2015年05月02日

伊藤選手が五輪女王に惜敗 世界卓球

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 昨日、帰宅したら世界卓球、伊藤美誠選手とオリンピック金メダリスト李暁霞の試合が・・・。思わず見入ってしまった。どちらのランキングが上かわからないほど、14歳の伊藤選手は堂々としていた。

 セットカウント2−4だったが、内容的には互角の戦いだった。ジュースのときにポイントを取りきっていたら、どういう結果になっていたかわからない試合だった。

 しかしながら、動作を比較すると改善点がある。卓球のようなラケットや腕を高速に振る動作では、抜重が大切となる。必ず抜重しながらでないとラケットを高速に振ることはできない。抜重には「沈み込み抜重」と「立ち上がり抜重」があるのだが、伊藤選手は日本の女子卓球選手の中でも「沈み込み抜重」を駆使できる数少ない選手である。フォアのスマッシュは「沈み込み抜重」で動作しているが、その他はほとんど「立ち上がり抜重」を使っている。一方の李選手はほとんど「沈み込み抜重」を使っている。膝を伸展しながらボールをラケットでとらえることがほとんどない。これは両選手の身長差も影響しているかもしれない。非常に強い精神力が評価されている伊藤選手、動作に関してはまだまだ改善の余地がある。

 是非、世界のトップを目指してもらいたい。

2015年03月27日

カギは「左荷重」にあり

剣日特集.jpg 3月25日(水)発売の雑誌「剣道日本」5月号に、「左荷重」についての記事が掲載されました。

 現代剣道でも、さかんに「左」の重要性が言われます。

 「左のひかがみ(膝の裏)を張る」
 「左の軸をつくる」
 「左を動かさない・・」

など。しかしながら、それらの教えは「伝統的歩行」を原理とした動作の教えだということが分かってきました。多く剣士は「現代的歩行」を原理とした剣道を実践しているのです。

 剣道は「歩行法」を基礎とした「動作原理」を解明することによって解き明かすことができます。

 昨年、発刊させていただいた『日本刀を超えて〜「身体」と「竹刀」から考える剣道論』の剣道日本の紹介文には

『著者は「日本刀」でないもの、しかしまぎれもなくかつての日本人が持っていた伝統に答えを求めた』

とあります。

私自身、剣道をこよなく愛するがゆえに、剣道の伝統をいかに受け継ぐかということの実践と研究に人生をかけてきました。剣道の伝統は「日本刀」の操法ではなく、「日本刀」の操法を支えていた「歩行原理」を現代剣道に当てはめることによって受け継がれると考えられます。

2015年03月19日

「身体動作における二軸動作の効果の実証」

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 北海道教育大学函館校、人間地域科学課程、地域創生専攻、地域文化分野の4年生、岩崎真美さんにお願いし、学士課程論文「身体動作における二軸動作の効果の実証」の抄録を送っていただきました。

 昨年、ボウリングの講習会で函館を訪れましたときに、会場まで足を運んでくださり、二軸動作に関する研究をしたいとのことで、講習会を受けていただき、その後、少し話をさせていただきました。

 論文では、6名の被験者に二軸動作のトレーニングをを課し、「20メートル走」と「アジリティテスト」をその前後で実施しています。その結果、「20メートル走」において明らかな有意差が認められたと報告されています。

 岩崎さんが二軸動作を知ったのは、中学2年次で、所属していたサッカー部の顧問から指導を受けたと記されています。その結果、男子選手と当たり負けしなくなり、短距離走の記録が大幅に縮まったそうです。

 論文作成中に、ご本人の走動作の動画等を拝見させていただきましたが、とてもよく二軸動作を理解し習得されています。そして、運動能力が非常に高いことが見受けられました。

 短期間の指導で二軸動作の明らかな効果が実証されたことは、大変有意義な結果であると思います。二軸動作を研究課題として取り上げていただいきました岩崎真美さん、そして、指導教員の北海道大学函館校、吉村功教授に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 岩崎真美さんの益々のご活躍を祈念いたします。

 なお、抄録はこちらからダウンロードください。

2014年12月16日

石川選手、卓球ワールドツアーグランドファイナル優勝・・・・おめでとう

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 卓球の石川佳純選手が、卓球のワールドツアー・グランドファイナルの女子シングルスで日本勢として初優勝。強豪の中国勢は出ていなかったとはいえ快挙である。

