2017年03月17日

左荷重の剣道(遠間から一歩攻めて打つ)

 一足一刀の間合いから左荷重で打突できるようになったら、遠間から一歩攻めて面と小手を打突します。

 この打突は多くの剣士が稽古していると思いますが、左荷重で打突している剣士はほとんど見受けられません。動画みていただくとわかるように、竹刀の振りはばとか右足が上がっていくタイミングなどの可視的な動きは関係ありません。

 ただ、一歩攻めて左足が床を踏んだ瞬間の床反力で竹刀を振り上げるようにします。つまり、からだの左側で得る力で竹刀を操作します。この稽古は大きく打突する方が右荷重の打突になりやすいので注意が必要です。

2017年03月11日

左荷重で大きく打つ

 左荷重の剣道で最初に取り組ませる打突法は、上の動画のように「一足一刀の間合い」から大きく打ちます。簡単そうにみえますが、左荷重の剣道を習得するためにはコツが必要です。竹刀を振り上げるときに、右足を上げるか上げないかは関係ありませんが、左足に足圧がかかるようにします。

 右足が接床したまま、振り上げると多くの剣士は右に荷重しながら振り上げます。そのような剣士には竹刀の振り上げと当時に、右足を上げるように指導します。

 本学剣道部では年間を通じてこの打突を繰り返させます。この打突法によって、竹刀を振り上げる直前と振り上げ時に左に乗ることができるようになります。 

 また、面打ちと小手打ちを交互に稽古することも大切です。 

2017年03月06日

左荷重の剣道(地稽古)

 左荷重の剣道を実践するとどのような剣道が発現するのでしょうか。

 卒業(平成28年度卒)を前に、今年度のチームの大将と副将をつとめた学生二人の地稽古を撮影しました。ご覧いただければ分かるように、現在の若い剣士とはかなり違う剣道をしています。

 この学年たちが2年生の春から「左荷重の剣道」を指導しはじめました。左荷重の剣道とは、ずっと左足に荷重しているのではありません。ここを間違えないようにしてください。

 現代剣道と左右打突(池1).jpgを逆にするのです。逆にするというのは、現代剣道で右に荷重している局面を左荷重に、左に荷重している局面を右荷重にします。最もわかりやすいのは、竹刀の振り上げです。現代剣道は竹刀の振り上げを右荷重で(右足を踏んで)行います。それを左荷重で(左足を踏んで)振り上げるようにします。

 また、現代剣道では右荷重をつくってから打突します。左荷重の剣道は右荷重を経過せずに打突します。ですから、私は「攻めて打て」とは言いません。「攻める」という動作を若い剣士らは右を踏むことをイメージするので、「攻めて打て」と指導すると、ますます右足を踏んで打突するようになります。

 それから二人とも、ほぼ左かかとが接床しています。これも自然と接床してきます。指導でかかとのことを指導したことは一度もありません。左足に荷重するタイミングを丁寧に教えていくだけです。

 学生らは試合も左荷重の剣道を実践しています。ほぼマスターすれば競技力が落ちる(試合が下手になる)ことはありません。彼らのチームは九州学生剣道優勝大会に2位(平成27年度)と3位(平成28年度)で全日本学生優勝大会に出場しました。逆に、競技力は向上していきます。

 写真は、最後の相打ちの面です。手前の選手の左かかとに注目してください。打突の直前まで左かかとは接床したままなのです。この後、素早く左ひざを前方に送り出していきます。

 現代剣道とは全く違う原理で打っています。

 左荷重による基本稽古法も撮影をしていますので、徐々にアップしていこうと思います。

2016年10月04日

九州体育・スポーツ史学会第65回大会(長崎国際大学)2016.09.16

剣道の伝統的動作を伝承するために(2016長崎、学会).jpg

 先日(9月16日)、九州体育・スポーツ史学会第65回大会(於、長崎国際大学)のシンポジウムで、「剣道の伝統的動作を継承するために」というタイトルで発表させていただきました。研究と現場のコーチングをいかに結びつけているか、がテーマでした。

 わたくしは、まさしく研究と剣道部のコーチング(指導)が直結しています。現在、提唱している剣道は「左荷重」からの打突。剣道部の稽古は、すべて「左荷重」から打突するための内容で組み立てています。そして、左右荷重で剣道の動作を把握すると、個々の剣士への指導法も明確になってきます。様々な稽古法を取り入れて、その中から試行錯誤して内容を取り入れるのではなく、どのような稽古法が必要か明確になります。

