2014年04月17日

集団行動と動作について

集団l訓練.jpg  集団の規律形成、連帯感や達成感の体験などを目的に、集団(行動)訓練を実施している団体は多いと思います。

  現代人のほとんどが、股関節・膝関節・足関節を伸展方向にアクセントがある「伸展動作(感覚)」による動きを得意としています。逆に「屈曲動作(感覚)」による動きは、それらの関節を屈曲方向に操作させます。「屈曲動作(感覚)」によって「内力」以外の「力」を用いた動きが発現すると考えられます。

 前近代の日本人は「屈曲動作」が得意であったと考えられます。先日、集団訓練を見ていたのですが、集団で動作を合わせるときには号令をかけます。その号令に動作を合わせるときに、関節が伸展する局面で合わせる傾向にあります。日本語を話していると強拍が得意になるので、さらに伸展にアクセントが来るように思えます。

 「伸展動作(感覚)」が主流になった主因は、明治以降の学校教育全般や体育による集団的動作かもしれません。服装や履物は、副次的な原因かもしれません。剣道なども、大勢で素振りを合わせるなどのことをやりだしてから本質から離れたのかもしれません。

 明治期初期に日本人が行進ができなかったのは、歩様やリズムの問題だけでなく「屈曲」にアクセントがある動作をしていたからとも考えられそうです。

2014年04月07日

暴力がなかった時代の運動文化を取り戻せ

暴力スキージャーナル

 先日、「勝利至上主義の功罪を問う」(毎日新聞)の記事を掲載しましたが、スキージャーナル社より剣道(武道)と暴力的指導についての取材を受けました。本来、武道が持つ文化性を取り戻すことが一つの解決法であると考えています。(記事全文のダウンロードは上記画像をクリックしてください)

2014年01月10日

人はなぜ歩くときに腕を振るのか?

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 すこし古いですが、興味深い記事を発見しました。

 

【2009年7月29日 AFP】

 人はなぜ歩くときに腕を振るのか。科学者らを長年悩ませてきたこの疑問を解いたとする論文が、29日発行の「英国王立協会紀要(生命科学版、Proceedings of The Royal Society B)」に発表された。

 腕を振るには筋肉が必要であり、筋肉に食物エネルギーを供給する必要もある。それならばなぜ、歩くときにわざわざ腕を振るのか。「大昔に四足歩行をしていたときの名残だ」と説明する専門家もいる。

 今回、米国とオランダの3人の科学者は、人体を使った厳密な実験を行って謎の解明を試みた。

 チームはまず、腕振りにおける力と動きを検証するための力学モデルを構築し、10人の被験者に対して3種類の歩き方

「腕を普通に振る」

「腕と足を同期させる(右足を踏み出すときに右腕を前に振る)」

「腕は組むか体側にぴったり付ける」

 をしてもらい、代謝コストを測定した。代謝コストは被験者が呼吸によって消費する酸素とはき出す二酸化炭素から算出した。

 実験の結果、腕振りはマイナスよりもプラスに働いていることがわかった。

 たとえば、腕を振らないで歩く場合、肩の筋肉にわずかな回転・ひねりを加える必要が生じ、代謝エネルギーは腕を振る場合に比べて12%余計に必要となった。

 また、腕振りは、下肢筋肉のエネルギーの浪費につながる体の上下運動を抑制する働きがあることもわかった。腕を振らない場合、この上下方向の動きは63%も上昇した。

 腕と足を同期させる場合は、肩の筋肉を動かすエネルギー・コストは低減されるものの、代謝率は25%ほど跳ね上がった。

 研究を主導した米ミシガン大学(University of Michigan)のスティーブン・コリンズ(Steven Collins)氏は、

「腕振りは四足歩行の名残りと言うよりは、エネルギーを効率よく使って歩行するために不可欠な方法だ」

と話している。

2013年12月24日

「動作原理」という考え方

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 拙書『日本刀を超えて〜「身体」と「竹刀」から考える剣道論〜』で考察したことの一つに「動作原理」があります。一般的に、私たちが動作も含めた「身体性」を考えるときに「身体特性」「動作特性」を考察します。「身体特性」とはその主体(人)の「からだ」であり、「動作特性」とはその主体が獲得した「技能」ともとらえることができます

 ですから、高いパフォーマンスを獲得するために体力トレーニング等によって必要な「身体特性」を獲得したり、スキルのトレーニングによって「動作特性」を習得します。

 しかし、武道(武術)の技の修得過程には「身体特性」「動作特性」の間に、それらを結びつける触媒的役割を果たすものがあります。それらを「動作原理」ということにしました。日常「姿勢」「歩行形態」また武術「型」などが「動作原理」にあたります。スポーツでは、一般に「動作原理」は独立しておらず「身体特性」「動作特性」に包含されています。

