2018年02月06日

平昌オリンピックで学ぼう

 2月9日(金)より、平昌オリンピックが開催されます。楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。ウインタースポーツからも多くのことを学んできました。

 動作の構築に「荷重」や「抜重」という観念を取り入れたのもスキーやスノーボードの影響です。一般的な武道やスポーツにはそれらの教えはありませんでした。

 さて、ユーチューブをみておりましたら、長野オリンピックの清水宏保選手の動画を見つけました。動作を勉強し始めたころを思い出しました。スピードスケートの滑走は合理的身体操作を学ぶには格好の動作です。

 まず、スケートは着地脚のつま先や膝がしらが向いている方向にカラダを進めることはありません。特に、スタートからほぼトップスピードにのるまでは、着地脚のつま先とかかとを結んだラインからほぼ90度の方向に重心を移動させていきます。このことは実は動作の基本です。

 静止状態から前進するとき、もしくは低速度で前進するときには理論的には90度ですが、からだの移動が高速になるにしたがいその角度が狭められます。

 そして、腕の振り込み角度も興味を惹かれます。なぜ、上から見るとハの字型になるように大きく振り込むのでしょうか。これも体幹の移動と関係がありそうです。

 清水宏保選手が長野オリンピックで金メダルを獲得した前後、あるアメリカの陸上短距離の有名コーチが「日本の選手はなぜ清水選手を模範にしないのか?」と言ったそうです。

 常に他競技に学ぶことは大切です。私も、平昌オリンピックで動作を再確認していきたいと思います。

2018年01月14日

走りを止まって表現すると・・・

同側感覚.jpg

 さて、この写真は何かというと、「走っているところを止まって表現して・・」と伝えてポーズをとってもらったものです。

 お互いに相談したわけではありません。「走っているところをポーズであらわしてみて・・・1,2,3、ハイ」とシャッターを切りました。3人とも見事に同じポーズをとりました。

 しかし、よく考察してみると走動作の中でこの局面はありません。しかし、このポーズは動作の本質をよく表しているのです。着地脚側の腰と肩と腕が前方に出ていこうとしています。

 実は、このポーズを左右繰り返すと走りになります。

2018年01月09日

シューズに走法を合わせる時代到来か?

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%.jpg

 今年の箱根駅伝、青山学院大学の4連覇で幕を閉じましたが、陸上関係者の間ではシューズに大きな関心が集められていたそうです。多くの選手が初心者ランナー向けとも見える厚底のシューズを履いていたのだそうです。これまでは、長距離のトップ選手はソールが薄いシューズを履くことが一般的でした。

 関係者の中でその厚底シューズが話題になったのは、昨年10月の出雲駅伝。優勝した東海大学と4区までトップ争いをした東洋大学の主力選手たちが、こぞって厚底シューズを履いて走っていたのです。そのシューズはナイキの「ズームヴェイパーフライ4%」(写真)。

 このシューズは、昨年4月に世界屈指のメジャーレースであるボストンマラソンで3位に入る快挙を達成した大迫傑(おおさこ・すぐる、ナイキ・オレゴンプロジェクト)選手が愛用しています。さらに、大迫選手が現役日本人最速となる2時間7分19秒(日本歴代5位)で3位となった福岡国際マラソンでは、大迫を含む1位から4位に入った選手がすべて同シューズを履いていたことで一躍脚光を浴びることとなりました。

 実際に履いてみると、クッション性が高く、トラックでスパイクを履いているような感覚があり、一歩一歩の衝撃も少ないのでマラソンの後半の脚を残すことができるらしいのです。

 ナイキによると、「ズームヴェイパーフライ4%」は同社のマラソン用スピードシューズである「ズームストリーク6」との比較試験に基づき、ランニング効率を平均「4%」高めることを目標として開発されたといいます。何といってもその特徴はソールの厚さです。同シューズのソールはかかとの部分の厚みが3.3cm。ソール内部には、スプーンのような形状をしたカーボンファイバー(炭素繊維)製のプレートが埋め込まれ推進力を生み出しています。

 推進力を生み出す素材が埋め込まれていることから、一部では「ドーピングシューズ」「ジャンピングシューズ」と揶揄(やゆ)する声もあるようですが、国際陸上競技連盟の規定には違反していない新発想のシューズなのです。

 ただ、難点は価格と耐久性の低さ。2万5920円(税込)とランニングシューズとしてはかなり高額なのですが、一般的なランニングシューズの交換タイミングが500〜700kmとされる一方で、ズームヴェイパーフライ4%の耐用距離は160km程度といわれています。それでも注文が殺到、特殊な加工が必要なこのシューズは、製造できる工場が限られており、供給が追いついていない状態だといいます。

 さて、今回のシューズの課題を動作学の立場から少し考えてみました。スポーツ方法学の観点からは、道具が変わればそれにともなって技術が変容することは常識です。私の専門は剣道ですが「日本刀」「木刀」「竹刀」とその媒介(道具)が変化したことにより技術が変容してきました。

