2019年03月23日

「左荷重」から間合いを詰める

 福岡県南部で開催された大会の模様です。九州を代表する実業団どうしの決勝戦。白タスキの「先鋒」と「中堅」は本学(九州共立大学)剣道部の卒業生です。「先鋒」の剣士は卒業生して2年目、「中堅」の剣士は今春卒業しました。

 「先鋒」の剣士は「左荷重」から左ひざを抜いて前進したり打突しています。ほぼ、左かかとが接床しています。左かかとが目立たないように袴を長く着用しています。

 そして、相手の打突に対して、常に前進して間をつぶして(はずして)います。この間合いの外し方は「左荷重」の構えでないとできません。「右荷重」の構えでは、相手の打突に対して前進したり、引いたり(あましたり)して間を外します。そうすると足さばきが非常に難しくなります。

 この「左荷重」からの入り身ができると、徐々に出頭の技が打てるようになります。「左荷重」の剣士の活躍を祈念したいと思います。 

2019年02月26日

韓国遠征

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 本学(九州共立大学)剣道部は2月18日(月)〜21日(木)、韓国の朝鮮大学(光州市)に遠征いたしました。韓国の大学スポーツは少数精鋭、朝鮮大学剣道部も新入生を含めて男子15名ですが、全員が技能特待生での入学だそうです。試合・稽古、そして夜は懇親会と有意義な時間を過ごさせていただきました。

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 遠征3日目の20日(水)には、ソウルで開催された「SBS杯全韓剣道大会」を視察しました。上の写真(左)をご覧いただくと分かるように、審判は4人制で、主審の裏に3人の審判が椅子に座っています。韓国では審判の数を増やす傾向にあるそうです。5人制の大会もあるようです。その方が誤審を少なくできると考えられているようです。

 試合を拝見して韓国の選手がなぜ攻撃的であるのか分かりました。応じ技がほとんどないのです。相手の打突に対する「出頭技」「返し技」「すりあげ技」などがありません。よって、攻撃的でスピードがある技で勝負することになります。

 この傾向は日本でも同様です。これらの原因は、やはり「右荷重」にあると考えられます。「右荷重」の構えからは「対の先」や「後の先」の打突が発現しにくいのです。どうしても、自分から攻め込んで打突する剣道になります。

 最終日は朝鮮大学のオ・ギルヒョン監督と稽古する機会がありました。オ監督は5年ほど前まで、韓国ナショナルチームで活躍された剣士です。言葉は通じなくても剣先を通じて会話をしているような不思議な感覚でした。来年は、朝鮮大学が本学を訪れる予定です。 

2019年02月07日

「なみあし流」をとりいれて全国大会へ

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 今月号(2019年3月号)の雑誌「剣道日本」に高田中学校(福岡県みやま市)の剣道部が「なみあし流」をとりいれ2年連続で全国中学校剣道大会に出場(2017年度ベスト16、2018年度ベスト8)したことが記事になりました。

 福岡市内近郊の強豪道場を主軸とする中学校をやぶっての2年連続の全国大会出場の原因の一つが「なみあし流剣道」をアレンジした高田中学校しかしていない稽古法であったと伝えています。

 ご指導をされてきた瀬戸靖博先生とはもう20年以上のお付き合いです。拙書のモデルも何度かお願いしたこともあります。記事の中で瀬戸先生は

「自分の剣道のやり方を180度変えました。そして、子どもたちの指導も、木寺先生から教わったことを自分なりに解釈して、中学生にできることだけをさせています。」

と述べています。

 「なみあし流」をとりいれて成果を上げている剣道家や中学・高等学校の部があることはこれまでもお聞きしていますが、このように雑誌の記事になることはありませんでした。徐々に、「なみあし流」が広まっていることが実感されます。

2018年11月15日

剣道からなぜ「歩み足」が消えたのか?

 剣道からなぜ「歩み足」が消えたのか?という課題を少し調べています。

 稽古と剣道形は車の両輪と言われます。日本剣道形には現代剣道で多用される「踏みこみ足」による打突(斬撃)動作はありません。なぜ、剣道から「歩み足」による打突が消えたのでしょうか。

 五輪書に

「足づかいは、ことによりて大小・遅速は在とも、常に歩むがごとし」

とあるように近世初期の剣術は「歩み足」が主体であったようです。

 現在のような剣道具と竹刀を用いた「しない打ち剣道」が開始されたのは江戸中期です。正徳年間(1711〜1715)に直心陰流の山田平左衛門・長沼四郎左衛門父子が剣道具に改良を加えたことで急速に普及しました。しかし、当時の「足さばき」については、

「一メートル(三尺三寸)内外の撓(袋竹刀)を持って、進退は常の歩行のごとくした。」(堀正平『大日本剣道史』)

