2010年05月28日

常歩事始(ことはじめ)

 常歩(二軸動作)の始まりについてお話ししておきましょう。常歩(二軸動作)がどのような経緯で生まれたかを知ることによって理解がさらに深まります。

 常歩(なみあし)は、小田伸午先生(関西大学人間健康学部)・小山田良治氏(五体治療院代表)・木寺英史(九州共立大学スポーツ学部、当HP管理者)の3名が知り合うことによって生まれました。1997年頃から小田先生と小山田氏の二人での情報交換がはじまりました。1999年より、当HP管理者の木寺が情報交換に加わりました。

 小田先生と小山田氏の当初の情報交換はもっぱらFAXで行なわれていました。その後、インターネットが普及し情報交換のツールがメールへと移行していきました。これまで交わしたメールは2万通を超えています。

 全く分野が異なる3人でしたが、共通する課題を持っていました。それは「右と左」です。小田先生の当時の研究課題は「身体運動における右と左」で著書のタイトルにもなっています。小山田氏は豊富な治療経験から「身体の左右はあらゆる面で非対称である」と確信されていたようです。私(木寺)は剣道の技術・動作研究から「右と左」の特性があることを感じていました。

 身体に左右特性があるとすれば、その左右特性を生かした動作法があるはずです。その特性を探ることから動作法を構築していきました。

 その動作法は、小山田氏が開院している「五体治療院」(愛知県小牧市)に通う選手らによって実証されていきました。

 実践と研究の結果、これまで常識と考えられてきた動作に多くの錯覚や誤解が含まれていることが明らかになってきました。そこで、スポーツや武道(武術)の動作をさらに考察し、合理的な動作方法を提唱することにしました。

 当初は二軸動作と名づけましたがのとらえ方がスポーツなどの種目や個人により様々であるため常歩(なみあし)というニックネームでも呼ぶことにしました。

 その後「二軸動作(感覚)」だけではなく「骨盤の前傾」「外旋立ち」に代表される姿勢や「肩甲骨の外放」「股関節の外旋」「膝の抜き」「踵の踏み」「頭部の傾き」などの身体操作、さらには「垂直感覚」「水平感覚」「同側感覚」「屈曲感覚」などの身体感覚を提唱してきました。さらに、これらを習得するためのストレッチやトレーニング法などの開発を続けています。

 これらの常歩(二軸動作)とそのトレーニング方法は、オリンピックメダリストをはじめ多くのトップ選手に伝授されてきました。また、医師や看護師、理学療法士、整体師などの医療関係者にも大きな影響を与えてきました。

 トップアスリートだけでなく、一般の方々の日常生活や高齢者や障がい者の歩行法としても注目されています。

 常歩(二軸動作)の身体操作や感覚を体験すると、元の動きや感覚には戻れなくなるようです。非常に心地よい感覚が出現します。

 このHPとの出会いが、皆さんの常歩事始となることを祈念します。 

2008年10月28日

「なんば」と「常歩(なみあし)」

 2003年8月、世界陸上選手権大会、男子200メートルで、末続慎吾選手が銅メダルを獲得しました。彼がその走りの感覚の中に「なんば」を取り入れたと語ったことから「なんば」一挙に注目されだしました。

 彼の帰国以後、あらゆる場所で「なんば」が大きく取り上げらました。現在でも、解説者やスポーツライターの方々が「なんば」を説明されていますが、それらは「なんば」の表面的な動きしか語られておらず、スポーツの動きに「なんば」を取り入れようとすれば、大きな混乱を招くと思われます。

 私たちは、なんば」や武道などの動きから、あらゆるスポーツに応用できる「常歩(なみあし)」という身体操作方法を提唱しています。多くの方々より「なんば」「常歩(あみあし)」はどう異なるのか、というご質問を受けます。そこで、その違いについてく述べてみたいと思います。ご一読いただければ幸いです。
 