 講演会や講習会で、よく石川選手の身体操作に関しては紹介させていただいていた。上はそのスライドである。理由は、日本の女子卓球選手の中で唯一「沈み込み抜重」がつかえる選手だからだ。「抜重」というのは両足を床(地面)から離してカラダを浮かせること。「抜重」することによって、腕が素早く、もしくは巧みに動くのだ。多くの競技で「抜重」を使っている。剣道の跳躍素振りも「抜重」によって竹刀を早く振る稽古である。

 「抜重」には「立ち上がり抜重」「沈み込み抜重」がある。「立ち上がり抜重」は卓球に限らず多くのプレーヤーが無意識に利用しているが、「沈み込み抜重」を使える選手は少ない。その中で、石川選手は「沈み込み抜重」を利用している。

 「立ち上がり抜重」は予備動作が大きいのに対して、「沈み込み抜重」は予備動作がない。そのために相手が反応できないことが多い。
 「抜重」という観点でいうと、「立ち合上がり抜重」はスポーツ技術に多く見られ、「沈み込み抜重」は武道(武術)で多くみられる。そして「沈み込み抜重」ほぼ静止状態から生み出される。よって、スポーツの動きと違って、武道(武術)は「静」に特性がある。

2014年11月22日

身体動作講習・・・

 約2年間、陸上部の学生と身体動作研究会を開催してきました。約2〜3週間に一度の割合。そのくらいの頻度でも、身体操作の感覚は全く変わってしまいます。

 彼自身も、自己ベストを更新することができました。卒業を控えて「身体動作法の教え方を学びたい・・・」ということで、引き続き講習会を開催。剣道部の学生を相手に歩行を指導。

 途中から私が打突動作と歩行を協調させる講習を・・・・。このタイミングで竹刀を振り上げることが「伝統的打突」⇒「常歩剣道」へと移行します。この左足への荷重で振り上げ動作が発現することは剣道の基本であったのです。しかし、現代では、ほぼ逆のタイミングで竹刀を振り上げる剣士がほとんど。

 実際に指導するときには、歩行と打突動作の関係を指導する必要はありません。剣道の稽古で右荷重と左荷重のタイミングを教えるだけでいいのです。そのタイミングを教えると剣道は劇的に変わっていきます。左のかかとは下がり「ひかがみ」が伸びてきます。左のこぶしは正中線から外れなくなっていきます。

2014年10月16日

左荷重

yodaike1.jpg 「常歩(なみあし)」の大きな着眼点に左右がある。元々、カラダの左右特性の研究から「常歩(なみあし」ははじまった。

 剣道に伝わる教えに、「ひかがみ(膝のうら)を張れ」「左足の踵を下げよ(接床させるのではない)」などがある。

 しかしながら、現代の剣士(特に若い剣士)は、そのような教えとは逆の動作をしている。左のひかがみが緩み、左踵が上がっている。

 その原因を探っていくと歩行形態に行きつく。現代人の歩きを基礎として、剣道をすると、左のひかがみが緩み左踵が上がるのだ。これは、言いかえると、右足に荷重していることを意味している。

 しかし、このように右荷重の現代的な剣道をしている若い剣士に、左荷重の打ち方をしてもらうと、短期間に剣道が変わっていく。左のひかがみが張られ、左踵が下がってくる。

 剣士によっては

「先生、左踵を床につけてもいいですか・・・」

と尋ねてくるものもいる。左踵を接床させることは現代剣道では基本とされていないので、「左踵はつけないように」」と若い剣士には指導している。しかし、この剣道で左膝の抜きを覚えれば、はるかに左踵を接床させた方が打ちやすいはずだ。

 この左荷重の剣道は、左に荷重するタイミングを教えることで上達するようだ。振り上げ時とその直前に左に荷重することが大切。そのための基本打突と構えを教えると短期間で左の剣道になっていく。

 そして、驚いたことに「相手の打突に対して引く」「左拳を頭上にかかげる」「引き技を多用する」というような、現代剣道の特徴的な動作が影をひそめていく。

 さらに、この左荷重の剣道を発展させると、左足踏込の技ができるようになる。常歩(なみあし)剣道は、やはり伝統的歩行法を基礎としていることが明らかになった。

 


2014年07月10日

ワールドカップブラジル大会にみられる身体動作法

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 ワールドカップブラジル大会も、ドイツとアルゼンチンの決勝を残すのみとなった。サッカーの解説等はチームの戦術に言及しているものがほとんどだが、研究会では個々のプレーヤーの身体動作法にも目を向けている。