 優れた「動作特性」は、それを支える「身体特性」「動作原理」によって発現すると考えられるのです。そして、武道(武術)における「動作原理」は、それらを獲得することによって「身体特性」「動作特性」を高めることができるのです。 「姿勢」「歩行形態」「型」を修得する過程において、それらを支える「身体特性」「動作特性」が獲得されると考えれます。つまり、スポーツでは取り上げられることがない「動作原理」の獲得が武道(武術)の修行では中心的課題になっているのです。そして、この「動作原理」はスポーツにおいても機能すると思われます。

2013年09月17日

立食パーティーにおける水の入ったグラスの保持は立位姿勢の動揺を小さくする

九体(大下).jpg 先日(2013年9月13日〜15日)、九州共立大学で開催されました「九州体育・スポーツ学会」において、大下和茂先生(筆頭発表者)・山口恭平先生(共に九州共立大学スポーツ学部)とともに「立食パーティーにおける水の入ったグラスの保持は立位姿勢の動揺を小さくする」のタイトルで発表を行いました。

 この実験は、3月の卒業謝恩パーティーの際に、大下先生との「なぜヒトは立って呑むのか・・・」という雑談から始まりました。その後、大下先生が学生を被験者として実験を行いました。対象者は女子学生37名。対象者は閉眼状態(目隠しをした状態)で20秒間の右足立ちを3分の休憩をはさんで2回行いました。2回目について、21名は(COM群)は同様の片足立ちを行い、16名(WA群)は180mlの水が入った250ml容量のグラスを左手で保持して片足立ちを行いました。各20秒間の中間10秒間の足圧中心点の平均動揺速度(COP-V)を算出しました。

 その結果、CON群においては有意な差が認められませんでした(平均9.78p/s・平均10.06p/s)が、WA群では、グラスを保持することで有意にCOP-Vがの低下が認められました(平均9.93p/s・平均8.80p/s,P=0.01)。

 この結果は、身体動揺がグラスを保持した手指から知覚され、COP-Vが小さくなった可能性を示しており、ヒトのバランス感覚の向上に応用できる可能性を示しています。例えば、高齢者が歩行時に杖を使用することも、杖により地面に支点をつくり安定をはかるだけでなく、杖を保持すること自体に姿勢を安定させる機能があるのかもしれません。

 今回の発表により、大下和茂先生は「若手優秀発表賞」を受賞されました。おめでとうございました。

2013年07月24日

屈曲動作と履物

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 前近代の日本には様々な歩行形態があったことが分かってきました。現代人は、「歩き」というと、老若男女それほど違うとは感じてないかもしれませんが、江戸時代までの日本には、現代にはない「歩様」(歩行の形態)があったと考えられるのです。そのなかに「からだにやさしい歩き方」や「スポーツのパフォーマンス」の基礎となる「歩き」がありました。それは、「屈曲動作(感覚)」による歩きです。

 現代人のほとんどが、股関節・膝関節・足関節を伸展方向にアクセントがある「伸展動作(感覚)」による歩きをしているのに対し、「屈曲動作(感覚)」による歩きは、それらの関節を屈曲方向に積極的に動作させます。この「屈曲動作(感覚)」によって、可能な限り「内力」以外の「力」を用いた「歩行」が実現します。

 しかし、多くの現代人はこの「屈曲動作(感覚)」による歩きができません。「屈曲動作(感覚)」による心地よい感覚を体験できない方がほとんどです。

 その原因の一つが履物の変化です。昔の日本人は「草履」「草鞋」「足半」などを着用していました。これらの履物を着用すると、シューズの場合と違い、足趾(足の指)が屈曲(底屈)方向に動くのです。屈曲方向とは地面をつかむように動くことです。これは、これらの履物に鼻緒がついていることや、草鞋や足半が台座から足の指がはみ出すようにつくられていることによります。これらの構造により歩行時に足趾が地面をつかむように動きます。このことによって足関節も膝関節も股関節も屈曲方向にアクセントがある動きになります。

 スポーツ選手らを指導するときに、裸足になって歩いてもらいます。すると、ほとんどの選手は歩行のサイクルで足趾が屈曲(底屈)する局面がありません。足関節や膝関節を積極的に屈曲方向につかうことができません。すると興味深いことが起こります。ゆっくり走ることができないのです。

 五体治療院の小山田良治氏は「LSD」を提唱されています。「LSD」とはゆっくり走ることです。「Long Slow Distance」の略です。選手に歩くより遅い速さ(3.6Km/h程度)で走ってもらいます。すると足趾が屈曲(底屈)しない選手はゆっくり走ることができません。膝を上手く屈曲させて下腿を前に倒すことができないのです。ゆっくり走ることによって「屈曲動作(感覚)」の土台がつくられます。

