先日(2012年7月16日)、NHK放送の「ミラクルボディー」において、ケニア・エチオピア勢のマラソンランナーについての内容が放映された。翌日の、このHPへの検索ワードの第1位は「フォアフット」、第2位が「フォアフット走法」。この二つで全体の半数近くをしめる。以前、フォアフット走法が注目されてたときに書いた記事にも、この半年、多くのアクセスがあったのだが、昨日は異常に多かった。「ミラクルボディー」をご覧になった方々が検索されたものと思う。

 先日の「プレミアム」に配信したのだが、今回は同様の内容を記載する。先日の放送では、ケニヤやエチオピアのトップランナーがフォアフット(前足部)から接地していることが強調されていたが、結論から言うと、日本人ランナーが彼らの真似をすることは難しい。まず、黒人選手と骨格が異なることを無視している。黒人選手の骨盤は著しく前傾している。そのために、走行中の体幹に対する足部の位置関係が異なる。(接地位置とタイミングが異なる)

フォアフット2.png

 実は、江戸時代の飛脚も前足部で着地していたと考えられる。現在のランナーのような走りとは違っていた。シューズがなく、道路事情もはるかに悪かった当時は、ヒールコンタクトは危険であったのかもしれない。そして、飛脚のフォアフット着地を可能にしていたのが、「担ぎ棒」である。「担ぎ棒」の使用により、体幹自体を前傾させていた。それでも、資料によると現在のマラソン選手の5割程度の速さだ。

 また、黒人選手は足関節の可動域が狭い。日本人ランナーがフォアフット走法を試みると、脹脛の筋群を使用して足部を伸展方向に支える必要がある。黒人選手はフォアフットしているのではなく、自然とフォアフットになるものと解釈すべきだ。また、フォアフットというと誤解を生む。高速度カメラの映像ではフォアフットから着地してるが、フラットととらえてよい。踵は接地している。さらに、腱の強(硬さ)が異なる。日本人選手がマラソンにおいてフラット着地(フォアフット傾向)に耐えるだけの腱を保持しているかどうかは疑わしい。

 私たちは「動作特性」にばかり目が行きがちだ。しかし、その「動作特性」を支える「身体特性」を見据える必要がある。 昨日の放送で、また多くの日本人ランナーがフォアフットを試みるであろう。負傷しないことを祈らざるを得ない。 

以前のフォアフット記事

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