伝承的身体運動と左右

2021-12-10
左右1.png

 上の写真をご覧になって何か違和感を感じないでしょうか?。一見、どこにでもあるような弓道の写真です。

 実は、このように弓をひくことはありません。写真は右手に弓も持っています。弓道では一般的に、左手に弓を保持して、右手で矢を射るのです。逆はありません。(例外的に試みている人もいるらしい・・・)

 つまり、日本の伝承的身体運動は身体の左右特性を最大限に活用していたといえます。左手は弓を携える手なので左手のことを「弓手(ゆんで)」といいました。右手は左手に弓を携えて馬に乗ったときに「手綱」を持つので「馬手(めて)」といいました。

 剣道の中段の構えも右自然体です。江戸後期には400以上の流派があったといわれていますが逆に構える流派はありません。左右が決まっています。

 私たちのカラダは形体的には左右対称がいいとされています。しかし、身体動作は右利き・左利きに関係なく左右の特性があるのです。合理的身体動作を学ぶためにはこの身体左右の法則を知っておく必要があります。

 身体左右の法則には、「左重心の法則」「左右股関節の法則」「右ねじの法則」があります。これらを知ることで様々な動作が洗練されていきます。

記録が良すぎる・・2020全国高校駅伝

2020-12-25
2020高校駅伝1.jpg

男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会が20日、京都市で開催されました。世羅高等学校(広島)が5年ぶり2回目となる男女同時優勝。

世羅は男女ともに優勝は5年ぶり。男子は自身の歴代最多優勝回数を更新する10回目の制覇。タイムは歴代2位の2時間1分31秒でした。女子は2回目の優勝で、1時間7分13秒は歴代8位。

まずは、世羅高等学校の選手だけでなく、出場したすべての選手およびチーム関係者に敬意を表したいと思います。

近年の高校駅伝は高速駅伝といわれます。今年で71回目を迎える男子大会ですが、現在と同じ42.195キロで争われるようになったのは第3回大会からです。第3回(1952)大会の優勝記録は、2時間18分42秒(玉名高校・熊本)。その後、徐々に記録が伸び、優勝記録が2時間10分を切ったのが第17回(1966)年です。

その後の優勝タイムは10分前後ですが、第33回(1882)大会で西脇工業が8分台を出すと一気に優勝タイムが短縮されていきます。そして、2000年以降の優勝タイムはすべて2時間5分を切っています。

さて、大会終了後、出場校のコーチとお話をする機会がありました。コーチによれば、この高校駅伝の高速化は駅伝人気が過熱し各学校がタイムを縮めることを第一義としてきた結果だというのです。優勝を目指すことは当然のことですが、将来さらに高いパフォーマンスを発揮するためには、本来記録より先に目指すべき内容があるのではないかと語っておられました。

それを私は「上達論」と言ってきました。最高点に到達するための「道筋」といいかえてもいいと思います。

先のコーチによれば、これだけ高校生の記録が上がっているのに、日本と世界のトップ選手との差は縮まってはおらず、逆に開きつつあるとのこと。

日本のスポーツはこの駅伝に限らず、それぞれの年代で「勝利を得る」ことを第一義とするのではなく、上達論に則した指導が評価されることが大切であると考えられます。

この日本的勝利至上主義は何によって強化されたかというと、一つは各年代で「日本一」を決める大会が開催されていることと、スポーツ活動が学校で行われていることにあると考えられます。

「日本一」を決める大会があれば勝利至上主義へと過熱するのは当たり前のことです。スポーツ活動が学校単位で行われていることは、試合が学校対抗という形になり、学校の名誉を背負って「負けられない」ものとなっています。

21世紀の日本スポーツ界の課題は「脱学校(教育)」であると考えられます。

合理的動作を簡単に見抜く方法

2020-09-24

 皆さんは動作をどのように見て評価しているでしょうか。 それぞれの細かい動きを見ることも重要ですが、少し経験を積めば簡単に合理的動作を見抜く方法あるのです。是非、習得してご自身の動作改善やコーチング、指導に活かしてください。