 上の右下は、アシックスのVFT構造のシューズです。足趾が屈曲(底屈)するような構造になっています。

2013年04月26日

偏平足

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 授業で足の話をしましたら、終了後学生が研究室をたずねてきました。陸上競技の投擲の選手です。彼は偏平足で悩んでいました。上の写真のように、全く土踏まずがありません。

 踵骨まわりの骨の位置関係が崩れているため、典型的な過剰回内足になっています。スネが内旋しています。しかし、男性ですので股関節の外旋が保たれ、膝頭はほぼ正面を向いています。しかし、この状態は膝に大きな負担をかけることになります。

 シューズの中に、高価なオーダーメイドのインソールを着用していました。内アーチを直接持ち上げるタイプのインソールです。しかし、アーチを直接持ち上げるタイプのインソールは、持ち上げている反作用で、アーチをさらに落とす結果になります。シューズを履いているときはいいですが、偏平足は改善されるどころか、ますます助長されます。

 これまで、何人もの方から、同様のご相談を受けてきました。考えさせられる課題です。

2013年04月13日

九州共立大学剣道部新入生歓迎試合

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 九州共立大学剣道部新入生歓迎試合が行われました。本年度は男子10名、女子6名の16名の新入生を迎え、剣道部も40名を超えました。

 写真は、今年の一年生チーム、在校生と勝ち抜きの試合にのぞみました。これから4年間、九州共立大学剣道部で修行することになります。武道の稽古の基本は、お互い相対して感じあうこと。今年度は、できるだけ多くの学生と相対したい思います。指導者ができることは、環境をつくること。「楽之真也」、真剣にこころから剣道を楽しんでもらいたいと思います。

2013年03月01日

ボウリングのアウトステップ

ボウリング2.jpg フェリーで新門司港から大阪南港へ、今回の移動の目的は自身の修論発表会なのですが、有元勝氏がボウリングの関西女子オープンに向かうとのことで、ご一緒いたしました。

 フェリーでは、同大会に向かう女子プロと遭遇・・、いつの間にかフィニッシュのアウトステップの話へ。女子プロの方は、何度も動作を繰り返しておられました。あらゆるスポーツで投球動作ではアウトステップする(インステップしない)ことが最近言われるようになっている。ボウリングでもアメリカのトップ男子プロなどはアウトステップに踏むらしい。アウトステップを可能にするのは、明らかにからだの左右操作の意識と感覚だと思います。

 それにしてもボウリング動作は興味深い、重いボールを扱うために、それぞれの身体操作が大きく働きます。他のスポーツで可視できない動作が表出してきます。ボウリングの方々とお話をしていると、「ボウリングは技術的に遅れている」と感じておられるようですが、そんなことはありません。他のスポーツでも大差ないと思います。そして、皆さんとても貪欲に新しい技術を求めておられるように感じます。私たちの実践がすこしでもお役に立てれば幸いです。

2013年02月27日

川添将太と挑む世界のトップボウリング

川添将太と挑む.jpg 先日、ボウリングプロコーチの有元勝氏をお会いしたことを記事にしました。その後、メールなどで交流しておりますが、ボウリング動作には、他のスポーツの動作を解くカギが含まれていることがわかってきました。

 ボウリングのボールは約7キロ、他のスポーツでは重いボールなどを扱う競技は、砲丸やハンマー投げ、やり投げなど、距離を競うものがほとんどです。コントロールはそれほど要求されません。ですから、いかにからだを効率よく回転させるのかということが主眼になってきます。

 しかし、ボウリングでは距離ではなく、ボールのスピード(威力)とピンポイントのコントロールが要求されます。そういう意味では、とても特異な競技と言っていいでしょう。

 重いボールを投球する際にはあらゆる方向に回転が加わります。この回転はすべてのスポーツでみられるのですが、一般には、シューズと地面の摩擦などでその回転トルクを補償してしまいます。ですから、プレーヤーもコーチもほとんど意識しなくても問題はありません。しかし、ボウリングではその回転トルクをいかに補償し安定させることができるかでコントロールが決まってきます。この回転トルクを補償する動作は、他のスポーツにも応用できると考えられます。

 有元コーチは、外国人選手の分解写真を分析するなどして、独自のコーチング技術を開発されているようです。ご自分ではプロ選手のご経験はありませんが、現在では多くのプロ選手から師事され全国を回ってコーチングをされています。有元コーチが多くの選手に知られるようになったきっかけが、「川添え将太と挑む世界トップ(PBA)ボウリング」です。有元コーチのボウリングに対する情熱が伝わってきます。

一本歯(後歯)下駄