とあるように「歩み足」が主体であったことがうかがえます。「しない打ち剣道」の実践が「歩み足」の消失した主因ではないようです。

 しかし、江戸後期に大石進が「長竹刀」を使用したことを契機に「足さばき」が変容していきました。大石進は筑後国三池郡(現在の福岡県大牟田市)に生まれ、幼少時よりタイ捨新陰流系の神影流や宝蔵院流槍術を学びました。従来の稽古に飽き足らず自ら剣道具に改良加えるとともに 5尺3寸(1.6メートル)もある長竹刀を考案したと伝えられています。1832年(天保3)江戸に出て長竹刀旋風を巻き起こし諸道場を撃破、一躍剣名をとどろかせました。

 この大石の江戸出府による長竹刀の流行が「足さばき」に大きな影響を与えたといわれています。

「長竹刀になると柄も長くなったので、両手の間も多く開いて進退の時太刀先が動く。それを動かすまいとすれば窮屈である。故に自然順送り足で進退する様になった」(堀正平『大日本剣道史』)

というように「送り足」が多用されることとなりました。つまり、「長竹刀」を保持すると左右の手の間隔(グリップ)が広くなり歩み足では剣先が定まらないために「送り足」になったようです。

 その後、講武所は竹刀の長さを3尺8寸に制限します。しかし、足さばきは「送り足」がのこり「歩み足」に戻ることはありませんでした。私自身の剣道実践から考察すれば、現代の3尺9寸以下の竹刀であれば「歩み足」による打突は十分可能だと思います。私はさらに「歩み足」の発現をうながすように3尺8寸5分の竹刀を使用しています。

 「歩み足」の剣道を目指す方は竹刀と柄の長さに留意することが大切です。工夫してみてください。

 

2018年10月17日

利き目と左荷重

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 剣道を指導(コーチング)する時に外せない着眼点に利き目があります。利き目が右の剣士と左の剣士では明らかに得意技や受けの方法が異なるようです。よって、指導者はどうしても自分の利き目の剣道を経験的に教えることになります。

 私の利き目は左です。左荷重の剣道は利き目が左の剣士が早く習得します。右が利き目の剣士は上達が遅い傾向にあります。しかし、利き目がいずれにせよ「左荷重」の剣道を教えます。「左荷重」の剣道を身につけることによって将来様々な足さばきに発展すると考えられるからです。生涯にわたり剣道を楽しむためにも「左荷重」の剣道を経験させておきたいと考えています。 

 利き目が左であると構えで左半身が前方に出ようとするために「左荷重」になることが容易です。部員で「左かかと」が下がるのはほとんど利き目が左です。利き目が右の学生は、左に乗れるようになるまでに時間がかかります。構えでの左かかとの高さをみれば、ほぼ利き目が分かります。

 さて、利き目が左の剣士は左荷重からの打突が容易にできますが、利き目が右の剣士は最初は右を踏むので、その瞬間居つきます。よって、利き目が左の剣士と同じように教えてもうまくなりません。そこで、利き目が右の剣士は、左右の足の踏みかえを速くさせます。すると、右を踏む時間が短くなるので、比較的右足が出やすくなります。

 つまり、利き目が左の剣士には「左に乗って右から打つ」、利き目が右の剣士には「足の踏みかえを速くして(ステップのタイミングを小刻みにして打つ」と教えるといいようです。

 指導(コーチング)で学ぶことが多くあります。学生に感謝です。


2018年09月18日

2018「全国のびのび剣道学校」

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 今年も「全国のびのび剣道学校」の講師をつとめさせていただきました。北は北海道、南は福岡県から、全国各地から受講者がありました。今年のテーマは「身体にやさしい剣道を賢く楽しむ」。無理のない動作で長く剣道を楽しむための方法をテーマにしました。 

 なみあし(無限流)剣道を取りくんでおられる方々は、異口同音に「楽になった」「疲れない」と感想を漏らされています。今年も皆さん熱心にご受講いただきました。ありがとうございました。

 また、こののびのび剣道学校の楽しみは、長谷川智氏(羽黒派古修験道先達)とお会いできること。長谷川氏は大学剣道部の先輩です。大学院を修了後は修験道に進まれて修行されています。「東洋的な身体技法か」のお話を毎年教えていただけます。今回も興味深いお話をお聞きすることができました。ありがとうございました。

2018年09月10日

左荷重で4年連続全日本学生優勝大会へ

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 9日8日(土)に、全九州学生剣道優勝大会・同女子剣道優勝大会が開催されました。

 九州共立大学剣道部男子はかろうじて敢闘賞(ベスト8)で全日本へ、女子は決定戦で惜しくも敗退しました。

上位の結果は男子は、優勝・鹿屋体育大学、準優勝・別府大学、第三位・日本経済大学、福岡大学。女子は、優勝・鹿屋体育大学、準優勝・別府大学、第三位・福岡大学、佐賀大学でした。

 男子は現任校に赴任4年目から武運にも恵まれ4年連続の全日本出場です。

 本学は「左荷重の剣道」を稽古しています。これは現代人と前近代の日本人の歩行動作の考察から生まれた剣道です。しかしながら「左荷重の剣道」は新しい剣道ではなく、伝統的な剣道であると思われます。