 動作を考察するときには、この道具と技術の関係をみることは必要不可欠なのですが、これまで走動作については常に技術が道具(シューズ)を先導していたと思われます。換言すれば、道具(シューズ)が主役に躍り出ることはなかったと思われます、シューズ開発の目的は技術を補うことといえるでしょう。しかし、今回の「ズームヴェイパーフライ4%」の出現により走動作の技術と道具の関係が主客転倒した感があります。 

 いよいよ走動作も道具(シューズ)に適合した技術が求められる時代に突入したのかもしれません。

2017年12月13日

ステップワークを習得する

奇跡のステップワーク.jpg

 特別セミナー「奇跡のステップワーク」のスライドを作成中です。武道・武術ではステップワークは「足さばき」「体さばき」といいます。「体さばき」という表現から下肢だけでなく体幹や上肢を操作する必要があることが分かります。

 ステップの基本は歩き。様々なステップに転化させることができる歩行は「順回転歩行」です。これまで公開してきた「二軸歩行」「二軸歩行」の中の「逆回転歩行」です。ストップやターンを操る様々なステップに転化させるには「順回転歩行」とそれを発展させた「三軸歩行」を習得すると容易になります。

2奇跡のステップワーク.jpg

 多くの分野や競技のステップを研究すると、それらの分野によって使っているステップが違います。他分野から取り入れると有効と思われるステップも多いものです。その中の一つがリバースステップ(写真)。軸足の位置を素早く変えてカラダと支持点の距離をとります。それによって、初動がスムーズになります。リバースステップバックフロントサイドサイドターンクロスクロスターンなど様々なステップと組み合わせて使えます。写真は、クロスターンによるリバースステップです。

 リバースステップは、サッカーや野球の外野手のスタートでよくみられるステップです。

2017年10月27日

不可視的要素の操作で動作は激変する

力はどこにあるか?.jpg

 10月21日(土)では特別セミナーで「力はどこにあるか」を開催しました。

 これまで、カラダに作用する力は「筋力」・「重力」・「地面反力」と説明してきたのです。しかし、剣道実践や動作法を検討すると、それだけでは説明できない「力」が存在します。

 それらは、「体感覚」・「目付け」・「意識(無意識」・「感情」・「呼吸」・「拍子」などを操作することによって発動するのです。これらの要素を私は「不可視的要素」と言ってきました。「見えない要素」または「データ化できない要素」という意味です。

 セミナーでは、これらを操作することで不思議な力が発動することを体験していただきました。一般的に、これらの操作は難しいと思われていますが、そうではないのです。ある程度、どなたでも発動させることができるのです。この「不可視的要素」を操作して発動される「力」を知ることが、動作法を理解する肝だと思われます。

2017年10月01日

認定インストラクターによるセミナーがスタート

20170930東京基礎.jpg20170930東京基礎3.JPG

 9月30日(土)、動作改善普及センターの活動が新たな1ページを迎えました。東京で開催されました「基礎セミナー」での実技で、認定インストラクターの清水修氏と松田孝司氏に講習をお願いいたしました。

 私(木寺)の補助ではなく、実技セミナーのすべてをお二人にお任せいたしました。非常にわかりやすい実技指導で私自身も勉強になる箇所が多々ありました。また、受講者の方々も熱心にご受講いただきました。ありがとうございました。


2017年09月21日

心技体とは

心技体.jpg

 近年、スポーツ界ではメンタルトレーニングなどが注目されています。また、スポーツ以外でも思考法や考え方を学ぶ「コーチング」を受ける人も増えています。それらで、劇的にパフォーマンスや日常生活・人生を変容させることも珍しくありません。 しかしながら、期待する効果が得られない方々も多いようです。

 武道などでは「心技体」という言葉(教え)が伝わっています。この教えを精査してみると取り扱いが難しい順であることがわかります。そして、上の図のように「心」の土台は「技(動作)」であり、「技(動作)」の土台は「体」です。言い方を変えると、習得の順序は「体」⇒「技(動作)」⇒「心」です。

 この修行の順序を間違うと、「心」の課題まで到達できないと思われます。

2017年09月10日

桐生選手、10秒の壁を破る・・・新記録おめでとう

桐生9.98(2).jpg 9日、陸上・日本学生対校選手権 男子100メートル決勝で東洋大学の桐生祥秀選手が、9.98をマーク。日本人ではじめて10秒の壁を切った。

 京都・洛南高3年だった4年前に10秒01を出してから日本陸上界を背負ってきた。その間、多くの陸上関係者に桐生選手の話をお聞きした。異口同音に将来10秒を切ることは間違いない・・問題は、いつ切れるかだ、ということだった。

 しかし、6月の日本選手権男子100メートルで、サニブラウン・ハキーム(東京陸協)、多田修平(関西学院大)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)に次ぐ4位。8月のロンドン世界選手権は個人種目での代表を逃した。日本人初の10秒切りは他の選手かもしれないと思わせた。

 さらに、ロンドン世界選手権大会でリレーで銅メダルを獲得したものの、左の太もも裏を痛め、その後、満足な練習はできなかったらしい。このレースも直前まで棄権することも検討されたという。そのような逆境の中での偉業達成であった。