 以前より、江戸時代末頃までの日本人は現在のような歩き方をしていなかったといわれてきました。その歩き方を「なんば歩き」といいます。

 「なんば」「なんば歩き」は元々、舞踊や歌舞伎の世界で言われてきたようです。実は、現在、スポーツ界でとらえられている、「なんば」の動きというのは、武智鉄二氏(映画や歌舞伎の評論家・演出家)が提唱した「なんば」の解釈をおおかた引き継いだものなのです。まず、「なんば」「なんば歩き」同側の手足が前に出るといわれてきました。これは具体的にどういうことかというと、武智鉄二氏は腕を振るのではなく「右足が前に出るときに右肩が出る、左足が前に出るときに左肩が前にでる」と述べています。これが現在の一般的な「なんば」の解釈の原型です。

  さらに、武智氏はこのような歩き方は肩が大きく揺れて無駄が多いので、その動きを極力抑えるようにして歩くとしています。能や歌舞伎などの洗練された動きでは、上体を固定したままねじらないで歩くとしています。このように、「なんば歩き」は、現在のスポーツ界では

1、同側の手足が同時に前にでる。
2、左右の半身を繰り返す
3、上体(体幹)をねじらない

というように、考えられています。

  このような解釈も間違えとはいえません。確かに、「なんば」の動きはこのような傾向があるようです。しかしながら、これらの感覚(動き)をスポーツの動きに取り入れることは、とても難しいと考えられます。そこで、あらゆる上肢の動きにも応用できる体幹の操作を発見しました。それを私たちは「常歩(なみあし)」と名づけました。


 「常歩(なみあし)」は、ねじらないというような感覚ではなく、どのように体幹を使うのか(動くのか)ということに主眼を置いています。走歩行で考えて見ましょう。

 例えば、振り出された右足が着地し、左足が後方から前方へ振り出されます。このとき、骨盤や肩(肩甲骨)を固定してしまう感覚ではなく、着地足側の右腰の前方への動き、またはその感覚「常歩(なみあし)」の感覚です。その右腰の前方への動きに伴って、右肩も前方へ移動します。当然、少し遅れて右腕も前方へ振り込まれることになります。

 感覚的には、右足着地の直後、右腰、右肩、右腕と前方へ移動するのです。そして、前方へ移動した右肩甲骨はすぐに、上方へ持ち上げられ、左側へ重心を移動させます。それと同時に、左足着地から、左腰、左肩、左腕と前方へ移動します。この動きをスムースにするのが、股関節の外旋着地です。感覚的に言えば、着地足側の体幹全部が前に出る感覚です。つまり、着地足側の股関節を十分に機能させて、同じ側の体幹を前方へ押し出します。

 「常歩(なみあし)」は体幹を固定するのではなく、股関節や肩甲骨を積極的に使って合理的な走歩行や動きを実現しようとするものです。この動きは、例えば空手の突きや、相撲の押しにみられる体の動きと同じです。

 このように、体幹を合理的に動かすことによって、体幹がねじれない動きが結果としてあらわれるのです。体幹を固定するという消極的な感覚ではなく、股関節と肩甲骨の積極的な操作によりねじれない体幹の動きを作り出すのが常歩(なみあし)です。

2009年05月21日

動きの3要素

 二軸動作・常歩感覚を大切にしています。なぜでしょうか?。

 動作を勉強したり、習得したりするときには感覚を抜きにできません。

 動作を観たり、自分でつくったりするときの3要素があります。この3つの要素のどれが欠けてもいけません。

 その3要素とは、動き・力の方向・感覚です。簡単に説明しましょう。

 動きとは、客観的に現れる動作です。しかし、動きをみるときに注意しなければならないのは、実際(客観)に動いている方向と力の方向(からだに力がかかる方向)は異なっている場合があるということです。

