2011年08月28日

世界陸上(2011) ボルト余裕の予選突破

 陸上世界選手権第1日(27日、韓国・大邱)、男子100メートルでは世界記録保持者のウサイン・ボルト(25)選手(ジャマイカ)が楽々と予選を突破した。

 怪物の独壇場だった。男子100メートルで予選6組に登場したボルトはスタートからトップに立つと、爆発的なスピードで周囲を圧倒。50メートル過ぎには後方を振り返る余裕を見せ、すぐに力を抜き始めた。それでも全体トップの10秒10で準決勝へ。

 故障の影響から、今季はベストにはほど遠いとも伝えられていたが、その走りは他を圧倒した。優勝候補筆頭であることは間違いないであろう。

 今回、注目しているのは、各選手の下肢のたたみ方。短距離に限らず、中長距離でも、遊脚の膝をたたみこんで前方に素早く切り返す走りに移行しつつあるよう感じられる。写真は、ボルトの右脚のたたみだ。ほぼ完全に右踵が右大腿後部に接するようにたたみ込まれている。

2011年08月20日

投球動作と頭部

 第93回全国高校野球選手権大会(阪神甲子園球場)の決勝、日大三(西東京)が光星学院(青森)を11―0で破り、10年ぶり2度目の全国制覇を果たした。 2年ぶり14回目出場の日大三は、強力な打線で勝ち上がり、初優勝した第83回大会(2001年)以来となる決勝に駒を進め、参加4014校の頂点へ登り詰めた。1974年に東京大会が東西に分かれて以降、西東京勢としては第88回大会(06年)を制した早稲田実以来、4度目の栄冠。

 青森県勢の決勝進出は実に42年ぶり。太田幸司投手をようして、松山商業との18回引き分け再試合で敗れ準優勝に輝いた三沢高校以来だった。私たちの年代では「語り草」の一戦だ。心情としては光星学院に勝たせたいと感じていたのは私だけではなかろう。

 今日は吉永(日大三)・秋田(光星)両投手の動作について記してみる。両投手とも右の本格派、将来を嘱望される優秀な投手であることには間違いない。しかし、投球動作に関してはかなり差異がみられる。特に頭部の使い方。

 両投手とも左足をステップ(接地)する局面では、頭部が一塁側に倒れている。しかし、吉永投手(日大三)は、その後リリース直後まで頭部が一塁側に倒れたまま、その後頭部を三塁側に戻している。一方の秋田投手(光星)は、左のステップ後、すぐに頭部が三塁側に戻り始める。リリース時には、ほぼ頭部が垂直に立っている。その後、三塁側に倒れていく。頭部の操作は、肩の開き(右肩の出方)に関係する。頭部を傾けると同側の肩が前方へ出ていく。

 吉永投手は頭部の戻しが遅い分、腕が遅れて加速しながら出ていく。バッターとしてはタイミングがとりにくいか。しかし、制球力に多少難があるかもしれない。一方、秋田投手は、頭部が立っている分、コントロールがいいはずだ。しかし、多少開きが早いフォームとなる。打者からは見やすいのかもしれない。ただ、吉永投手に比べると、無理なく合理的な動作だ。

 この投球フォームによる頭部は、さらに洗練されてくると、左右に振ることなく操作される。下の写真はダルビッシュ投手。投球動作のスタートからフィニッシュまで、ほぼ頭部を垂直に保ち、可能な限りわずかな頭部の動きで「体幹」を操作している。 

 

2011年08月11日

〜起源探訪〜 生まれたるは関西

生まれたるは関西.jpg

  eo光チャンネルの番組「生まれたるは関西」(日本の美意識を今に伝える〜京履物司 祇園ない藤〜)に、小田伸午先生(関西大学人間健康学部)と私(木寺・奈良工業高等専門学校)が出演します。江戸時代までの日本の伝統的履物と歩きについて解説いたします。ぜひ、ご覧ください。

放送日時 8月17日(水)〜9月6日(火)放送

期間中は何度も放送されます。(いずれも14分番組です)
 ・月曜(8/22・29・9/5)    11:15〜
 ・火曜(8/23・30・9/6)     8:00〜 
 ・水曜(8/17・24・31)        13:00〜 / 19:45〜
 ・木曜(8/18・25・9/1)       7:30〜 / 20:30〜
 ・金曜(8/19・26・9/2)     13:30〜 / 23:30〜
 ・土曜(8/20・27・9/3)     16:45〜  / 20:30〜
  ・日曜(8/21・28・9/4)   13:30〜