 この左右荷重からのコーチングは、他競技でも応用が可能であると思われます。

2016年09月11日

2年連続、男女とも全日本大会へ

2016剣道団体.jpg

 9月10日(土)に開催されました全九州学生剣道優勝大会・同女子学生剣道大会において、本学(九州共立大学)剣道部は男子3位・女子5位に入賞し、2年連続で男女とも全日本大会への出場権を獲得しました。

 本学剣道部のモットーは、「気合で勝つな、理合いで勝て」

 稽古は週8時間。たぶん、全日本大会出場をノルマにしている剣道部で最も少ないと思います。夕方の稽古は月曜・火曜・木曜に1時間半。水曜日と金曜日は朝稽古1時間のみ。土曜日は午前中に1時間半。

 その中で、左荷重の剣道を指導していきます。間合いに接したとき(打突の初動時)に左脚に足圧を感じるように動作させます。左荷重ですから、その局面で右足しか動きません。右足が必ず出ていくことになります。すると、一足一刀から間合いに入ることによって相手の打ち間を外すことができるようになります。

 現代剣道では右に乗っていますから、無意識に左足が動きやすいのです。よって、間合いを切って打ち間をはずす方が簡単なのです。つまり、相手の打間を外す方向と打突していく方向が逆になるので技術として矛盾が生じるのです。習得するのにとても時間がかかります。

 左荷重の剣道はコツさえつかめば短期間で上達していきます。合理的で簡単です。

 学生らはこの剣道が「なみあし剣道」だと思っているようですが、これは「なみあし剣道」ではありません。左荷重の剣道は現代剣道と「なみあし剣道」をつなぐ剣道です。

2016年08月23日

「つばぜり合い」の解消

kenkou3.jpg 今年も大学剣道は団体戦試合のシーズンを迎えました。本学(九州共立大学)剣道部は、春の個人戦は運よく男女とも全日本大会に選手を送り出すことができました。

 団体戦も昨年は男女とも全日本学生優勝大会に駒を進めることができました。

 大学剣道を指導し、地力をつけさせるだけではなく競技としてもある程度実績を残すためには、多少なりとも試合のコツを伝授しなければなりません。

 その一つに、つばぜり合いの解消があります。つばぜり合いの解消は高体連の試合では10秒ルールが適応されています。つばぜり合いになってから10秒以内に技を出すか、もしくはつばぜり合いを解消しなければなりません。

 大学・一般は10秒ルールの適応はありませんが、同様にお互いにつばぜり合いを解消しなければなりません。現代の剣道試合のコツの一つは、このつばぜり合いの解消にあります。どのように解消するのか、そして解消後にどうするのか、を指導する必要があります。

 詳細は書けませんが、高校生と大学生ではその指導方法は全く異なります。なぜかといえば、つばぜり合い解消の定義が全く違うのです。大学生にそれを教えないと、高校での解消の仕方をそのまま続けてしまいます。

 剣道の本質から考察すると、現在のように試合時間の多くがつばぜり合いに使われているのは好ましいことではないと思いますが、競技としての剣道では、このつばぜり合いの工夫で勝率をあげることができます。

2016年08月05日

インターハイ剣道競技(岡山)を視察

2016インターハイ岡山.jpg 8月2日(火)〜5日(金)に行われたインターハイ剣道競技大会を視察。5日に決勝が行われた。

 男子は優勝・九州学院(熊本)、2位・麗澤瑞浪(岐阜)、3位・福大大濠(福岡)、3位・国士舘(東京)。女子は、優勝・中村学園女子(福岡)、2位・西大寺(岡山)、3位・阿蘇中央(熊本)、3位・錦江湾(鹿児島)。

 男子個人、優勝・星子敬太(熊本・九州学院)、2位・梶谷彪雅(熊本・九州学院)、3位・小角朋樹(岐阜・麗澤瑞浪)、3位・高山裕貴(奈良・奈良大附属)

女子個人、優勝・小松加奈(青森・東奥義塾)、2位・浅野茉莉亜(青森・東奥義塾)、3位・松本泉帆(和歌山・和歌山東)、3位・庄島亜美(佐賀・白石)。

 男子は九州学院が圧勝。女子は中村学園が初優勝、そして、個人は男女とも同一校で決勝が戦われた。

 4日(木)、5日(金)の二日間、観戦したが、上位進出校はある意味基本に忠実である。相手の手元を崩すことに専念している。そして、相手の打突を受けるときに可能な限り自分のからだから遠い位置でさばいている。これは、五輪書にある「突き受け」の原理だ。

 しかし、全体的にみると大学の試合と比して一足一刀の間合いでの攻め合いがない。これは寂しい感じがした。選手に「一足一刀で攻め合え」というのはナンセンス。その間合いでの攻防が成り立つように規則を工夫する必要がある。