宮本武蔵(五輪書)「かかと(きびす)を踏むべし」の「かかと」は現代の「かかと」ではない。

2020-08-24

 近年、合理的身体操作法が注目されていますが、その中で「踵(かかと)を踏む」という操作が提唱されています。

 私も長年、「踵(かかと)を踏む」という身体操作法を提唱してきました。研究所ではそれを

 

「アクセルとブレーキを入れかえる」

 

と表現しています。私たちはカラダを前に進めるときには「つま先(前足部」に乗る(荷重する)とイメージしています。しかし、本来は足の「つま先(前足部)」はカラダの前進をとめる、または後進させるための部位です。

 カラダを前進させるときは「踵(かかと)」を機能させなければなりません。しかし、この操作には少し注意が必要です。

 「踵を踏むと」とは、もともと、剣豪宮本武蔵が著書『五輪書』の中に記している表現です。武蔵は、

 

「きびすを踏むべし」

 

と表現していなす。「きびす」とは「踵(かかと)」と現代語訳されています。しかし、現代の「踵(かかと」と当時の「踵(かかと)」は異なる部位であるらしいのです。

現代の「踵(かかと)」は足裏の踵骨(しょうこつ)のあたりの一部をさしますが、当時の「きびす」は足裏の中央から後ろ半分をさしていたようなのです。そうすると、武蔵がいう「きびすを踏む」とは、足裏全体を使うことを表現したのかもしれません。

 動画にまとめてみました。

アフリカ系ランナーの走り

2020-06-14

 なみあし身体研究所では、講座受講者と個別コーチングを重ねています。様々な分野の方々から貴重な情報をいただくことができます。

 先日、長距離ランナーご出身のコーチの方との「個別コーチング」で、

「アフリカ系選手は実は腰の位置が低く、膝の屈曲(抜き)を操作している・・・」

というご意見をお聞きし参考になる動画を教えていただきました。

 上段の動画は世界最高記録保持者のキプチョゲ選手の動画(手前の選手)です。下段はすこし前になりますが、大迫選手と当時高校生のムァゥラ選手(現黒崎播磨)の動画です。

 どちらもスローでご覧いただけるのでよく走りの特徴がわかります。アフリカ系選手は腰高ではなく、着地後実にうまく股関節と膝関節を屈曲させています。そして、キプチョゲ選手・ムァゥラ選手とも前足部で接地していません。フラットでもなくヒールコンタクトしているようにみえます。多分、スピードが上がると受動的に(自然に)フォアフット着地になると思われます。着地方法は、その選手の身体的特性、とくに足関節の可動域によって無意識に決定(変化)するのだと思います。

 日本人選手は腱の強度が十分でないことを考えると、意識的にフォアフットにすると膝の送り(屈曲)が十分操作できないと思われます。

 情報をいただいたランナの方は、

「日本人もアフリカ系選手の走りにトレーニングによって近づけることができる、しかし、それはフォアフットであることは絶対条件ではない」

と語られています。

2020全日本卓球選手権、早田選手、宇田選手が優勝(リラックスと卓球)

2020-01-21
卓球2020.jpg

 卓球の全日本選手権最終日は19日、女子シングルスで東京五輪代表の伊藤美誠選手(19)が同い年の早田ひな選手との準決勝で敗退。男子シングルス決勝でも同代表の張本智和選手(17)が敗れ波乱の幕切れとなりました。

 史上初の3年連続3冠(シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス)達成目前で敗れた女王は試合後「持っているものは出したんじゃないかと思う」と語っています。一方、最新の世界ランキングで5位の張本選手も、2歳年上ながら同54位と“格下”の宇田選手に接戦の末敗れました。

 五輪出場選手は、ドイツで28日から始まるワールドツアーに参戦予定でこちらに照準を合わせていたともいわれています。一方で、五輪選考とは関係のない大会ではあるものの、全日本選手権は「非常に名誉ある試合。ここで頂点に立ちたいと思う選手は多い。気の入り方が違う」。代表から漏れた早田選手、宇田選手ともに非常に高いモチベーションで臨んだ結果であると考えられます。

 さて、研究所では最近「リラックス法」をテーマにセミナーを開催しています。実は、そのセミナーに卓球関係者が多くいらっしゃっています。卓球は約180〜190グラム(シェークハンドの場合)のラケットで2.67〜2.77グラムのボールを打ちます。そして、そのボールタッチの感覚をとぎすまさなければなりません。他の競技選手よりもリラックスの必要性を感じているのだと思います。

