記録が良すぎる・・2020全国高校駅伝
男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会が20日、京都市で開催されました。世羅高等学校(広島)が5年ぶり2回目となる男女同時優勝。
世羅は男女ともに優勝は5年ぶり。男子は自身の歴代最多優勝回数を更新する10回目の制覇。タイムは歴代2位の2時間1分31秒でした。女子は2回目の優勝で、1時間7分13秒は歴代8位。
まずは、世羅高等学校の選手だけでなく、出場したすべての選手およびチーム関係者に敬意を表したいと思います。
近年の高校駅伝は高速駅伝といわれます。今年で71回目を迎える男子大会ですが、現在と同じ42.195キロで争われるようになったのは第3回大会からです。第3回(1952)大会の優勝記録は、2時間18分42秒(玉名高校・熊本)。その後、徐々に記録が伸び、優勝記録が2時間10分を切ったのが第17回(1966)年です。
その後の優勝タイムは10分前後ですが、第33回(1882)大会で西脇工業が8分台を出すと一気に優勝タイムが短縮されていきます。そして、2000年以降の優勝タイムはすべて2時間5分を切っています。
さて、大会終了後、出場校のコーチとお話をする機会がありました。コーチによれば、この高校駅伝の高速化は駅伝人気が過熱し各学校がタイムを縮めることを第一義としてきた結果だというのです。優勝を目指すことは当然のことですが、将来さらに高いパフォーマンスを発揮するためには、本来記録より先に目指すべき内容があるのではないかと語っておられました。
それを私は「上達論」と言ってきました。最高点に到達するための「道筋」といいかえてもいいと思います。
先のコーチによれば、これだけ高校生の記録が上がっているのに、日本と世界のトップ選手との差は縮まってはおらず、逆に開きつつあるとのこと。
日本のスポーツはこの駅伝に限らず、それぞれの年代で「勝利を得る」ことを第一義とするのではなく、上達論に則した指導が評価されることが大切であると考えられます。
この日本的勝利至上主義は何によって強化されたかというと、一つは各年代で「日本一」を決める大会が開催されていることと、スポーツ活動が学校で行われていることにあると考えられます。
「日本一」を決める大会があれば勝利至上主義へと過熱するのは当たり前のことです。スポーツ活動が学校単位で行われていることは、試合が学校対抗という形になり、学校の名誉を背負って「負けられない」ものとなっています。
21世紀の日本スポーツ界の課題は「脱学校(教育)」であると考えられます。