2018年05月01日

身体の断絶

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 合理的身体操作には様々な方法があります。当研究所が提唱している「屈曲動作」だけがその方法ではありません。「屈曲動作」・「なみあし」はその中の一つだと理解してください。

 さて、膝関節などを屈曲させる「屈曲動作」は本来、明治維新以前(前近代)の日本人が得意とした動作法だったと考えられます。なぜ、日本人が得意だった「屈曲動作」が消失していったのでしょうか。それを説明しるときによく言われるのが「身体の断絶」です。

 日本の身体運動文化には2度の断絶がありました。一度目は明治維新、2度目は先の敗戦です。「屈曲動作」の消失は明治維新による断絶が大きく影響しています。

 明治維新による日本人の「身体性」の断絶は大きく二つの要因がありあります。一つは、生活習慣の変化にともなうものであり、もう一つは明治政府の政策によるものです。

 和服から洋服へ、伝統的履物から靴(シューズ)の変化などの日常動作の変容は緩やかであったと考えられます。一方、政策による断絶は日本人の身体に急激な変化をもたらしました。

 明治政府は徴兵令を公布し多数の農民からなる軍隊を構成することとしました。。しかし、この徴兵令による国民皆兵化には大きな障壁がありました。それは、当時、国民の大部分をしめた農民には集団移動能力が欠如していたのです。つまり、行進ができなかったのです。

 そこで、学校体育の中で行進を徹底的に訓練しました、義務教育過程に兵式体操を採用しましたが、その内容は本来のものとは異なり、隊列をととのえての歩行が中心でした。さらに、同様の施策が音楽教育にもみられました。行進ができない原因の一つが、それまでの日本にマーチ(行進曲)のリズムが欠如していることに気づいた政府は、「文部省唱歌」をつくり、マーチの音楽に合わせて歩くことを訓練させました。

 さて、足なみをそろえて行進ができるとはどういうことでしょうか。地面を踏みしめるタイミングを一致させる必要があります。すると、着地脚の膝や足関節(足首の関節)を伸展させるアクセント(感覚)が強くなってきます。

 徐々に日本人は、本来の動作法を失い、膝関節や足関節(足首の関節)を伸ばすことのよって動く「伸展動作」が主流になっていきました。

 本来日本人の身体性と合致していた動作法の中に現代の日常生活やスポーツ技術に応用できる動作法があるのです。当研究所では、それらを抽出しその習得法を伝授しています。

一本歯(後歯)下駄