 リラックス法は、とても重要であるにも関わらず、まだそのトレーニング法が十分に確立されていません。拙研究所では、リラックス法の指導に力を入れています。

スワイショウで元気になる

2019-11-25

 なみあし身体研究所インストラクターの田口嘉朗氏が 【どんな不調でも回復を良くするコツ】 としてユーチューブで「スワイショウ」を紹介されています。「スワイショウ」は研究所セミナーの「錬氣法」でも紹介しています。

 田口氏は「スワイショウ」について

「背骨を柔らかくすることで 自然治癒力を高め 自分自身の身体が治れる状態に 導いてくれる体操です。 まずは3分間やってみてください」

と説明されています。ぜひ、動画をご覧ください。(田口整骨院のページはこちら)

帽子の効用

2019-10-20
帽子1.jpg
帽子2.jpg

 スポーツなどでは帽子を着用する競技も多い。マラソンや登山などでは多くの方々が帽子をかぶっています。日よけや熱中症対策として帽子を着用する方も多いといわれます。

 しかし、動作の観点からみるとまた違った効用があるように思います。先日、「頭上運搬で立位姿勢を整える」の記事を掲載しました。この記事へは多くの新たな情報が寄せられました。それらを総合すると「頭部」に何かを乗せることによって骨格が整うと考えられます。頭部が適正位置へ保持される効用がありようです。

 先日、大阪で開催しました「ひもトレ」でも頭部にヒモを乗せる(巻く)ことによってカラダ全身を有効に操作できることが紹介されました。鉢巻や剣道で使用する手ぬぐいなども同様の効果があるのかもしれません。

 そして、帽子や鉢巻などの効果は、実際にそれらを着用していなくても身につけているとイメージするだけでほぼ同じ効果が期待できるようです。

 帽子や鉢巻を動作改善の用具として使えそうです。

美ウォーク

2019-10-01

 9月28日(土)に、オリジナルセミナー「なみあし美ウォーク」を開催しました。参加者は8名。座学と実技を2時間30分実施しました。セミナー終了後、女性お二人の「なみあし美ウォーク」を撮影させていただきました。お二人とも、1級講座からマスター講座へ進まれていますので「合理的身体操作」を習得されています。そのうえで、カラダにやさしく、かつ美しく歩ける「美ウォーク」をトレーニングされました。

 歩きの法則を理解して実践することによって、颯爽(さっそう)と美しく歩く方法が身につきます。「美ウォーク」は「ウォーキングマスター養成講座」でも取り組んでいただきます。

「頭上運搬」で立位姿勢をととのえる

2019-09-28
杉浦(姿勢).jpg

 動作の基礎となる「ニュートラルな姿勢」をどのように習得するのか。また、指導するのか。動作改善を志すときに、最も重要な課題です。

 姿勢を調整することなく動作だけを変えようとされている方がとても多いものです。

 「なみあし身体研究所」では、足裏の足圧を感じていただいたり、壁を用いたり、さらには「後歯下駄」を用いて姿勢調整を行ってきました。どれも有効な方法であると思います。

 先日、鹿児島にお住いのマスターインストラクターである杉浦氏から「写真(左)」が送られてきました。添えられていた文章によると、頭上に本などをおいて立位姿勢をとるとリラックス度が向上するという内容でした。杉浦さんは、体感覚が非常に優れた方なのですが、リラックスが増すということは、ニュートラルな姿勢により近づいたことを意味します。写真の杉浦さんの立位姿勢は理想的な立ち方をされています。

 以前から、ウォーキングなどのトレーニングにおいて頭上にものを乗せて歩く方法が用いられてきました。実は、運搬方法で頭上にものを乗せるというのは代表的な運搬法の一つです。

頭上運搬1.jpg
頭上運搬2.jpg

 現在でも、沖縄地方ではこの「頭上運搬」が残っている地域があるようですし、アフリカでは一般的な方法として「頭上運搬」がみられます。さて、『運ぶヒトの人類学』(岩波新書)の著者である川田順造先生は、頭上運搬が可能になる条件として「骨盤の前傾」をあげられています。そして、運搬法とその民族の姿勢には関係があると考察されています。 

