ワールドカップサッカー決勝トーナメント進出
2018ワールドカップサッカー、予選H組最終戦、日本はポーランドに0−1で敗れたものの、H組2位で予選を突破し決勝トーナメントに進出した。
別会場で、コロンビアがセネガルに先制したため、日本は試合終了前約10分間、積極的に攻めることをせず、ボールを回して失点を防ぐ戦法を選択した。
決勝トーナメント進出の可能性を考慮すれば、最も確率の高い戦法を選択したといえる。
しかし、この戦法に対しては賛否両論が伝えれている。
北アイルランド代表のマイケル・オニール監督は英BBCの番組で「指導者として、別の試合で何が起きるかに運命をそっくり預けるとはあぜんとする。日本が好きになっていたのに、正直、次戦ではボコボコにされてほしいと思う」と突き放した。
仏スポーツ紙「レキップ」(電子版)は、「後半30分まではさして面白くない試合に過ぎなかったが、残りの15分はあまりにみっともなかった」と酷評。「日本は決勝トーナメントに進めると考えて、10人でパス回しを始めた。結果、日本は予選を通過したが、栄誉は伴わなかった」と評した。
60年ぶりにワールドカップ出場を逃したイタリアのコリエレ・デラ・セラ紙(電子版)は「フェアプレーの逆説」として、日本は「失点を恐れ、延々とパス回しをして時間をつぶすことに決めた」と報じた。一方のポーランドにも「2点目を挙げる必要がなかった」と指摘。「先に進むためには免責されるのか……」と疑問を投げかけた。
さて、日本ではあるスポーツライターの方が、「この試合は、日本人のスポーツに対する考え方の転換期になるかもしれない」と語っていた。
日本の身体運動を考察すれば「勝敗とは異なる価値観が有する」ことがその特性であった。勝つことも重要だが、それと同様がそれ以上に大切な要素が存在するとされてきた。それは、ありきたりな正々堂々と戦うというようなことではなく、技術や技能の優劣と競技の勝敗は一致しない場合もあるという考え方である。
確かに、戦法としては有意義であったが後味の悪さが残ったことだけは確かだ。そして、前述のスポーツライターの方が指摘したように、この勝利が日本人の勝敗観を変える契機になるかもしれない。