「錯覚のスポーツ身体学」の中でも触れさせていただいたのですが、現代剣道の「動作」は合理的ではない側面があります。それは、しない(竹刀)を日本刀の代用としていること。私はこれを「日本刀代用論」と言っています。

 しない(竹刀)での動作(技術)は、断じて日本刀のそれではないと考えています。私は、以前からそのことを雑誌などでも提唱してきました。多くの剣士が誤解していることは、「日本刀代用論」を否定すると剣道から日本刀の特性が消失すると考えていることです。しかし、逆なのです。しない(竹刀)の合理性を求め、その中に日本刀の特性を「規則(ルール)」として包含させなければ、日本刀の特性は消失してしまうのです。逆説的ですが、しない(竹刀)での技術や動作を求めることによって日本刀の特性が受け継がれていく考えています。

 このごろ、土曜日は奈良高専の近くの中学校の合同稽古にうかがっています。とてもご熱心な先生がいらして、初心者にしない(竹刀)での合理的な技術を教えておられます。先生は、実際に打突するときに「大きく振りかぶって振り下ろす」というご指導をされません。両手(拳)を一直線に打突部位(面)に突き出すように教えられます。ご指導を拝見していると、面も小手も「突き」の応用として動作を伝えておられるようです。本日の稽古でも非常にユニークな指導をされていました。下の動画をご覧ください。

 よく見てください。初心者が振っているのは、しない(竹刀)ではなく倍の長さほどの竹の棒です。そして、竹の先に色テープを巻いています。長い竹を振ると、手の内の操作によって、しないよりも大きく剣先(竹の先)が動くために、しないを速く振る動作を容易に体得することができるそうです。手前で打ち込み台を打っている生徒を見てください。左の膝を曲げる(屈曲させる)ように指導されています。

 初心者の元立ちをしている女子生徒二人(手前)は、まだ剣道をはじめて一年ほどの初心者だそうです。とても初心者とは思えない「しないさばき」を見せてくれます。

 指導者の先生は、昨年の奈良高専の公開講座にお見えになったことがきっかけで交流がはじまりました。先生ご自身も、県の代表として大会に出場されている実力者です。毎回、稽古はもちろんですが、先生の指導方法を拝見するのが楽しみになっています。

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