事始めとは、物事の始まりとか新しくはじめることという意味があります。

ご存知の方々が多いと思いますが、常歩・二軸動作は、小田伸午(当時・京都大学)・小山田良治(五体治療院)・木寺英史(当時・久留米工業高等専門学校)の3名が知りあったことで生まれました。 


全く異なる分野で活動をしていた3人が出会うきっかけはインターネットです。お互いのHPなどに書き込むことからメールを交換するようになったのです。それまで3人は、分野は違いますが共通する問題意識(課題)をかかえていたのです。 


それは、からだの右と左です。 

 

私(木寺)は剣道の構えや動きから、小田伸午先生は研究から、小山田さんは治療法から、それぞれからだの左右に着目していたのです。 

からだの左右について剣道のお話をすこしします。 

私は、中学時代から剣道部に所属しましたが、そのころから剣道に関して様々な疑問が湧いてきました。 

当時の一番大きな疑問は、 


剣道の中段の構えは、なぜ右足が前で左足が後ろなのだろう 


ということでした。 

 

皆さんも考えてみてください。剣道経験者であれば一度は不思議に思うことです。剣道を始めると右利き・左利きに関係なく右足前、左足後ろの右自然体で構えを習います。逆の構えはありません。初心者で逆(左自然体)の構えをしていたら、すぐに先生になおされます。 

江戸時代末期には、300から400の剣道(剣術)の流派があったと言われていますが、逆(左自然体)の構えは存在しません。不思議だとは思いませんか。 

この事実は、私たちのからだが左右対称ではないことを示しています。からだの左右に何か法則があるから右自然体なのです。 

剣道に疑問を持った私は、その基礎となる江戸時代までの姿勢歩きついて調べだしました。しかし、日常的に無意識に出現している姿勢歩きについての文献は驚くほど少なかったのです。 

そこでインターネットを活用することを考えたのです。 

平成8年(1996年)、当時勤務していた久留米工業高等専門学校でも、コンピューターでインターネットに接続できるようになり、剣紫堂というHPを開設しました。その中に、姿勢歩きについての記事を掲載しました。 

インターネットが普及するにしたがって、徐々に様々な情報が寄せられるようになりました。 

そのような中で、平成12年(2000年)7月、小田伸午先生より次のようなメールをいただきました。
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木寺様 

 なんばについて興味を持ってまして、なんばで検索しましたら、貴殿のページに行き着きました。私は、京都大学の総合人間学部というところにおりまして、体育と運動科学を教えています。バイオメカ二クスなどの身体運動動作の客観分析と、運動者の主観的把握(感覚的把握)の間の「ずれ」を研究しています。研究と様々な運動選手の感覚論をつきあわせて、両者の翻訳を試みています。 (中略) 

 剣道の動きは、なんばとみるか、否かについても大変興味があります。このあたり、体幹をしなやかにアーチ状にさせて、身体重心を接地足にスムーズに体重移動をはかってゆくターンオーバー走歩行の基本と共通点があると感じました。剣道は素人ですが、なんば系の動きと見たほうが、その後の上達度が大きいのではないかと想像します。 

 身体重心を接地足にスムーズに乗せて体重移動をはかってゆく走歩行運動をめざしていますが(ターンオーバー走歩行)、なんば歩行を毎日続けていると、人類はもともと基本的な運動形態がなんば系の動きではなかったかと思えてきます。 

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私は次のような返信をしました。 

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小田先生 

 メールをいただいて光栄です。私は剣道が専門ですが、高専に採用になり9年目になります。自分の拙い考えを少しずつ整理しているところです。 

 なんばについては、現代剣道の技術特性を考察しているうちに行き着きました。しかし、私自身、なんばがどのような運動をいうのか理解しきれないでいます。剣道の動作をみると、確かになんばに近い動作をする方と、普通の歩行に近い動作をされる方とに分かれます。どちらが剣道に適しているのかは判断しかねます。 

 また、剣道の打突動作において、骨盤の縦・横の回転とそれにともなう胴体の動きから、上肢・下肢に動きを伝える方法があることがわかってきました。しかし、これも暗中模索といったところです。

 意見交換というよりも、様々な課題についてご教授いただければと存じます。よろしくお願いします。

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さらに、小山田良治氏からもメールをいただきました。

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木寺先生

 はじめまして、小山田です。よろしくお願いいたします。私の出身は福岡県で須恵町に実家があります。小田先生より、なんばのお話を聞き、「なんば症候群」に侵されております。現在、世界誠道空手道連盟に属しており、空手の移動等にもなんばを意識して稽古に励んでおります。

 私の師匠で祖父でもある、小山田秀雄は柔術・剣術の経験者でありましたので幼いころより武道系の話をいろいろ聞かされておりました。なんばを知ることで人間の自然動作(動物的動作)を知ることができると思っております。よろしくお願いいたします。

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皆さん、すでにご存知のように、小山田氏は、愛知県小牧市でスポーツマッサージ五体治療院を開院され、競輪選手、Jリーガー、プロ野球選手など多くのスポーツマンに治療とトレーニングの指導をされています。このようなメールのやり取りからで意見交換がはじまりました。多い月には、200通前後のメールを交わします。ざっと計算しても、20000通は超えています。

ナンバの検討からはじまったメール交換ですが、徐々にその本質がわかってきました。一般的なナンバは誤解されて伝わっている場合が多いのです。

よく、ナンバ・常歩という表現がされますが、一般的なナンバのとらえ方をされていると、常歩・二軸動作は全くわからなくなると思います。

次回は、ナンバを正しく理解することからはじめましょう。

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