2014年08月17日

足部とボウリング

 足部とボウリングの投球動作について考えてみましょう。

 他のスポーツよりもボウリングは足部の影響を大きく受けると思います。それは、約7キロのボールを保持してステップするからです。

 私たちの足は片方28個の骨がそれぞれ関節でつながっています。

 さて、ステップで足が着床したときに足部はどのようになるのでしょうか。着床の瞬間、足部は衝撃を和らげるために骨どうしの結合を緩め「柔らかい足」をつくります。「柔らかい足」というのは決して正常な足ではないのですが「偏平足」をイメージしてください。「偏平足」とは、立っているだけで足の内側にあるアーチがおちて「土踏まず」が床についている状態です。接床の瞬間は、このように骨どうしが緩やかに結合した「柔らかい足」をつくって衝撃を吸収するのです。

 しかし、ここからが大切です。正常な状態であれば、接床時の「柔らかい足」の後は骨の結合を強めた「硬い足」をつくります。縦アーチと横アーチがしっかり形成された「硬い足」の上をカラダが通過していきます。そして、次の接床の瞬間まで「硬い足」が形成されるのです。

 ところが、ほとんどのボウラーは「硬い足」を形成することができません。なぜかというと、一つは多くのボウラーは「過剰回内足(オーバープロネーション)」という足部の状態をしているからです。

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 「過剰回内足(オーバープロネーション」とは、足部の踵骨(かかとの骨)が外側に位置しするために下腿(スネ)が回内(内側に回る)した状態をいいます。多くの場合、下腿が内側に倒れ込みます

 もう一つは、ボウリングの場合はボールを通過させるスペースを確保するために、下腿を内側に倒す技術が伝承されてきたからです。そうすると、「過剰回内足(オーバープロネーション)」がさらに顕著になると考えられます。

 「過剰回内足(オーバープロネーション)」のまま投球を繰り返せば筋肉や腱、靭帯などに多くの負担かかり、障害が発生したり、そのための「痛み」を生み出すことになるのです。

 そして、「過剰回内足(オーバープロネーション)」がつくりだす「柔らかい足」では体重を支えることができないためにステップ幅まで変わってしまうのです。特に、利き腕側のステップから次のステップへの歩幅を保てない方は、例外なく「過剰回内足(オーバープロネーション)」だと思われます。

 それでは、どのようにしたら接床後に「硬い足」をつくりだすことができるのでしょうか。実は、「硬い足」下腿(スネ)が外に回ることによってつくりだされるのです。スネが外に回ることによって足の骨と骨の結合が強くなり、足の内側にアーチが形成され、剛性のある「硬い足」になるのです。

 有元メソッドでは、この足部と投球技術、さらにはシューズインソールの研究を進めています。近い将来、シューズとインソールを調整することによって、ボウリング技術を高めるシステムを確立したいと思います。

2014年08月14日

リーリスでの肩は?

 「今より強い球」を投げるための身体動作として、前回は「骨盤の傾き」について考えてみました。

 今回はについてみていきます。まず、についてカラダの仕組みから理解しましょう。ボウリングは、約7キログラムのボールを保持して腕でスイングします。さて、腕はどこから動くでしょうか。多くのボウラーは腕は肩から動くと感じていると思います。しかし、腕は肩から動いているのではありません。

 肩を様々な方向へ動かしてみてください。肩関節は固定されず腕と一緒に動いています。腕の動きの起点とはどこでしょうか。肩関節からカラダの中央部を触ると鎖骨があります。鎖骨を触りながら肩を動かしてください。鎖骨も一緒に動きます。ところが、鎖骨が胸の中央の骨(胸骨)とつながったところに手を置いて肩を動かしても動きません。この鎖骨と胸骨つなぐ関節を胸鎖関節といいます。胸鎖関節は胸骨の左右にあります。ですから、スイングするときには、右投げのボウラーの腕の動きの起点は右の胸鎖関節、左投げ(サウスポー)のボウラーの腕の起点は左の胸鎖関節です。

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 肩甲骨とその周辺の筋群を肩甲帯と言います。7キロのボウルを投げるボウリングでは、肩甲帯の柔軟性を高めておくことが大切です。肩甲帯が自在に動くためには、肩のストレッチも効果がありますが、さらに重要なのは、日ごろの姿勢で肩甲骨を十分につかえるニュートラルポジショ ンに位置させておくことなのです。立って、まっすぐに両腕を垂直にあげてください。手のひらを前にして、前額面(体を前後に切る面)にそって両腕を広げな がら下ろして体側につけてください。その位置が肩甲骨のニュートラルポジションです。最も肩がスムーズに動く位置です。それよりも肩甲骨が前に位置したり 後ろに位置したりすると徐々に肩甲骨の動きが悪くなります。現代人は、ほとんどがニュートラルポジションより肩が前に位置しています。日頃から肩を少し引 き気味にしてニュートラルポジションをこころがけましょう。

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 それではスムーズにスイングするにはどうすればいいでしょうか。スイングで胸鎖関節が支点となるためには、どのように身体を操作したらいいでしょうか。

 有元メソッドでは、そのために肩だけではなくステップの方向頭部の傾き、さらにはリリースのイメージ(感覚)にも言及してコーチングがなされていきます。

骨盤角度とリリース

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 私たち日本人の身体特性の中で最も特徴的な事項に骨盤の傾があります。