 さて、桐生選手の9秒台達成や近年の男子短距離界の充実について、元日本陸連強化委員長の高野進氏が新聞紙上に「日本人の走り追求し成果」として寄稿している。その中で、次のように述べている。

 91年に東京で開かれた世界選手権が転機だった。この頃から、日本短距離界ではバイオメカニクス(動作解析)で得られた知見が選手、コーチに正確に伝わり、適切なイメージを持てるようになった。それによって日本人に合った走りを追求する動きが生まれた。具体的には接地時にタイミングよく「乗り込み」、上手に反発力を受け取って効率よく推進力につなげる走法。多くの指導者が情報を共有して次世代に伝え、才能を持った桐生選手が現れ、現在の充実につながったのではないかと思う。

 そして、他の新聞紙上やネットなどでは、桐生選手のリミッターが外れたとの記述も散見される。さらに、この快挙で、日本人選手らの「10秒は切れない」という無意識のうちに共有していたリミッターが外れたはずだ。今後、日本人選手の9秒台が頻繁にみられるかもしれない。

2017年09月06日

戦前までは歩行者は左側通行だった・・・・

hokousya058.jpg

 『正常歩』(大谷武一著・目黒書店・昭和16年)は学校体育での歩行訓練の必要性と方法を説いた名著です。大谷武一が提唱する「正常歩」は、現在の集団行動指導にみられるような歩行形態ではなく人の移動に主眼を置いています。まっすぐに垂直に体幹を保つことの大切さは述べられていますが、エネルギー消費の少ない歩き方が推奨されています。「正常歩」の詳しい内容は別の機会に譲るとして、同書に上のような写真が掲載されています。当時の女子生徒らの通学時などの様子です。どれも左側を通行しています。

 さて、歩行者が右側通行と法令で定められたのは戦後です。戦前までは左側通行でした。先ず江戸時代も左側通行だったようです。武士は左に帯刀していたためすれ違うときに鞘が触れないように左側を歩いたともいわれています。実際には、左側を歩いていたのではなく、すれ違う際に左に避けたのであろうと思われます。

 実は、終戦まで左側通行というのは正確ではなく、昭和22年に道路交通取締法が制定されたのですが、ここでは人、車ともに左側通行が決められました。しかし、昭和24年に第一次改正が行われ、ここで「人は右、車は左」の対面交通が始めて取り入れらました。当時は連合軍の占領下にあり、GHQのかなり強い指導があったと考えられます。

 米国の交通ルールは「人は左、車は右」。当然、GHQは当初「人は左、車は右」の対面交通を指導したようです。しかし、そのように変えるためには、公衆交通機関のバスなどの乗降口を逆につけかえる必要があるし、車のハンドルも左につけるほうが便利なため、当時の日本の経済力では実施が困難と判断され、「人は右、車は左」の対面交通を実施することに決定したと言われています。

 しかし、私たちはいまだに左側の方が歩きやすいらしいのです。。ネット内に次ぎのような書き込みがありました。

 「そこで改めて気づくのは歩行者の交通ルールである。混雑している東京の繁華街、新宿や渋谷を歩いてみよう。右側を歩けばまず人にぶつかるか、突き飛ばされる。ときには怒鳴られることもある。大部分の人が左側を通行している。右側を通行している歩行者は絶対少数派である。私は機会があるごとに、歩行者は右側通行か、左側通行かと聞いてみるが、老若には関係なく約70%の人が「左側通行」と答える。」

  人は左側を歩く方が自然なのかもしれません。私自身も無意識に左側を歩いていることが多いように思います。皆さんはいかがでしょうか。

2017年05月09日

「一本」とは何か

一本の意味を探る.jpg

 スポーツ学概論(1年生対象)の講義で「一本」の意味について取り上げました。

 まず、「サムライスピリット(柔道編)」というDVDを鑑賞させます。これは、極真空手前ヨーロッパチャンピオンのニコラスぺタス氏が、日本の武道を紹介していくシリーズでヨーロッパで放映されたあと、日本でも放映されました。

 その中では「一本」とは相手の命を奪うくらいに強烈な技・・ということが語られています。しかし、本来の「一本」 の意味はすこし違うようです。

 「一撃必殺」という言葉があります。これは、「一本をとる」という考え方をより具体的に表しているようです。一撃で必ず殺す、つまり相手の命を奪うとしているのです。一撃で相手を殺すというのは、世界中の狩猟民族がほぼ共通に持っている考え方です。

 これは、決して自分の技術の高さを証明しようとしているのではありません。獲物に対する尊敬の念から生じています。大切な「命」を奪うときに、一撃でしとめ、余計な苦しみを与えないことが最低限の「礼儀」であるという考え方です。

 この「一撃必殺」の精神こそ「一本」の源であると考えられます。この考え方が、武道など相手を殺傷することから昇華した運動文化に受け継がれたと考えられます。よって、柔道・剣道・空手などでは、「一本」や「一振り」・「一撃」で相手を倒すことが高いレベルの技術であるとされているのです。

一本歯(後歯)下駄