 例えば、腕をできるだけ速く、頭上に上げて下げて(元に戻して)ください。 腕が頭上にあがっていく途中にすでに腕を下げる方向の力が加わっています。

 また、そのときの感覚を感じてみてください。人によって異なりますが、動き力の方向とは異なる感覚(感じ方)があるのです。

 動き見えますが、力の方向感覚は見ることができません。

 しかし、これらの不可視的な要素に気づくことで、動作を観たりつくったりすることができるのです。

 このページでは、主に常歩の感覚について取り上げてみます。是非、ご自分の感覚と照らし合わせて読み進めていただければと思います。

2009年05月22日

主観と客観

 動きの3要素を学んだところで、主観客観について触れることにします。

 私たちが動きを学んだり身につけたりするときには、上手な人の動きを真似たり、ビデオを撮ったりします。そして、自分のフォームをつくります。

 しかし、なかなか上手くいかないことも多いようです。自分で理想のフォームを描いていても、そのようには動くことができません。

 その原因のひとつは、主観客観のズレがあるからです。

 

 例えば、ターンオーバーする走りを目指すとします。ターンオーバーとは走動作において離地した脚が鋭く前方に切り返されることを言います。(「ターンオーバーと二直線走法」参照) 

 すばらしいターンオーバーの走りをする選手やそのデータを参考に、意識的に脚を前に切り返そうとしたり、膝を前方へ振り上げようとしても上手くいきません。

 それは、実際の動き(客観)とそれを生み出す感覚(主観)が異なるからです。

主観客観.jpg

 カール・ルイス選手(1990年代に活躍した陸上選手・オリンピックで通算9個の金メダルを獲得)のコーチであったトム・テレツ氏は、ターンオーバーを生み出す感覚は「足を真下に踏みつけることだ」と語ったといいます。

 客観的な動きとは、全く異なる主観(感覚)で、ターンオーバーを生み出していたのです。

 

 また、私たちは様々な動作の教えを「ことば」として受け取ります。しかし、その「ことば」が客観としての「ことば」か、主観としての「ことば」かを明確に把握しないと誤った姿勢や動作を覚えることになります。

 スポーツや武道の指導現場では、これらが混在しているのです。

 さらにやっかいなのは、主観は個人によって異なるということです。

 トレーニングや稽古のなかで、独自の感覚(主観)をみつけることも楽しいことです。

 また、個人の感覚も時間の経過とともに変化していきます。1年前の主観(感覚)と現在の主観は違います。常に、現在の新しい感覚を探すことも大切です。 

2008年11月28日

合理的身体操作とは

 近年、さまざまな「身体操作法」や「技法」が伝えられたり紹介されたりしています。 私たちが提唱している「二軸動作・常歩(なみあし)」もその一つですが、目指しているのはどれも「合理的に動く」ということのようです。 「合理的に動く」つまり「合理的身体操作」とはどのような動きなのでしょうか。整理してみましょう。 img009.jpg

【内力と外力】 

 まず、実際に動いてみましょう。自然に立ってください。1メートルくらい前方の地面(床)にラインを引きます(目印を決めてもけっこうです)。左右どちらの足を踏み出してもかまいません。一歩でそのライン(目印)まで体を運んでください。さて、皆さんはどのように体を運ぶでしょうか。

 最初は1メートル先まで跳んでみましょう。左右どちらかの足で地面(床)を蹴って前進します。跳びあがるようにして動きます。次は、立ったまま前に倒れてみましょう。そのときに両足の踵(かかと)を上げないでください。踵(かかと)を接地したまま前に倒れていきます。そして、これ以上前傾ができないところまで倒れたらどちらかの足を前に踏み出してください。これら二つの方法を試していかがでしたでしょうか。何が違うのでしょうか。

 跳び上がる方法は主に「筋力」を使っています。「内力」ともいいます。からだの内側から出される力という意味です。一方、からだを前傾させる方法は、「内力(筋力)」よりも「外力(重力)」を使います。全く異なる感覚であると思います。

