はじめて常歩・二軸動作にふれる方は、あまり急がないでゆっくり進んでください。 

 

この節では、常歩・二軸動作について整理してみたいと思います。まず、ご理解いただきたいとは、常歩・二軸動作は特別な動作法ではないということです。多くの方々が常歩・二軸動作的な動きをしています。それを、私たちが「二軸」に代表される、これまでにない表現によって、より理解したり習得することができるようになったのです。 

全く新しい動作法ではありません。このことは間違えないでください。 

しかし、その自然な動きが、様々な要因によってできなくなっている人が多いのです。 


生活習慣による「姿勢」の変化や足部に代表される骨格のアライメント異常、さらには子供のころからの動作に関する錯覚など・・・。常歩・二軸動作はそれらを正常な状態に戻す試みです。ご自分のからだに備わっている動作です。 


ここでは常歩・二軸動作「重心に移動」ということで説明してみます。ご理解が深まるかもしれません。 

 

第4節の「中心軸と二軸」を読み返してください。常歩・二軸の基礎はここに凝縮されています。 


これまで前進(からだを前に進める)するということは、重心を直線的に前方に運ぶことだとイメージされてきた方々が圧倒的に多いと思います。しかし、前進するときでも二足を使います。合理的にからだを前進させる場合は上手に左右に重心を移しかえる必要があるのです。常歩・二軸動作重心の合理的な左右移動を目指します。そして、さらには重心の上下動です。皆さんの中には重心の上下動は極力抑えなければならないと考えておられる方もいるかもしれません。しかし、「荷重と抜重」で説明したように、からだの重心を上手く上下動させることが必要なのです。 

 

この重心の上下動を上手く引き出す「身体操作」が、これから学ぶ「膝を抜く」とか「踵(かかと)を踏む」などの操作なのです。つまり、からだの重心を上手く前後・左右・上下に移動させることによって、あらわれる合理的な動作が常歩・二軸動作です。 

 

そして、さらに知っていただきたいことがあります。 


ここまでは「二軸動作」の二軸とはからだの左右軸のこととしてきました。しかし、常歩(なみあし)では、二軸はもう一つ意味があります。もう一つの二軸が「主観」「客観」です。 


もう少し、広くとらえると「可視的な要素」不可視的な要素」す。 


「見えるもの」と「見えないもの」です。 


常歩・二軸動作は武術(武道)から多くのものを学んできました。スポーツと比べると武術(武道)は「不可視的な要素」を課題にすることがとても多いのです。武術(武道)は元々相手を殺傷する術です。スポーツのように頻繁に試合をする(相手と戦う)ことはありません。負ければ命の保障はありませんから、戦う前に「見ることができない」相手の力量をはかることになります。 


剣道では「観の目」といいます。「観の目」とは見えないものをみる目です。客観的な「可視的な要素」をみる目は「見の目」といいます。武術(武道)では、当たり前のように「不可視的な要素」を主とします。「間」・「気」・「気位」・「攻め」など多くのことばが使われます。 


このような背景があるからか、日本人はとても身体の「不可視的な要素」「感覚」が鋭いようです。 

 

ある著名な選手の講演会で

日本人選手ほど感覚の話をする民族はいない。 黒人トップ選手などは、コーチから見た目の動作の指導を受けて、あとは感覚の話はしない。黒人選手に感覚の話などをしても誰もわかってくれなかった。だれも感覚をことばにする人はいなかった。われわれ日本人は、コーチとも、選手間でも感覚を研ぎ澄ますために感覚の話をする。日本が世界に通用していくに は、感覚路線でいくことが重要ではないか。

というお話を聞いたことがあります。 

常歩・二軸動作をつくりあげていく過程で、私たちは「不可視的な要素」のなかの「感覚」をクローズアップすることにしました。私たちが身体を動かすときには、理論(客観)ではなく自分の身体感覚(主観)で動いています。私も何度か動作分析の被験者になったことがあります。しかし、その結果を教えていただいても、ほとんど役に立ちませんでした。それは、動きの客観的なデータしか示されなかったからです。自分の動きがどのようになっているかは確認できます。しかし、その動きをどのようにして合理的なものの変えていけばいいのかわからないのです。自分の動きの悪弊を取りのぞいたり、合理的な動きを身に付けるためには、そのための身体感覚(主観)が必要なのです。

 

客観的(目にみえる)な動作と主観(感覚)は、車の両輪のような関係です。


ある動作を習得するとその動作に関する身体感覚があらわれてきます。また、ある身体感覚をみにつけると、それにともなう動作があらわれます。動作が感覚をつくり、感覚が動作をつくります。

 

この講座では、多くの感覚を取り上げます。これらは、私たちが選手を指導してきた経験から、常歩・二軸動作をみにつけた選手に最大公約数的にあらわれる「感覚」です。

個人差はありますが、これらの感覚を知ることで合理的な身体操作にはやく近づくことができます。

 

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