屈曲動作と履物

2013-07-24
履物と屈曲動作.jpg

 前近代の日本には様々な歩行形態があったことが分かってきました。現代人は、「歩き」というと、老若男女それほど違うとは感じてないかもしれませんが、江戸時代までの日本には、現代にはない「歩様」(歩行の形態)があったと考えられるのです。そのなかに「からだにやさしい歩き方」や「スポーツのパフォーマンス」の基礎となる「歩き」がありました。それは、「屈曲動作(感覚)」による歩きです。

 現代人のほとんどが、股関節・膝関節・足関節を伸展方向にアクセントがある「伸展動作(感覚)」による歩きをしているのに対し、「屈曲動作(感覚)」による歩きは、それらの関節を屈曲方向に積極的に動作させます。この「屈曲動作(感覚)」によって、可能な限り「内力」以外の「力」を用いた「歩行」が実現します。

 しかし、多くの現代人はこの「屈曲動作(感覚)」による歩きができません。「屈曲動作(感覚)」による心地よい感覚を体験できない方がほとんどです。

 その原因の一つが履物の変化です。昔の日本人は「草履」「草鞋」「足半」などを着用していました。これらの履物を着用すると、シューズの場合と違い、足趾(足の指)が屈曲(底屈)方向に動くのです。屈曲方向とは地面をつかむように動くことです。これは、これらの履物に鼻緒がついていることや、草鞋や足半が台座から足の指がはみ出すようにつくられていることによります。これらの構造により歩行時に足趾が地面をつかむように動きます。このことによって足関節も膝関節も股関節も屈曲方向にアクセントがある動きになります。

 スポーツ選手らを指導するときに、裸足になって歩いてもらいます。すると、ほとんどの選手は歩行のサイクルで足趾が屈曲(底屈)する局面がありません。足関節や膝関節を積極的に屈曲方向につかうことができません。すると興味深いことが起こります。ゆっくり走ることができないのです。

 五体治療院の小山田良治氏は「LSD」を提唱されています。「LSD」とはゆっくり走ることです。「Long Slow Distance」の略です。選手に歩くより遅い速さ(3.6Km/h程度)で走ってもらいます。すると足趾が屈曲(底屈)しない選手はゆっくり走ることができません。膝を上手く屈曲させて下腿を前に倒すことができないのです。ゆっくり走ることによって「屈曲動作(感覚)」の土台がつくられます。

 上の右下は、アシックスのVFT構造のシューズです。足趾が屈曲(底屈)するような構造になっています。

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