 「合理的身体操作」とは、このように可能な限り「外力(重力)」を使用する動きのことをいいます。しかし、ここで紹介したからだを前傾させる方法は、「外力(重力)」を使う最も初歩的なものです。動きを知る導入方法と理解してください。 

 

【体幹を使う】

 「合理的身体操作」のもう一つの重要なことは「体幹を使う」ということです。スポーツなどの動作を観察するときに、多くの方々は四肢(手足)の動きに注目します。同様に、自分で動作するときにも主に四肢(手足)の動きを意識します。

 しかし、四肢(手足)の合理的な動きは「体幹」の動きを伝えることによって可能となるのです。多くの方々が「体幹」の動きに無頓着で四肢の動きにとらわれています。それは、私たちはからだの末端の動きは意識しやすく「体幹」の動きは把握しにくいからです。

 「体幹」の動きは左右の股関節と肩甲骨の動きによって導かれます。近年、股関節と肩甲骨の重要性がいわれるようになりました。それは、それらを動かすことによって「体幹」が十分に使えるようになるからです。

 

 さて、二軸動作・常歩(なみあし)も、可能な限り「外力(重力)」を利用し、さらには体幹の動きを四肢に伝えることを目指しています。このことを理解してさらに具体的な身体操作を学びましょう。 

 

 

【常歩の身体操作とは】

 合理的な身体操作の二大要素は、外力(重力)の最大限の利用と体幹の動きであることはご理解いただけたと思います。体幹の動きの基礎は股関節と肩甲骨にあることも述べました。

 常歩(なみあし)は、その股関節と肩甲骨の特性を掘り下げることで生まれました。

 それは、これまでほとんど語られてこなかった股関節上腕内外旋です。さらに、股関節上腕の動きには左右の特性があるのです。つまり、身体の右軸(右半身)と左軸(左半身)は別々の動き方をするのです。

 これらの特性を踏まえながら、常歩(なみあし)の主な身体動作を紹介します。

 みなさんのご専門種目の動きに置きかえてみてください。

 

2008年11月04日

常歩の姿勢(外旋立ち)

ritui2.jpg姿勢、特に立位姿勢について誤解している方が多いのです。「気をつけ」のような姿勢が正しいと思っていませんか。「立位姿勢」を見直しましょう。

 

安定しかつ素早く動くためには、多少乱暴に言えば楽に立つことが大切です。足を肩幅(骨盤幅)に開き足先はやや開きます。次に膝を少し曲げて、骨盤を前傾させます。骨盤を前傾させるというのはお尻が少し後ろに出るようにイメージします。その骨盤の上に楽に上体を乗せてみましょう。腕はだらりと下げて、顎は気をつけのときのようにぎゅっと引くのではなく、緩めて少し出すようにします。

 

 

 

 

骨盤を前傾させると自然と胸が張られます。この体幹アーチは個々の柔軟性によって異なります。頭の位置や胸の張り方など調整して最も楽に立てるポジションを見つけてください。横から見たときに頭頂・肩の真ん中・大転子(大腿骨上部の出っぱった部分、股関節の位置)が垂直に並ぶと理想的です。

 

 さらに重要なのは重心を落とす位置です。立ったときに足底の拇指球付近(つま先付近)に圧力がかかっていませんか。そうではなく、足底の踵、そしてアウトエッジ(足裏の小指側)に足圧を感じるようなイメージで立ってください。このような姿勢を「外旋立ち」といい、全身の力を効率よく使うことができる立ち方です。 

 実は「外旋立ち」は昔の日本人の立ち方です。日本では市民が靴を履くようになったのは明治の終わり頃、それまでは草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)を履いていました。踵がしっかり地についた立ち方をしていたのです。