 左の写真をご覧ください。日本人の学生と留学生に、

「そこに立って写真を撮らせて・・・」

と言って側方からの写真をとりました。

 その違いは歴然としています。最も大きな違いは、骨盤の傾きです。留学生のお尻が後ろに出て大きく見えます。これは臀部が大きいのではなく、骨盤が前傾しているのです。

 ここに欧米人と日本人(東洋人)の身体的差異があります。この骨盤の傾きの違いは、どのように動作に影響するのでしょうか。骨盤が前に倒れていると重心が前に移動しやすいのでカラダを前に進めたり、何かを前方向に押し出すことが容易になります。

 しかし、日本人の骨盤は後傾する傾向にあるので、カラダは後方に進めやすいと言えます。

 実際に、日本の伝承的な運動形態は「ひく」ことが主体になっています。例えば大工さんが使う「のこぎり」は、日本では引いて使いますが、欧米では押してつかいます。日本刀は反っていますが、その反りを利用して引く動作が主体となっています。柔道の投げ技も本来は相手を引き込みます。

 ところが、欧米から伝来したスポーツはほとんどが「押す」ことが主体となっています。よって、スポーツが上達するためには骨盤の前傾を習得する必要があります。これは、様々なスポーツでも同様です。

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 上の写真は、サッカーの「インサイドキック」ですが、日本人は左のように骨盤が後傾しやすいためにキックの後、カラダが静止してしまう傾向にあると言われています。また、ゴルフのスイングでも、日本人が欧米人と同じようにスイングすると骨盤が後傾しているために早くカラダが起き上がってしまう傾向にあります。

 つまり、日本人が動作を習得するときには、欧米人と全く同じトレーニングや方法では、上手くいかないことがあるのです。これは、ボウリングでも同様です。

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 「今よりも強い球を」投げるためには、リリース時にどのような骨盤角度を保てばいいのでしょうか。そして、それはどのようなレベレージポジションをとることで可能になるのでしょうか。 

 有元メソッドでは、道具としてのボールの変容も加味しながら、このレベレージポジション理論方法、そしてその習得方法が体系化されています。

 以前は、ボールの特性などから日本人のもつ「ひく」感覚の投げ方でもよかったのですが、近年のトップボウラーの多くは、「押す」感覚と動きで投げています。

 「押す」感覚のリリースが可能となるレベレージポジションとその習得方法有元メソッドで学んでください。

2014年08月12日

力はどこから来るか?

  まずは、身体動作の基本をおさえておきましょう。有元メソッドの肝である、

 「今よりも強い球を、今よりも正確に投球する方法」

 

  まず「今より強い球」を投げることについて考えてみます。

 その前に、私たちが動くときの「力」はどこからくるのかを考えてみてください。すぐに、思いつくのは「筋力」ですね。しかし、実際には常に働いている別の「力」が存在します。それは「重力」です「重力」地球(地面)が私たちを引っ張る力です。

 しかし、私たちは生まれた時から「重力」の中で生活していますから、その存在を忘れがちになっています重力」がなければ私たちは歩くことも、走ることも、ボウリングを楽しむこともできません。

 つまり、私たちが動くときには「筋力」より「重力」の影響を大きく受けているのです。考えてみれば当然です「重力」は24時間私たちのカラダに働いているからです。

 そして、さらにボウリングは約7キロのボールを投球しますので「重力」を上手に利用する必要があるのです。

 ここに有元メソッドの最も重要な要素が隠されています。

 

 「今より強い球」を投げるためには、リリースするときにボールには下向きの力を加えることが大切です。下向きの力を加えるということは、上手に重力を利用してボールをリリースするということです。

 次章からは、どのようにして重力を利用して下向きの力を加えるかを考えていきましょう。

2014年08月12日

はじめに

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 常歩(なみあし)による身体動作法を取り入れて多大な成果を上げているボウリングプロコーチ、有元勝氏のボウリング動作理論(有元メソッド)をご紹介していきます。

 ここでは、SASが行っているボウリングセミナーのテキストから基本的な内容を、身体動作の観点から考察を加えながら紹介します。

 さて、ボウリングをされている皆さんは、その誰もが1点でも高いスコアを出したいと思っていることでしょう。競技である以上、他の選手と競い合い勝ちたいという思いもあるでしょう。ボールやシューズは勿論、レーンコンディションなどは、ある意味平等であり、それらでスコアが向上しても、他の選手も同じ条件であれば上位の選手との差は縮まらないと言えます。

 つまり、道具やレーンコンディションでスコアが上がっても、それは実力が上がった訳ではありません。実力を上げるには、何が必要なのでしょうか。また、自分よりも上位の選手は、どこが自分のプレーよりも優れているのでしょうか。

 それらが明確になれば、選手のレベルアップはもちろん、日本が世界で勝てない理由の発見に繋がり、世界で勝つ為に何が必要なのか、その答えが見えてくるのではないでしょうか。

 メンタルやフィジカル面等、様々な要因がボウリング競技ではスコアに影響していますが、それらはまず、ピンを倒すだけの回転やスピードを持ったボールを、繰り返し狙った場所に投球出来る技術があると言うことが前提になります。

 そう考えると、今よりも実力を上げるためには、まず、今よりも強い球を今よりも正確に投球すると言う事が、今よりも高いスコアを出す為に最も重量なポイントになるでしょう。

 ここでは、

「今よりも強い球を、今よりも正確に投球する方法」

をボールの重さと人間のカラダの仕組みを考慮しながら、どんなカラダの使い方が有効なのかを、皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。

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