日常動作やスポーツ・武道の動作を洗練させるための土台は「リラックス」です。私はそれを「放鬆(ほうしょう)」と言っています。
研究所が開講している「無限錬氣法講座」では、まず「放鬆(ほうしょう)」を身につけていただくように指導させていただいていますが「リラックス」のコツがいくつかあるようです。その中でほとんどの方が気づいていないこと に「目付け」があります。
なかなか「リラックス感」を得られない方の多くは「目」とその周辺の「リラックス」が習得されていないことが多いようです。
武道では「遠山の目付け」という教えがあります。相手と対したときに遠くの山をみるような「目付け」をしなさいという教えです。遠くの山をみるように、相手に焦点を合わせない「目付け」になります。試してみてください。あごを引いて少し上目使いでみたばあいと、遠くをみるようにして相手を上から眺めるようにみる場合では、明らかに後者の方が眼球とその周辺がリラックスします。
また、「目付け」については宮本武蔵が興味深いことを語っています。五輪書の水の巻には、
目をみださず、額にしわをよせず、眉あいに皺をよせて目の玉動かざるやうにして、瞬きをせぬやうにおもひて、目を少しすくめるやうにして、うらやかに見るかを
と記されています。
相手をにらみつけず、額(ひたい)にしわをよせるのではなく、眉(まゆ)と眉の間(まゆげとまゆげの間)にしわができるようにして、目の玉を動かさないようにし、瞬きをしないようなつもりで、目をすこしすくめる(閉じる)ようにして、おだやかな表情で・・(現代語訳)
これらはすべて相手の動作や気配を観る方法として述べられているのですが、リラックスという観点からは目とその周辺をリラックスさせる方法といえます。
なみあし身体研究所では「ビジョントレーニング講座」も開催していますが、講師である松谷氏によれば、動体視力をあげる基礎は「リラックス」であると述べられています。
動作や技を習得する前に、その基礎となる「リラックス」を習得したいものです。