 さらに興味深いのは、日本でも中世までは「頭上運搬」が一般的であったという説があることです。そのころの静止画には「頭上運搬」をしていなくても背筋が伸び、骨盤が前傾しているように描かれている人物が多く登場するとのことです。しかし、近世(江戸時代)になり、日本人の運搬方法は「頭上運搬」から「背負う」ようになりました。それにつれて、日本人の骨盤は後傾して胸が閉じたのではないかと考えられます。

 先日、ウォーキングマスター養成講座の「グループコーチング」で、この「頭上運搬」が話題となり、ある治療家の方から姿勢の指導で「水の入ったビーニーる袋」を頭上に乗せることをトレーニングの一つにされているというお話がありました。

 その民族や人の姿勢が物の運搬方法を決めるのではなく、運搬方法が姿勢を改善していくと考えられます。頭上運搬が一つの有効な姿勢改善方法として浮かび上がってきます。

サニブラウン、100M・200Mを制す(令和元年、日本陸上選手権)

2019-06-30

  第103回日本陸上競技選手権において、100メートル(10秒02)に続き、男子200メートル決勝でも、17年ロンドン世界陸上7位のサニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大=が20秒35(向かい風1・3メートル)で優勝。自身2大会ぶり2度目となる短距離2冠を果たした。

 秋のドーハ世界陸上は、100メートルに続き200メートルでも代表内定。400メートルリレーとあわせ、3種目で表彰台を目指す。

 さて、サニブラウン選手の走りをどのようにご覧になったであろうか。動作学の側面からみてみよう。まず、目立つのは体幹の柔らかさである。これは米国でのレースではそれほどでもないが、日本人選手とのレースでは際立っている。言い方を変えると、他の日本人選手は著しく体幹を固めているように見える。これが、日本人の身体的特性によるものか走る技術によるものかは明確はならないが、体幹を固めているため重心の左右移動に影響があると思われる。2足で移動するのであるから適度な重心の左右移動が必要である。体幹を固めるとその移動がスムースにいかない。

 体幹の柔らかさはアーチの変化にも影響がみられる。スタートからトップスピードまでは胸を閉じて前傾を保っている。そして、トップスピードからは徐々にアーチをつくりフィニッシュでそれが最も大きくなっている。スタートからフィニッシュまで腰の角度の変化をおさえて体幹で角度をつくっているようにみえる。

 そして、これはデータをとらないと明確には言えないが、脚のたたみがはやい。はやいというのは、時間的にはやいのではなく、脚の後方スイングの局面のはやい時期にたたまれている。脚がはやい時期にたたまれるということは、前方スイングで足が鋭角に振り出されることを意味している。

 いずれにせよ、ボルト選手ほどではないが体幹の左右移動と体幹の柔軟性がないとできない走りである。他選手と比較すると著しく力感がない。世界選手権での活躍が期待される。

屈曲動作を練習する

2019-03-12

 屈曲動作の練習方法の動画を撮ってみました。屈曲動作で大切な膝の屈曲(抜き)です。動画は右半身(自然体)で右足から一歩出る動きです。

 まず、膝の抜きは「遊脚」の操作から練習するといいようです(上の動画)。「遊脚」とは最初に動作させる脚です。この場合は右脚です。「遊脚」の操作で大切なことは膝よりもつま先が前に出ないことです。これは簡単なようですが案外難しい操作です。

 ヒトはカラダの末端の意識(末端感覚)が強いので、多くの方は膝よりもつま先が先にでてしまいます。鏡を見たり動画を撮ったりして膝が前方に移動するようにトレーニングしてみてください。

 次に、「支持脚」の操作を練習します。動画(中)では「支持脚」(左足)だけでカラダを支えた状態から「支持脚」の膝を屈曲させて前進しています。練習方法の紹介ですので、かなりオーバーに動いてもらいました。洗練されてくるとほとんどカラダの沈み込みがなく動けるようになると思います。

 「遊脚」と「支持脚」の抜きをそれぞれ練習しておおよそできるようになったら、両膝を同時に抜くようにします(動画下)。これもかなりオーバーに分かりやすく動いていただいています。

