に訓練しました、義務教育過程に兵式体操を採用しましたが、その内容は本来のものとは異なり、隊列をととのえての歩行が中心でした。さらに、同様の施策が音楽教育にもみられたのです。行進ができない原因の一つが、それまでの日本にマーチ(行進曲)のリズムが欠如していることに気づいた政府は、「文部省唱歌」をつくり、マーチの音楽に合わせて歩くことを訓練させました。

 さて、足並みをそろえて行進ができるとはどういうことでしょうか。地面を踏みしめるタイミングを一致させる必要があります。すると、着地脚の膝や足関節(足首の関節)を伸展させるアクセント(感覚)が強くなってきます。逆に、膝や足関節を屈曲させる動きは消失していきました。

 日本人が行進ができなかった主要因は、膝などを前方に送り込む「屈曲動作」による歩行形態であったためと考えられます。集団訓練は、徐々に日本人から武術的身体を奪うことになったと考えられます。

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