
久しぶりに内容に引き込まれる本を読んだ。「BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”」
著者のクリストファー・マクドゥーガルは、市民ランナーである。一つの疑問、「どうして私たちの足は走ると痛むのか?」から冒険がはじまる。
メキシコの山地に住む「走る民族」タラウラマ族に行き着く。タマウラマ族とは、ワラッチという日本の草鞋に酷似した履物をはいて、何時間も走ることができる。
それらの過程で分かったこと・・それは、わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ・・と言うことだった。
本書には衝撃的なデータが紹介されている。例えば、高級マラソンシューズを履くランナーは、安価なシューズのランナーに比べて、怪我をする確率が123%も多い。これは、あるロードレース4358人を分析した結果だ。
また、ある実験ではやわらかい(クッション性のある)シューズを履いた場合と硬いシューズを履いた場合では、衝撃力にはなんの違いもないことが判明したとある。さらに、「垂直床反力における第2の、すなわち推進力のピーク値は柔らかいシューズのほうが高い」というデータも紹介されている。これは、シューズのクッション性が高いほど、足が保護されていないことを意味している。人間は、クッション性のあるシューズを履くと、無意識のうちに安定性(バランス)を求めて強く足をたたきつける傾向にあるらしい。
さらに、ヒトの解剖学的分析から、私たちのからだは長く走るために進化したとする研究者の推論を紹介している。例えば、あまり知られていないヒトにもある「項じん帯」、これは他の哺乳類では犬、馬など走る動物だけが持つ。走らない動物にはない。走るときに頭の安定を保つためだ。また、アキレス腱も同様に走る動物にしかない。走ることができないチンパンジーにはアキレス腱がない。これらは、ヒトが走るために進化した証拠ではないかと研究者達は推測する。
では、なぜヒトは走るために進化したのか。それは、狩猟形態だ。狩猟民族の歴史をたどると、かれらは200万年の間、素手で狩猟していたことになるらしい。その方法とは、走ること。長く走ることによって、獲物を動くことができない状態に追い込んでいたのではないか。
とにかく興味深い内容が続きます。