 このように「遊脚」「支持脚」、「両脚」と段階を踏んで練習してみてください。

 実際には、動く速さや距離によって左右の膝を抜くタイミングを変えます。これはご自身で工夫されるといいと思います。

 この動画では、「右自然体」で右足からでるトレーニングをしています。逆に、「左自然体」でトレーニングされてもいいと思いますが、多くの方々は「右自然体」の方がやりやすいと思います。

錦織が約3年ぶりの優勝、12個目のタイトル獲得。

2019-01-07
エアケイ.jpg

 今年で個人トーナメント開催に終止符を打つテニスの「ブリスベン国際大会」(オーストラリア・ブリスベン/12月31日〜1月6日/ハードコート)で、男子シングルス決勝で第2シードの錦織圭(日本/日清食品)が第4シードで世界16位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と対戦した。

 6-4、3-6、6-2のフルセットの末に錦織選手が勝利し優勝を決めた。錦織選手の優勝は2016年2約3年ぶりで通算12個目のタイトル獲得となった。

 この約3年間続いた決勝での連敗を9でストップし、14日に開幕する「全豪オープン」へむけ期待のもてる優勝となった。

 さて、錦織選手の代名詞といえば「エア・ケイ」。最近は封印したとも伝えらえている。ランクが上がって「エア・ケイ」を使えるような浮いたボールを相手が返してこなくなったとも。また、「エア・ケイ」を使わなくても打てるように体幹をトレーニングしたとも伝えられている。

 この「エア・ケイ」の封印を動作学的に考察すれば、立ち上がり抜重時に高速で振れるほどラケットが軽くないことにも一因であると考えられる。立ち上がり抜重というのは、ジャンプして両足が地面から浮いた状態を言う。その状態では上肢が楽にしかも高速に動く。

 しかし、その効果は上肢に何も保持しない場合か、軽いラケットなどを保持した場合に限定される。卓球やバドミントンのように軽量のラケットを使用する競技では威力を発揮するが、テニスのラケットではそれほど有効ではないとも考えられる。

 しかし、テニスにおいてもサーブでは立ち上がり抜重を多用している。抜重による上肢の操作は科学的研究の余地が多分に残されている。

桃田選手の強さの秘密

2018-12-30

 数年前、まだ桃田選手が他競技の方々にはそれほど知られていなかったころ、バドミントン関係者からメールをいただいたことがある。

「とても膝の抜きが上手い選手がいるので動画をみてください」

というようなメールであった。当時拝見した動画も確かに「膝の抜き」が上手かったのだが、それからさらに成長して世界選手権者となった彼の動画をみると、動作学的には「スプリットステップ」に彼の強さの秘密があるように思われる。

 上の動画をご覧いただきたい。対戦相手のステップと比較して、とてもうまく、そして頻繁にスプリットステップを使っていることが分かる。

 対戦相手の選手らもスプリットステップを使っているが、彼らは左右のステップにばらつきがみられる。しかし、桃田選手のスプリットステップは、ほとんど左右の足が同時に着床している。左右が同時に着床することは、360度どの方向にも動作できることの条件である。対戦相手の選手らは左右の着床にばらつきがあるので動ける方向が限定される。

 このプレー中に両足同時着床するスプリットステップは、テニスのフェデラー選手も多用していた技術である。

 桃田選手の益々のご活躍を祈念したい。

骨盤前傾の誤解

2018-11-22
弓腰1.jpg

 当研究所では、選手などの動作改善で最初に取りくませることは適正な骨盤の角度を習得することです。一般的に、日本人は骨盤が後傾している傾向にあるので「骨盤を前傾させる」と理解している方も多いと思います。

 しかし、骨盤の前傾は注意が必要です。骨盤を前傾させると「弓腰」になる方が多いからです。上の写真のように腹部を前方に押し出すようにして骨盤を前傾させる方が案外多いのです。「弓腰」とは武術や武道で使用されてきた用語です。必要以上に骨盤を前傾させ腰が弓のように反っているために体幹の動き(力)を下肢に伝達することができません。昔から武術(武道)ではよくない(悪い)姿勢として伝えられてきました。

