2000年12月19日
この講座を受講されている方ならば、ナンバについてご存知だろうと思います。ナンバ・常歩などを言われますように、常歩・二軸動作はナンバと同じものであるとか、ナンバの一種であると理解されている方もおられるようです。まず、下のビデオをご覧ください。
1、 ナンバとは右足が出るときに右手が出るような同側の手足が前にでる 歩き方のことである。
2、 ナンバとは、左右の半身(はんみ)を繰り返す歩き方である。
3、 ナンバとは、胴体(からだ)をねじらない歩き方である。
と、とらえられています。
上の3項目のようなイメージを連続動作としてもたれているとすれば、常歩・二軸動作の習得には妨げになるかもしれません。
ナンバの姿勢を説明するときに、よく、右足が出るとき右手も前にだす、というように説明される。しかし、これは正確ではない。日本民族のような農耕民族の労働は、常に単え身でなされるから、したがって歩行の時にもその基本姿勢を崩さず、右足が前へ出るときは、右肩が前へ出、極端に言えば、右半身全部が前へ出るのである。
しかし、このような歩行は、全身が左右交互にむだにゆれて、むだなエ不ルギーを浪費することになるので、生産労働の建て前上好ましくない。そこで腰を入れて、腰から下だけが前進するようにし、上体はただ腰の上に乗っかって、いわば運搬されるような形になる。能の芸の基本になる運歩もこのようにしてなされるのであって、名人芸では上体は絶対に揺れることがない。
ただし、日常行動では能ほど厳格でなくてもよいので、上半身の揺れを最小限にとどめる程度であるかもしれない。この場合、右足が出たときには右肩も少し出るが、背筋をしっかり伸ばして、背筋の力で肩の揺れを留め、エネルギーのロスを最小限とするように心がける。
これら武智鉄二氏やその後のナンバの解釈の影響で、ナンバは「同側の手足が前に出る」とか「左右の肩を入れかえて歩く」というように理解されて広まったのです。