 「左荷重の剣道」は打突で左足を動かさないで初動する剣道です。この教えは以前は一般的に言われていましたが、現在では初動で左足が動かない動作法を知らない指導者も多いようです。左足を動かさない指導が消失していった主因は、そのように指導しても競技力が上がらないことにあるようです。

 確かに、私の指導経験に照らし合わせてみても「左足を動かさない」という指導ではうまく行かないことが多いのです。本学では「左を動かさない」ではなく「左足に乗る(荷重する)」と教えています。実際に双方の動作は全く同じみえます。しかし、全く異なる動きなのです。現在の若い剣士に左足を動かさずに打てというと、ほとんど右荷重のまま(右足を踏んだまま)打突します。それを、左荷重(左足の乗って)から打突するように指導します。

 最初は、部員が将来様々な足さばきができるような指導を目指していましたが、その副産物として剣士によっては劇的に競技力が向上しました。

 「左荷重の剣道」に磨きをかけて来る10月28日(日)にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育)で開催される全日本学生剣道優勝大会の臨もうと思います。ご声援をお願い申し上げます。

2018年02月05日

やませみ稽古会開催

 なみあし無限流稽古会(やませみ稽古会)開催のお知らせ

昨年11月、神奈川県相模原市において専科セミナー・剣道セミナー(講習会)を開催いたしました。その時にご参加いただいた認定インストラクターと参加者有志が、2月18日(日)に「稽古会」を開催します。

今回は私(木寺)は参加できませんが「左荷重」「なみあし無限流」の課題を持ち寄っての稽古会となります。ぜひ、ご検討ください。


日時 2月18日(日) 10時〜 (会場は9時より14時まで借りております)

場所 ふじの体験の森やませみ体育館
 

   〒252−0182 神奈川県相模原市緑区澤井936-1
       TEL 042-686-6025 FAX 042-687-5050
       MAIL
yamasemi@sagamihara-kng.ed.jp

       http://www.sagamihara-kng.ed.jp/yamasemi/about.html
       (アクセスの詳細はこちらをクリック)

参加費 無料

申し込み・お問合せ
      佐々木正明(認定インストラクター)
      090-1887-7910 smasaaki@jca.apc.org
      (お電話かメールにてお申し込みください)

2018年01月23日

「左荷重の剣道」対「無限流」

 

 左荷重の剣道に取り組んでいる学生(上)と卒業生(下)との稽古。二人とも若い剣士ですが、左に荷重するタイミング(機会)を変えていくと、このように左かかとが下がり、それにともなあって左腕が外旋傾向になるので「三所防御」のような左こぶしが大きく外れることがなくなってきます。しかし、この剣道で競技力が落ちることはありません。

 下の動画の卒業生は昨年の全日本剣道選手権福岡県予選で活躍し4月から剣道で実業団への入社が決まりました。活躍を期待しています。

2018年01月15日

剣道は日本の真ん中だった

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 スキージャーナル社から「剣道日本・休刊告知号」が送られてきた。編集者からそれとなく聞かされていたが、休刊告知号を手にとるまでは実感がなかった。この休刊号、これまでのものとはページ数も減り装丁も異なるものとなっている。編集部の方々の心中を察するに余りある。

 「剣道日本」は私の人生を変えた雑誌である。「剣日」と元編集長の鈴木智也氏との出会いがなければ剣道の専門家としてここにいることはなかった。平成10年に拙論「現代剣道技術論序説‐しない打ち剣道の技術特性について‐」の掲載を皮切りに何度も論考やインタビュー記事を掲載していただいた。そして、平成16年には拙書「本当のナンバ常歩」を上梓させていただいた。「剣日」と鈴木智也、そして編集部の方々には感謝しかない。鈴木氏とは仕事を離れてもお付き合いをさせていただいている。彼は休刊告知号の中ではじめて読者に明かしているが、歴代編集部で唯一の剣道未経験者である。剣道家よりも剣道に詳しい剣道未経験者なのだ。よって、彼との剣道談義は剣道関係者と話すときのような居心地の悪さがない。

 さて、告知号の中で鈴木氏が「剣道を旅して」の記事である写真(右)を紹介している。これは、昭和31年、仙台市の宮城球場で開催された第3回全日本東西対抗剣道大会の様子だ。この大会は第1回全日本なぎなた選手権大会と同時開催であった。観客数25000人。剣道未経験者も多く会場に足を運んだと思われる。戦後の剣道(武道)はこれほどまでに人気があったのだ。何がこれほどまでに当時の日本人を惹きつけたのであろうか。記事の中で鈴木氏がサブタイトルで表現しているように、まさしく「剣道は日本の真ん中だった」のだ。決して、観客を惹きつけたものは勝負だけではなかったはずである。そこには現代剣道が置き去りにしてきたスポーツにはない「武の真諦」があったのかもしれない。

一本歯(後歯)下駄