尚、番組はネットでもご覧いただけます。上のタイトルのロゴをクリックしてください。ネット配信は、8月17日(水)より一か月半の間、ご覧いただけます。

 放送(ネット配信)終了しました。 

2011年07月18日

なでしこジャパンおめでとう

 もう、結果を言うまでもない。なでしこジャパンが女子W杯で、世界一の座についた。早朝(夜中か?)目が覚めた。TVのスイッチを入れるとW杯の映像が・・・。準決勝のスウェーデン戦では、日本選手のステップが細かく見えた。サッカーやラグビーでは、歩幅がせまく見えるチームが技術的に優っている(私はそういう見方をしている)。スウェーデン戦では、技術的に圧倒していた。

 しかし、このアメリカ戦は、技術的にはアメリカがいいように感じられた。予想通り苦しい展開。それにしても、前半はアメリカの猛攻をよくしのいだ。後半、多少日本ペースになってきたかと思われた24分、縦パス一本からモーガンのシュート。正直、勝負あったかと思われた。しかし、前半よりもはるかにボールを支配していた日本は、後半36分、サイドからの速いクロスを丸山がキープ、相手のクリアがこぼれたところを宮間あやが見事に反応して同点。いつもは、仕事柄、両チームの動作をみているのだが、この一点で完全になでしこのサポーターになってしまった(笑)。

 後半、残り10分弱で追いつかれたアメリカチームの落胆は想像に難くないが、延長前半終了間際、左からのクロスをワンバックが狙いすましたヘディングシュート。しかし、延長後半終了4分前、宮間選手の左コーナーキックに、澤選手がニヤサイドに走りこんで神業とも思えるシュートで同点。

 PK戦前、映像に映し出された笑顔で選手を送り出す佐々木監督のすがたに勝利を確信した。一方、アメリカ選手は硬い表情。PK戦では、GKの海堀選手がファインセーブを連発。最後は、熊谷選手のPKがゴールネットを揺らし、日本の勝利。少し遠慮しているかのような熊谷選手のガッツポーズに日本女性らしさが垣間見えた。

 それにしても、感動的なゲームだった。そして、この勝利は日本のサッカー界に大きな自信をもたらしたと思う。私は、日本人にはサッカーは向かないと言ってきた。その理由はリズム感。日本人はサッカーのような連続動作が苦手だ。しかし、日本の若者は欧米の音楽や言葉を頻繁に耳ににしながら育つ。もう、日本語のリズムと生活様式からくる体感は変容しているのかもしれない。

 少し考えてみれば、ペレ、マラドーナ、メッシ・・・・、思いつく超トップのプレーヤーの中には、日本人と大差ない体格の選手がいる。今回のなでしこの勝利は、サッカーが体格的に劣る日本人でも十分に戦える時代に入ったことを証明してくれたのかもしれない。

 

2011年07月04日

「左重心」の浅井選手・・G1を初制覇

 「東日本大震災被災地支援・第20回寛仁親王牌」の決勝戦が3日、新潟・弥彦競輪場で争われ、浅井康太選手(27=三重・90期)が優勝しました。三重県登録のタイトルホルダーは海田和裕(65期=引退)以来2人目、また90期以降のG1優勝は深谷知広(21・愛知=96期)に次いで2人目。

 浅井選手は、五体治療院(小山田良治代表)でからだのケアを欠かさない「左重心」の選手です。下の動画をご覧ください。決勝戦の様子です。

 

 4番(青)が浅井選手、「左重心」というより「左の片踏み」です。「左半身」で進んでいます。 浅井選手は、仲間内では「Mr.左重心」とよばれているらしい。小山田さんのブログ「常人歩人って・・」にも、ニックネームの「コス☆丼」としてたびたび登場しています。(どうして「コス☆丼」なの??)