 インターハイは振り返ると、自分が高校生時代に出場して以来の観戦となった。大学生の大会とはまた異なる魅力がある。

2016年05月12日

右の床反力

kajiwara2.jpg 「左荷重」の剣道は一連の動作経過の中で見ていく必要があります。高段者で左配分が多い構えでも、ほとんどの剣士が「右荷重」の剣道を実践しています。

 少し違う側面から見てみましょう。「左荷重」の剣道とは、言いかたを変えると打突動作の初動で極力、右足の床反力を使わない剣道であるということです。構えですでに右配分が多い構えは、右足の床反力を利用して右足を上げて打突に移行します。そうではなく、左配分の構えから右の床反力を用いないで動き始めるのです。

 ですから、左右の足がどのように動いて打ったかは関係がありません。ここがポイントです。

 多くの剣士や指導者は足さばきで判断してしまいます。例えば、打突前に左足が動くとか、動かないとか、また、竹刀の振り上げ時に右足が出ていくか、出ていかないか、などです。

 このように可視的な動きを見ているうちは剣道の動作の本質は分からないのです。あくまで、左右の荷重を見ていきます。左足を動かさずに打突しても、右の反力を利用する打ちもあれば、利用しない打ちもあるのです。一見、見分けがつきません。

 そして、もう一つ大切なポイントは、右の反力を用いると「踏み込み足(飛び込み足)」にしかならないとです。右を踏んで反力をもらうのですから、その反力を利用して右足を床から離さないと右足が前に出ていきません。「右荷重」の現代剣道では様々足さばきに転化していかないのです。

2016年03月22日

左荷重から打つ

 先日、就職関係の講座で部に参加できない女子部員が、午後稽古をするというので道場へ。二人で基本を繰り返していまいた。どんな打突も左足裏に圧を感じてから振り上げるように指導しています。

 まだまだ不十分な局面もありますが、左荷重から打つ稽古を繰り返すと、女子でも徐々に左踵が下がってきます。しかし、本人はそのことに気づいておりません。自然と下がります。

 さて、この左荷重からの打突は基本なのですが、試合では間合の入り込みが早い大学生には間の取り合いで負けることがあるのです。今は、左荷重から打たせますが、試合が近くなると右から左への移りを早くする稽古ををとりいれます。この加減がとても難しい。

 私自身は左に乗れば乗るほど打ちやすいのですが、部員らは足関節と膝関節の屈曲がよくできないので、左に完全に乗せてしまうと動きにくくなるのです。部員の動きをみながら稽古内容と量を即座に決めていきます。全体をみながら、チームが最も力を発揮できる左右の配分を探ります。

 また、時間があるときは、面と小手を交互に稽古させます。面と小手が同じ重心移動で打てるようにします。その方が打突動作が合理的になります。

2016年01月28日

左荷重で躍進

左荷重(剣日).jpg 剣道日本1月号(12月発売)に「左荷重で躍進した・・・」として九州共立大学剣道部が紹介されました。

 左の記事をクリックしていただくとPDFをダウンロードしていただけます。さて、記事の中で学生が左荷重の剣道について、

 「180度変わりました。今までの常識が真逆なんです。当たり前のように言われていたことが違う。」

と語っています。

 私は剣道の伝統をいかに受け継ぐか、ということを考えてきました。これまでは「竹刀を日本刀と考える、感じる」、つまり「竹刀を日本刀のように振る」ことによって伝統を受け継ごうとしてきたと思います・。

 しかし、運動学の観点からは、道具が変われば技術が変わるのは当たり前なのです。プロ野球の世界では、投手が落ちるボールを多用することに適応するために1980年代から比べると平均20グラムほどバッドが軽くなったそうです。その20グラムの変化によりバッティングの技術も大きく変わったといわれています。

 ですから、竹刀を日本刀のように振りながら、競技としての剣道で勝利を得ることはほぼ不可能なのです。

 そこで私は歩行形態に着目しました。竹刀を日本刀の観念で振るのではなく、日本刀を用いていたころの前近代(維新前)の歩きの原理で竹刀を振ることで剣道の伝統が保たれると考えました。

 歩行形態から剣道をみると、なぜ現在の剣道が踏み込み足を多用するのかも分かります。そして、昔の歩き方を基礎とした剣道を今の若い剣士に教える方法を開発しました。それが、左荷重の剣道です。今まで学生は右荷重の剣道をしてきましたから、最初は真逆だと感じるようです。

一本歯(後歯)下駄