昨年(2009)の世界陸上でまたまた100Mの世界記録を塗り替えたボルト選手。彼の走りについて、ベースボールマガジン社の陸上競技クリニック(vol6)に貴重なデータが掲載されています。そして、元400mハードラーの山崎一彦氏(福岡大)が、左右非対称があたりまえ、という記事を書いておられます。

 9秒58(世界陸上ベルリン大会)のボルト選手の40歩のピッチとストライドの全データがグラフになってでています。(JISSの松尾氏の分析)。

 最初の左右合計10歩(最初の10歩)までは、右足のピッチが(右着地から左着地まで)4.5から4.7歩(毎秒)で、左足(左足着地から右足着地まで)が3.8歩(毎秒)から始まり、だんだん速くなり右足のピッチにトータル10歩目で追いつきます。ここまでで3秒かかっています。

 そのあとの17歩(最初から言うと27歩目まで)が、左右足とも4.5歩毎秒をキープします。最後の13歩ですが、あいかわらず最後までボルトの右ピッチは、4.5歩(毎秒)をキープ、ところが左ピッチは、ゴールにむかって徐々に低下し4.25歩(毎秒)くらいまで下がっています。

 ストライドは、8歩まで急激に伸びてゆきます。1歩目が1mの歩幅で、8歩目が2m35cmくらいまで直線的に伸びていきます。その後、17歩目まで、右左とも徐々にストライドが2.35mから2.75mまで伸びてゆきます。

 最後の13歩ですが、ピッチをキープする右足から左足までのストライドは、ほんのわずかにストライドを縮めて2.6mくらいを維持します。ピッチを急激に落とす左足から右足のストライドは2.9mくらいまで伸びてゆきます。

 文章では分かりずらいのですがイメージしてみてください。私はピッチの変化に注目しました。

 スタートからゴールまで、右のピッチ(右から左)は4.5~4.6歩(毎秒)であるのに対し、左のピッチ(左から右)は3.8~4.5歩と幅があります。このことは何を意味しているかというと、左に重心(基準)があるために、左から右へのピッチが変化するのだと考えます。

 右のピッチに変化がないのは、左基準であるために右から左に自然に(自重を利用して)もどっているためと思われます。

 左のピッチに変化があるのは、左基準ですから自在にピッチを調整できるからだとしているからだと思われます。これは走動作だけではなくて、ピッチが変化している側(この場合は左)に基準があるという共通点があるのではないかと考えられます。

 他の選手のデータが分かりませんのでなんともいえませんが、ボルト選手は本来200Mが得意ですから、このようなデータが明確にでたのかもしれません。

 それにしても、左右の違いがデータとして注目されたことは画期的なことだと思います。

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