2011年07月02日

クロール・・・前でキャッチする

 先日、クロールの動作について、水泳の専門家の方と話していました。このHPでは、あまり水泳は取り上げていないのですが、「優秀な選手はキャッチする位置が前にある」ということをお聞きしました。可能な限り前方でキャッチすることによって、長く水をかく(プル)することができます。まず、クロール動作の基礎を理解するために下の動画を見てください。

 キャッチとはどういうことか確認してみてください。動画の中盤に説明されています。「エントリーキャッチスカーリングプルフィニシッシュリカバリー」という一連の腕の動きを理解ましょう。クロールの推進力は、7割〜8割が腕の動きによってつくりだされます。キックの推進力はそれほど多くありません。

 さて、水を前方でキャッチするにはどうしたらいいでしょうか。イアンソープ選手の動画を見てみましょう。

 イアンソープ選手は、水を前方でキャッチしています。動きをみる時には、どんな競技でも共通しているのですが、からだ全体の関連(連鎖)をみる必要があります。特に、体幹と四肢の動きをみるようにします。例えば、水中で水をかく(プル)のは手(腕)ですので、どうしてもその動きに惑わされます。そうではなく、体幹の動きでキャッチ動作をみてみてください。まず、肩のローリングとキャッチ・プルの関係をとらえてください。キャッチやプルは腕ではなく、肩(体幹)のローリングによってつくりだされていることがわかります。

2011年05月12日

雑食性の二足歩行生物として

 IHI東京病院の片岡喜直先生(内科)より「雑食性の二足歩行生物として」というレポートを投稿していただきました。片岡先生とは、ここ数年間メールの交換をさせていただいております。いつも、貴重なご意見や情報をいただいています。

 片岡先生は、若い頃の「ぎっくり腰」のご経験から、ランニングを開始、それから18年、第1回東京マラソンをはじめ25回のフルマラソン、29回のハーフマラソンなどに参加されています。それらのご経験から、肩や腰に障害を持つ患者さんに姿勢のアドバイスなどもされているといいます。そして、次のように記されています。本文より抜粋します。

 患者さんに実感してもらいたいのは、「ちゃんとした姿勢で座るのは楽ではない」ということである。意識せずに座ると体重をお尻・坐骨で受け止めることになり、実はこれが腰に負担をかけていて腰痛の原因の一つだと思うのだが、確かに楽ではある。正しい座位姿勢では骨盤はやや前傾、肩甲骨を後ろに引き、耳は肩の真上になる。意識の中心は臍下(いわゆる丹田かそのもう少し下)である。自然に手は太ももの上に乗る。この姿勢だと自ずと背筋・腹筋を使わざるを得ない。楽ではないのである。楽に座っている時には腹筋も背筋も緩んでいる。だから楽。

 片岡先生の文章を拝読させていただいて「不自然の自然」という言葉を思い出しました。誰が言われたか忘れましたが「自然とは不自然からはじまる」という意味です。例えば、ゴルフの上級者にスイングのコツを聞くとします。よく「自分の体に合うように自然に振ればいいんだよ・・・」なんて返事がかえってきます。でも、そんなはずはありません。ゴルフの初心者にとってスイングが「自然」なはずがないんです。「不自然」のはず。その「不自然」を我慢し繰り返して、やっと「自然」になります。

 さらに先生の話題は、江戸時代と現代人の生活形態およんでいきます。そして、私たちの「身体」はまさしく生き抜く時代をの生活に合うように意識的に工夫しなければならないと語っておられます。是非、お読みください。 

(こちらからダウンロードしてください)

2011年05月03日

身体は文化である・・・しかし・・・。

 「身体は文化である」・・多くの身体関係の専門家の方々が言われています。私たちの「身体」は、様々なものを時代を超えて受け継いでいます。そして、これからも伝えていくであろう、ということだと思います。だから、「身体」は非常に価値があり、その「身体」を主体として実践されるスポーツ文化もすばらしい。

 全く同感なのですが、身体動作や身体操作を考えるときに、「身体は文化である」ことほどやっかいなものはないと感じることがあります。例えば、素晴らしいパフォーマンスを発揮する選手の動作を考察するとします。考察の仕方は様々でしょうが、選手の身体が文化であるとすれば動作も文化として様々なものを包含しています。最も分かりやすいのは「癖(くせ)」。武道などでは「個癖(こへき)」と言ったりします。その選手が持っている「癖」です。その動作(選手個人の文化)が、パフォーマンスにプラスに作用しているのか、マイナスに作用しているのか判断することは難しいのです。

 「身体操作(論)」とは、そのような動作から合目的な「動き」だけを抽出して、合理的動作を構築することだと思います。一般に「身体運動文化論」といえば、「身体は文化である」ことを前提として「身体」を見ていきます。 内蔵ている文化を包含したまま「身体」を考察します。または、文化と「からだ」の関わりを課題とします。しかし、「身体操作(論)」は「身体」から文化を排除し、合理的または合目的的な「身体」を課題とすることではないかと思います。