弓腰2.jpg

 下の写真をご覧ください。左はほぼ正常な骨盤の傾きです。右は骨盤を前傾させすぎて「弓腰」になっています。注目していただきたいのは重心が落ちる位置です。正常な骨盤の傾きでは、重心がほぼ左右の内くるぶしを結んだラインの中央に落ちますが、弓腰の場合はそれより前方に落ちています。

 当研究所では腹部を後方に引くようにして骨盤を前傾させるように指導します。この操作を武術(武道)では「腰を立てる」と言います。

 骨盤の適正位置は熟練した指導者に見てもらわないと分かりにくいものです。ところが、自分自身で骨盤の適正位置を習得する方法があります。それが「後歯下駄」を履くことです。

 「後歯下駄」を履いて一日5分〜10分立つことで無意識のうちに適正な骨盤の傾きを習得することができます。
(写真は、より)https://www.google.com/

専科セミナー「なみあし美ウォーク」

2018-10-06
美ウォーク1.jpg

 10月6日(土)大阪で専科セミナー「なみあし美ウォーク」を開催。合理的に美しく歩くコツを公開しました。「なみあし美ウォーク」がいよいよ世にでました。私自身の長年の疑問(課題)は、動作が洗練されると美しくなるのに、なぜ歩行動作ではそれが一致しないのかということでした。それは美しい歩行に関する誤解があったのです。

 モデル歩きに代表される美しい歩きは、一般に腰がローテーション(水平回転)すると考えられています。しかし、これは大いなる誤解です。美しい歩行の基本は腰がローテーションしないことなのです。女性らしさを表現するときには腰は水平回転ではなく左右に振るようにして歩きます。

 美しい歩きは「なみあし歩行」が原理となっています。まず、「なみあし歩行」を習得してそれを応用すると美しい歩きが身につきます。

美ウォーク2.jpg

 なみあし歩行を習得した後に、上記の順に歩きを変えていくとすぐに美しく歩けるようになります。女性は美しく、男性はカッコよく・・・。 

 さらに遊脚の骨盤を下げることや、順回転歩行を学ぶと、様々な美しい歩きが生み出せるようになります。

 上の動画はセミナーにご参加いただいた60歳代のインストラクターの男性です。インストラクターですので「なみあし歩行」は習得済み。美ウォークのレッスン20分ほどでこのように颯爽とした歩きに変わりました。 

 足はほぼ一直線を踏んでいきますが、足全体ではなくかかとを一直線に踏むイメージが大切です。そして、足先は多少外を向けます。女性の場合は5度〜10度ほどでいいと思います。 さらに腕は外に振ります。上から見た時に逆ハの字型になるようにします。そうすることで腰のローリングが抑えらえてカラダにやさしい歩きになります。

動作とリズム

2018-09-23

 動作とリズム、以前からの私の課題でもありました。しかし、「日本人は4拍子」であるとか「なみあし歩行の習得にはアフタービートが重要」という程度の理解しかありませんでした。 

 打楽器奏者(リズム研究家)で独自の「リズム習得法」をスポーツ動作などに応用することを目指しておられるSakuraさんのバスケットボールを使ったリズムトレーニングの動画です。

 Sakura氏は、「リズム」とは 厳密に言うと「音の模様」・ 「時間の模様」だといわれています。 正確さや再現性の高い動き、さらには 高い技術をともなった動きは 、拍子(荒いリズム)より 更に細かい音の粒に乗った予備動作で構成されていると説明されています。スポーツ動作などにおいては、一拍を6等分したリズムをマスターすると 様々な動作が可能になるようです。

 上のトレーニング動画では、 表拍と裏拍を脚(ステップ)で捉え、 それと同時に、上半身は 拍子を更に細かく6等分したリズムを捉えています。(トレーニングに適したテンポは 身長、地面の固さ、ボールの空気圧で変わります。 一拍を細かく6等分したリズムに それぞれ①②③④⑤⑥という数字をあてがい ボールが地面に接触するタイミングを色分けして表記しています。)