 生活の中で姿勢を意識するようにしましょう。この「外旋立ち」をマスターするだけでパフォーマンスが飛躍的に上がることも珍しくないのです。

2009年05月19日

股関節の外旋と外旋位

 股関節の位置がイメージできたところで、その操作について学びましょう。まず、股関節の動きを確認しましょう。

股関節02.jpg

 左の図を見てください。股関節には大きく3つの動きがあります。脚を前後にふるときの動きを屈曲・伸展といいます。

 つま先(膝)がからだの内側を向いたり外側を向いたりする動きを内旋・外旋といいます(わかりずらい場合は、右の図で確認してください)。

 そして、脚がからだから離れたり近づいたりする動きを外転・内転といいます。

 常歩(なみあし)は、そのなかで内外旋の動きに着目しました。例えば、みなさんが歩いたり走ったりするときには、脚が前後に動く伸展・屈曲の動きをイメージするのではないでしょうか。しかし、その動きに内旋・外旋の動きが加わることによって合理的な動作になるのです。

 そのためには、立位姿勢や走歩行での着地脚のつま先(膝)の向きがやや外を向くことが理想です。

フレーザー.jpg

 左の写真をみてください。08年北京オリンピック陸上競技女子100メートルのゴールです。見事な外旋着地です。

 さて、ここで股関節外旋について理解していただきたいことがあります。それは、外旋外旋位についてです。

 外旋とは股関節外旋の力が加わっていることをいいます。大腿骨が外に回る力がかかっている状態です。

 一方、外旋位とは骨盤に対してつま先(膝)が外を向いている状態をいいます。力の方向は関係ありません。ですから、股関節外旋位であっても内旋(内旋力)がかかっている場合もあるのです。

 上の写真の右の選手を見てください。左足は見事な外旋着地ですが、すでに右脚は前方に振り出され左の股関節内旋がかかりつつあると思われます。

 外旋外旋位内旋内旋位を理解しましょう。

2009年05月19日

踵(かかと)を踏む

 私たちが動作するときには「内力(筋力)」「外力(重力)」を使います。もう一度、このページの「合理的身体操作とは」「内力と外力」の項をみてください。

 そして、前に倒れこみながら1歩前にでる動きをしてみてください。そのときに次の二つの方法で行ってみましょう。まず、からだを前傾させるときにつま先立ちになって踵(かかと)をあげてみましょう。次に、をつけたまま倒れこんでみましょう。をつけたまま、倒れこむと同時につま先をあげるような感じです。

 何回かくりかえしてください。どちらの方法が前傾しやすく前に出やすいでしょうか。を接地さる方が前進しやすかったはずです。

 どうしてでしょうか。を接地させる方法は、より外力(重力)を利用しているからです。

踵を踏む.jpg

 左の図をご覧ください。前に倒れるときの支持点と重心を結んであります。垂線との角度を比べてください。を支持点にした方が角度が大きいことがわかります。つまり、を支持点にすればより前傾できるのです。

 このように外力(重力)を最大限に利用するためには、重心点からできるだけ離れたところで支持することが大切なのです。

 前進するときにはつま先よりで支えたほうがスムーズに動くことができるのです。からだをどの方向に移動させるときでも、拇指球あたりで支えていませんか。

 を踏む操作はからだを前進させるときのコツです。後退するときはま先、右移動なら左足のアウトエッジ(外側、左移動は右足のアウトエッジです。楽に立った姿勢からこれらのことを試してみてください。

 を踏むという操作は、足裏全体をうまく使うことの象徴的な表現です。どんなときでもを踏むのではありません。 

  

2008年11月06日

膝を抜く

 もう一度、前傾して一歩前にでてみてください。(「合理的身体操作とは」−「内力と外力」参照)

 すばやく前進するためにもうひとつ動きを加えてみましょう。それが膝を抜くという操作です。踵支持でからだを前傾させます。一歩踏みだすときに支持脚の膝をぱっと小さく曲げてみましょう。膝を小さく抜いた瞬間に、からだが加速して前進します。

