「頭上運搬」で立位姿勢をととのえる

2019-09-28
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 動作の基礎となる「ニュートラルな姿勢」をどのように習得するのか。また、指導するのか。動作改善を志すときに、最も重要な課題です。

 姿勢を調整することなく動作だけを変えようとされている方がとても多いものです。

 「なみあし身体研究所」では、足裏の足圧を感じていただいたり、壁を用いたり、さらには「後歯下駄」を用いて姿勢調整を行ってきました。どれも有効な方法であると思います。

 先日、鹿児島にお住いのマスターインストラクターである杉浦氏から「写真(左)」が送られてきました。添えられていた文章によると、頭上に本などをおいて立位姿勢をとるとリラックス度が向上するという内容でした。杉浦さんは、体感覚が非常に優れた方なのですが、リラックスが増すということは、ニュートラルな姿勢により近づいたことを意味します。写真の杉浦さんの立位姿勢は理想的な立ち方をされています。

 以前から、ウォーキングなどのトレーニングにおいて頭上にものを乗せて歩く方法が用いられてきました。実は、運搬方法で頭上にものを乗せるというのは代表的な運搬法の一つです。

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 現在でも、沖縄地方ではこの「頭上運搬」が残っている地域があるようですし、アフリカでは一般的な方法として「頭上運搬」がみられます。さて、『運ぶヒトの人類学』(岩波新書)の著者である川田順造先生は、頭上運搬が可能になる条件として「骨盤の前傾」をあげられています。そして、運搬法とその民族の姿勢には関係があると考察されています。 

 さらに興味深いのは、日本でも中世までは「頭上運搬」が一般的であったという説があることです。そのころの静止画には「頭上運搬」をしていなくても背筋が伸び、骨盤が前傾しているように描かれている人物が多く登場するとのことです。しかし、近世(江戸時代)になり、日本人の運搬方法は「頭上運搬」から「背負う」ようになりました。それにつれて、日本人の骨盤は後傾して胸が閉じたのではないかと考えられます。

 先日、ウォーキングマスター養成講座の「グループコーチング」で、この「頭上運搬」が話題となり、ある治療家の方から姿勢の指導で「水の入ったビーニーる袋」を頭上に乗せることをトレーニングの一つにされているというお話がありました。

 その民族や人の姿勢が物の運搬方法を決めるのではなく、運搬方法が姿勢を改善していくと考えられます。頭上運搬が一つの有効な姿勢改善方法として浮かび上がってきます。

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