 Sakura氏のリズム習得法を学ぶと①〜⑥のどのタイミングでもボールをつけるようになります。画期的なリズムトレーニング法です。

 このトレーニングの基礎となるトレーニング法を徐々に公開していきます。

下駄トレーニングの効果

2018-08-02
20180802奥山さん足.jpg
20180802奥山さん足2.jpg

 先日より、「後歯下駄」の他に「足半下駄」を紹介しはじめました。「足半下駄」のお申し込みが殺到しておりまして、今は受付を見合わせております。

 さて、医療関係者で認定インストラクターの方からメールをいただきました。以下のような内容です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 先月、東京で、木寺先生の後歯下駄の講習が行われました。足の指の使い方が新鮮で、自宅でも下駄に乗る日が増えました。風呂上りにふと気づくと、左足の足跡の土踏まずの部分が、以前より、少し薄くなっているように見えました。(1枚目の写真です。これでも以前より薄くなっています。以前は土踏まずと母趾球が一番濃く跡がついていました。)

 数日後、下駄に乗った直後に風呂に入りました。2枚目の写真は、その風呂上りの足跡です。くっきりと土踏まずがあります。決して、無理な力を入れて立ったわけではありません。

 この年になっても、体って変わるものだと、驚き、喜んでいます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  

 動作トレーニングという場合には二つの意味があります。一つは動作に必要なカラダをつくるトレーニング、二つ目は動作のトレーニングです。多くの方は動作トレーニングには熱心ですが、動作に必要なカラダをつくるトレーニングをおろそかにしがちです。  

 下駄トレーニングは、それら両立させる画期的なトレーニングです。しかし、トレーニングの仕方にコツがあるんです。下駄会員ページでは、後歯下駄講習会の動画を公開しております。

日本、コロンビアを破る金星(2018ワールドカップ初戦)

2018-06-20
ワールドカップ20180619.jpg
ワールドカップ201806192.jpg

 14日に開幕したW杯ロシア大会。19日までに各国が1次リーグ初戦を終えた。

 FIFAランク61位の日本は同16位の格上コロンビアに2―1で勝利。数的優位を生かして“サランスクの奇跡”を起こし、W杯で南米勢から初勝利を挙げた。一方、FIFAランクトップ10のうち、白星スタートを切ったのは3位ベルギーと7位フランスのみ。1位ドイツが敗れ、南米の強豪ブラジルとアルゼンチンはそれぞれ引き分ける波乱のスタートとなった。

 日本の決勝トーナメント進出決定の条件 H組は第1戦を終えて日本とセネガルが勝ち点3で並び、ポーランドとコロンビアが同0。日本は第2戦でセネガルを下して勝ち点6とすれば、最終戦を待たずに1次リーグ各組2位以内による決勝トーナメント進出が決まる可能性がある。

(写真は日刊スポーツHPより)

インサイドキック1.JPG
インサイドキック2.jpg

 さて、試合の勝敗の他に、各国選手の身体操作に目を向けると興味深い。日本対コロンビア戦、私はボールコンタクト(キック)時から直後の体幹の動作傾向をみていた。日本選手はボールコンタクト時とその直後に、股関節が伸展し体幹が後傾する傾向にある。一方、コロンビア選手は股関節が屈曲傾向にあり、体幹が前傾します。胸が斜め下を向くような操作をします。

 どちらがいいかとは一概にはいえないが、各国の身体動作の特性を観察するのもワールドカップの一つの観戦方法だ。

足半下駄

2018-04-07
足半下駄.JPG

 下駄製作所より「足半下駄」の試作品が送られてきました。平昌オリンピック後、スケート選手が使用していたものと同じ下駄に乗る機会がありました。

 それは台座部が狭く(短く)初心者には難しく感じられました。この試作品は、台座部分を多少長くしてあるために、下駄初心者でも、足の指を底屈させ、かかとを踏む感覚が得られます。かかとが接地していなくても、かかとを下げる操作を習得することができます。

 また、これまでの後歯下駄とこの足半下駄を併用すると、カラダがかかとで前進しつま先で後進させる操作を足指で行うことができるようになります。

 なみあし身体研究所/動作改善普及センターに、新たなトレーニング用具が加わりそうです。6月に東京・大阪・名古屋・福岡で開催されます「後歯下駄セミナー」で、この「足半下駄」を履いていただけます。販売は「後歯下駄セミナー」終了後になる予定です。

ライン登録お願いします。

ご登録いただきますと
動画「なみあしセミナー」(定価11800円相当)をプレゼントいたします。

なみあし無限
驚異のスポーツ上達法

「剣道なみあし流」