 膝を抜くときにつま先に体重をかけてはいけません。踵をさらに踏むのです。この動作と感覚を何回も繰り返しておぼえてください。

 膝の抜きには、いくつかの種類と方法があります。例えば

  1. からだの重心を落とす(さらに落とす)ために膝を抜く
  2. 地面(床)反力によってからだを移動させたり、相手を押すために膝を抜く
  3. 筋肉の伸張反射を使うために膝を抜く
  4. 瞬間的に静的安定を崩すために膝を抜く

などがあります。他にも膝を抜く目的がありますが、以上の4つが代表的なものです。

 

 膝抜きトレーニング(練習)をしますと、意識しすぎて抜きではなく「屈曲ー伸展」になる方が多いようです。

 膝の抜き大切な常歩の身体操作の要素なのですが、他の操作ができるようになると自然と身につくと理解してください。 無意識にでる動きという側面がつよいです。datotsu.jpg

 写真の左足をご覧ください。膝の抜きをつかった剣道の打突です。踵は接地したままです。 この状態から、打突すれば自然と左膝は屈曲していきます。

 下の写真は、左足が離床した直後ですが、左膝を抜きならが離床しています。このときの、左の足関節(足首の関節)をご覧ください。ほぼ90度を保っています。

 一般的な剣道の打突では、左の膝関節と足関節はともに伸展しながら離床します。

 しかし、常歩(なみあし)の打突では逆に膝を抜きながら動きます。

 剣道の打突に限らず、膝の抜き意識すると上手くいかないかもしれません。それよりも、踵で支える感覚を主にした方がいいのかもしれません。このあたりは、個人差があるようですので、ご自分の膝抜き感覚をみつけましょう。

2009年05月21日

肩甲骨の外放と上腕の外旋

肩甲帯.jpg 股関節とともに重要な役割をするのが肩です。

 一般に肩をいうと、上腕の先端の肩関節Aをイメージしますが、肩関節肩甲骨とともに動きます。

 複雑な動きが可能な肩周辺のことを肩甲帯ともいいます。

 鎖骨の片側が胸鎖関節@で胸骨につながっているだけで他の部分は浮いていて肋骨の上をすべるように動きます。

 背中側に位置する肩甲骨も様々な方向に動くことができます。

 しかし、この肩甲骨を十分に使えていない人が多いのです。

 その原因のひとつは、立位姿勢での肩甲骨の位置にあります。

 肩の柔軟性を高めることに熱心な方は多いのですが、日ごろの姿勢で肩甲骨を十分につかえるニュートラルポジションを意識する人はほとんどいません。

 楽に立って、まっすぐに両腕を垂直にあげてください。手のひらを前にして、前額面(体を前後に切る面)にそって両腕を広げながら下ろして体側につけてください。

肩外放1.jpg その位置がニュートラルポジションです。

 それよりも肩甲骨がからだの前に位置する場合を前肩、後ろに位置する場合を引き肩といいます。 

 さらにニュートラルポジションで十分にゆるみ、肩甲骨が外側に放たれた状態が理想です。

 この状態を肩甲骨の外放と言います。

 

 肩甲骨ニュートラルポジション(肩甲骨の外放)にあると、上腕の外旋の操作が容易になります。腕を楽に前にあげてください。手のひらを上に向けながら上腕(肩から肘まで)のようすを観察してください。

 肘(肘関節の曲がらないほ上腕.jpgう)が下を向くように上腕が回転します。

 この動きを上腕が外旋するいいます。スポーツなどで脇をしめるといいます。これは、上腕を外旋させながら肘が体側による動きです。

 この上腕を外旋させる操作は、スポーツ・武道(武術)などのあらゆる動作で使われています。工夫してみてください。

 例えば、重心移動にも上腕の外旋がつかえます。上腕が外旋するほうへ重心は移動しやすくなります。

 実は、上腕の外旋状態は人によって違います。その場でにならえをしてください。両腕を体の前に水平にあげてみましょう。肘の曲がる側が上を向くほど、上腕の外旋状態がつよく、内側を向くほど内旋状態がつよいことになります。 

一本歯(後歯)下駄