 今大会では、小田伸午先生(関西大学人間健康学部教授)のスタープレーヤーの身体的および動作特性に着目した記事が産経新聞に掲載された。小田教授が注目したのは、ドログバ(コートジボアール)の「水平感覚」ネイマール(ブラジル)の「忍びの術」メッシ(アルゼンチン)の「すり足走法」エジル(ドイツ)の「観の目」である。

 これらの身体動作法は、実は日本の武術などが保持していた「技」である。ブラジルの大敗によって、個々の資質よりもヨーロッパ型の戦術を重要視したサッカーが注目されそうな気配だが、それらを支えるのは個々の身体動作であることには変わりがない。

 スポーツなどの客観化された動作を「技術」という。それらが個々のプレーヤーに身についたものが「技能」。そして、さらに卓越された誰にも真似できない「技能」を「技」という。高いレベルの戦術は、この「技」の集合体である。世界のトップに近づくには、個々の「技」を洗練させることが不可欠である。

 それぞれの写真をクリックすると記事(産経新聞)がご覧いただけます。

2014年06月26日

絶対水平感覚

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 日本のワールドカップブラジル大会(2014)は、予選4位という残念な結果で幕を閉じた。  

 第1戦のコートジボワール戦、本田選手の痛快なシュートで先制したが英雄ドログバの投入によって流れはコートジボワールへ。立て続けに2点を献上して逆転負け。    

 翌日、元Jリーガーの知人と電話で話をする機会があった。 話題はコートジボワール戦に・・。  

  日本人は雨が苦手なんです。外国人選手、特にアフリカ系選手は芝がぬれていても、まったく滑らない・・・・」    

 雨天であったことも敗因の一つだったらしい。はたして、それほどまで違う「バランス感覚」とは何か。

 当研究会では、以前より「水平感覚」に注目している。「水平感覚」とは、身体が傾いても身体のイメージは水平を維持する感覚のことだ。  

 どんな困難な体勢でも「水平感覚」を保つ能力(感覚)を、私たちは「絶対水平感覚」と呼んでいる。日本人選手と彼らの違いは、この「絶対水平感覚」の有無によると考えられるのだ。

 この「水平感覚」を保持する身体的条件は頭部の保ち方にある。左右の目が水平ラインを崩さないこと。つまり、頭部を垂直に保ち続けることである。  

 よって、研究会では10年ほど前までは「垂直感覚」と名づけていた。しかし、その後「水平感覚」と呼ぶようになった。  

 そして、この「水平感覚」を身につけるには体幹をある状態に保つ必要がある。現在、盛んにおこなわれている体幹を鍛える「コア・トレーニング」。しかし、体幹を固めて強化するだけでは、逆に「水平感覚」から遠ざかる可能性があるのだ。  

 研究会では、次のワールドカップ、および東京オリンピックに向けて水平感覚」を含めたフィジカルリテラシーのプログラム開発に着手する話が進んでいる。

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2014年04月17日

集団行動と動作について

集団l訓練.jpg  集団の規律形成、連帯感や達成感の体験などを目的に、集団(行動)訓練を実施している団体は多いと思います。

  現代人のほとんどが、股関節・膝関節・足関節を伸展方向にアクセントがある「伸展動作(感覚)」による動きを得意としています。逆に「屈曲動作(感覚)」による動きは、それらの関節を屈曲方向に操作させます。「屈曲動作(感覚)」によって「内力」以外の「力」を用いた動きが発現すると考えられます。

 前近代の日本人は「屈曲動作」が得意であったと考えられます。先日、集団訓練を見ていたのですが、集団で動作を合わせるときには号令をかけます。その号令に動作を合わせるときに、関節が伸展する局面で合わせる傾向にあります。日本語を話していると強拍が得意になるので、さらに伸展にアクセントが来るように思えます。

 「伸展動作(感覚)」が主流になった主因は、明治以降の学校教育全般や体育による集団的動作かもしれません。服装や履物は、副次的な原因かもしれません。剣道なども、大勢で素振りを合わせるなどのことをやりだしてから本質から離れたのかもしれません。

 明治期初期に日本人が行進ができなかったのは、歩様やリズムの問題だけでなく「屈曲」にアクセントがある動作をしていたからとも考えられそうです。

2014年04月07日

暴力がなかった時代の運動文化を取り戻せ

暴力スキージャーナル

 先日、「勝利至上主義の功罪を問う」(毎日新聞)の記事を掲載しましたが、スキージャーナル社より剣道(武道)と暴力的指導についての取材を受けました。本来、武道が持つ文化性を取り戻すことが一つの解決法であると考えています。(記事全文のダウンロードは上記画像をクリックしてください)

一本歯(後歯)下駄