  さて、「身体」は時代を超えて文化を包含している例として、女性の「内股」を取り上げてみます。ここ数年、興味を持っている課題です。来日した外国人の多くが、日本人女性の「立ち方」や「歩き方」に違和感を感じると言われています。多くの日本人女性がつま先を内側に向けているからです。ところが、本来、日本人女性は内股ではなかったのです。後天的に「女性らしさの表現」として定着したものと思われます。民俗学者の柳田国男は、日本女性の内股について「美女の嬌態として認められることになった」(『木綿以前のこと』柳田国男・1924年・大正13年)と記しています。「嬌態」とは、「女性が男性にこびる色っぽい態度」(広辞苑)のことです。つまり。女性が男性にたいして「女性らしさ」を表現する方法として用いられたのが「内股」です。様々な資料がるのですが、田中比左良のイラストを紹介します。 


 上は戦前の人気漫画家の田中比左良のイラストです。多くの女性たちのイラストを残しています。すべてのイラストを調査したわけではありませんが、一般女性は和服であっても外股で描いているのに対し、芸者さんを極端な内股で描いています。 女性らしさの表現として、運動に適さない非合理的な姿や動作が用いられてきたように思います。中国の纏足(てんそく)などはその最たるものでしょう。

 日本女性の「内股」は「身体は文化である」ことを明確に示している例だと思います。日本では、多くの女性が幼少のころから「足先を閉じなさい」といわれて育つのかもしれません。また、周りの大人を真似るのかもしれません。この傾向は、スポーツなどの技術や動作習得に関してはマイナスになることは明らかです。さらに、女性の年配者に、膝・腰・股関節などの障害が多いことも、この「内股傾向が大きく影響していると思われます。

2011年04月13日

マラソン足袋

 前近代(江戸時代まで)の日本人のからだ使いを、洗い出そうと考えているのですが、なかなか方法が難しいのです。何しろ、当時の日本人がいません。現在のようにビデオが残っているわけでもありません。しかし、その当時の日本人の動作に、すばらしい身体操作法があると確信しています。一つは、履物や服装から、当時の歩き方や動作を推測することです。草鞋や草履、足半、足袋というような、日本の伝統的履物から動きを考察することができると考えています。

 今日は、日本人の走力について調べていたのですが、明治44年(1911)に行われた翌年に開催されるストックホルム五輪に向けたマラソンの予選 会に出場した金栗選手は、当時の世界記録(但し、当時は40・225km)を27分も縮める大記録を出し、日本人初のオリンピック代表選手となりました。実は、その時に履いていたのが足袋なのです。足袋といっても、マラソン用に作成された「マラソン足袋」です。

 

 そこで、マラソン足袋を検索しておりましたら、最近アシックスが「マラソン足袋」を復活させたという記事を見つけました。同社のブランド「オニツカタイガー」から「マラソン足袋」を原型としたスニーカー「OKATABI MT」を2011年1月中旬に発売、さらに「OKATABI SANDAL」を2011年3月下旬から発売したらしい。2商品は、アシックスの前身であるオニツカタイガーが1953年に開発した「マラソン足袋」を現代風にアレンジしたもの。男性用の「OKATABI MT」は、柔らかいスエード素材に格子柄の模様を配し、かかとには足袋に使われる留め具「コハゼ」を思わせる刺しゅうと糸をあしらっています。レディース向けの「OKATABI SANDAL」はぞうりの意匠も取り入れ、かわいらしさをアピール。以前の商品と比べ、よりストリートファッションにも合わせやすいデザインが特徴のようだ。

2011年01月20日

「歩み足」の剣道

打味紙顔「歩み足」の剣道

 HPでも何度がご紹介しました打味一範(うつみかずのり)氏の「歩み足」の剣道が、雑誌「剣道日本」で紹介しされました。打味氏とは、何度もメール交換をさせていただき、常歩(なみあし)の剣道をご参考にしていただいたようです。私(木寺)も、打味氏から多くの示唆をいただきました。

 今回「スキージャーナル社」のご好意により、記事の転載のお許しをいただきました。下記、タイトルよりダウンロードしていただけます。

 

   「歩み足」を愉しむ(剣道日本・2011年2月号)

 

 

一本歯(後歯)下駄