2016年10月04日

九州体育・スポーツ史学会第65回大会(長崎国際大学)2016.09.16

剣道の伝統的動作を伝承するために(2016長崎、学会).jpg

 先日(9月16日)、九州体育・スポーツ史学会第65回大会(於、長崎国際大学)のシンポジウムで、「剣道の伝統的動作を継承するために」というタイトルで発表させていただきました。研究と現場のコーチングをいかに結びつけているか、がテーマでした。

 わたくしは、まさしく研究と剣道部のコーチング(指導)が直結しています。現在、提唱している剣道は「左荷重」からの打突。剣道部の稽古は、すべて「左荷重」から打突するための内容で組み立てています。そして、左右荷重で剣道の動作を把握すると、個々の剣士への指導法も明確になってきます。様々な稽古法を取り入れて、その中から試行錯誤して内容を取り入れるのではなく、どのような稽古法が必要か明確になります。

 この左右荷重からのコーチングは、他競技でも応用が可能であると思われます。

2016年09月11日

2年連続、男女とも全日本大会へ

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 9月10日(土)に開催されました全九州学生剣道優勝大会・同女子学生剣道大会において、本学(九州共立大学)剣道部は男子3位・女子5位に入賞し、2年連続で男女とも全日本大会への出場権を獲得しました。

 本学剣道部のモットーは、「気合で勝つな、理合いで勝て」

 稽古は週8時間。たぶん、全日本大会出場をノルマにしている剣道部で最も少ないと思います。夕方の稽古は月曜・火曜・木曜に1時間半。水曜日と金曜日は朝稽古1時間のみ。土曜日は午前中に1時間半。

 その中で、左荷重の剣道を指導していきます。間合いに接したとき(打突の初動時)に左脚に足圧を感じるように動作させます。左荷重ですから、その局面で右足しか動きません。右足が必ず出ていくことになります。すると、一足一刀から間合いに入ることによって相手の打ち間を外すことができるようになります。

 現代剣道では右に乗っていますから、無意識に左足が動きやすいのです。よって、間合いを切って打ち間をはずす方が簡単なのです。つまり、相手の打間を外す方向と打突していく方向が逆になるので技術として矛盾が生じるのです。習得するのにとても時間がかかります。

 左荷重の剣道はコツさえつかめば短期間で上達していきます。合理的で簡単です。

 学生らはこの剣道が「なみあし剣道」だと思っているようですが、これは「なみあし剣道」ではありません。左荷重の剣道は現代剣道と「なみあし剣道」をつなぐ剣道です。

2016年08月23日

「つばぜり合い」の解消

kenkou3.jpg 今年も大学剣道は団体戦試合のシーズンを迎えました。本学(九州共立大学)剣道部は、春の個人戦は運よく男女とも全日本大会に選手を送り出すことができました。

 団体戦も昨年は男女とも全日本学生優勝大会に駒を進めることができました。

 大学剣道を指導し、地力をつけさせるだけではなく競技としてもある程度実績を残すためには、多少なりとも試合のコツを伝授しなければなりません。

 その一つに、つばぜり合いの解消があります。つばぜり合いの解消は高体連の試合では10秒ルールが適応されています。つばぜり合いになってから10秒以内に技を出すか、もしくはつばぜり合いを解消しなければなりません。

 大学・一般は10秒ルールの適応はありませんが、同様にお互いにつばぜり合いを解消しなければなりません。現代の剣道試合のコツの一つは、このつばぜり合いの解消にあります。どのように解消するのか、そして解消後にどうするのか、を指導する必要があります。

 詳細は書けませんが、高校生と大学生ではその指導方法は全く異なります。なぜかといえば、つばぜり合い解消の定義が全く違うのです。大学生にそれを教えないと、高校での解消の仕方をそのまま続けてしまいます。

 剣道の本質から考察すると、現在のように試合時間の多くがつばぜり合いに使われているのは好ましいことではないと思いますが、競技としての剣道では、このつばぜり合いの工夫で勝率をあげることができます。

2016年08月05日

インターハイ剣道競技(岡山)を視察

2016インターハイ岡山.jpg 8月2日(火)〜5日(金)に行われたインターハイ剣道競技大会を視察。5日に決勝が行われた。

 男子は優勝・九州学院(熊本)、2位・麗澤瑞浪(岐阜)、3位・福大大濠(福岡)、3位・国士舘(東京)。女子は、優勝・中村学園女子(福岡)、2位・西大寺(岡山)、3位・阿蘇中央(熊本)、3位・錦江湾(鹿児島)。

 男子個人、優勝・星子敬太(熊本・九州学院)、2位・梶谷彪雅(熊本・九州学院)、3位・小角朋樹(岐阜・麗澤瑞浪)、3位・高山裕貴(奈良・奈良大附属)

女子個人、優勝・小松加奈(青森・東奥義塾)、2位・浅野茉莉亜(青森・東奥義塾)、3位・松本泉帆(和歌山・和歌山東)、3位・庄島亜美(佐賀・白石)。

 男子は九州学院が圧勝。女子は中村学園が初優勝、そして、個人は男女とも同一校で決勝が戦われた。

 4日(木)、5日(金)の二日間、観戦したが、上位進出校はある意味基本に忠実である。相手の手元を崩すことに専念している。そして、相手の打突を受けるときに可能な限り自分のからだから遠い位置でさばいている。これは、五輪書にある「突き受け」の原理だ。

 しかし、全体的にみると大学の試合と比して一足一刀の間合いでの攻め合いがない。これは寂しい感じがした。選手に「一足一刀で攻め合え」というのはナンセンス。その間合いでの攻防が成り立つように規則を工夫する必要がある。

 インターハイは振り返ると、自分が高校生時代に出場して以来の観戦となった。大学生の大会とはまた異なる魅力がある。

2016年05月12日

右の床反力

kajiwara2.jpg 「左荷重」の剣道は一連の動作経過の中で見ていく必要があります。高段者で左配分が多い構えでも、ほとんどの剣士が「右荷重」の剣道を実践しています。

 少し違う側面から見てみましょう。「左荷重」の剣道とは、言いかたを変えると打突動作の初動で極力、右足の床反力を使わない剣道であるということです。構えですでに右配分が多い構えは、右足の床反力を利用して右足を上げて打突に移行します。そうではなく、左配分の構えから右の床反力を用いないで動き始めるのです。

 ですから、左右の足がどのように動いて打ったかは関係がありません。ここがポイントです。

 多くの剣士や指導者は足さばきで判断してしまいます。例えば、打突前に左足が動くとか、動かないとか、また、竹刀の振り上げ時に右足が出ていくか、出ていかないか、などです。

 このように可視的な動きを見ているうちは剣道の動作の本質は分からないのです。あくまで、左右の荷重を見ていきます。左足を動かさずに打突しても、右の反力を利用する打ちもあれば、利用しない打ちもあるのです。一見、見分けがつきません。

 そして、もう一つ大切なポイントは、右の反力を用いると「踏み込み足(飛び込み足)」にしかならないとです。右を踏んで反力をもらうのですから、その反力を利用して右足を床から離さないと右足が前に出ていきません。「右荷重」の現代剣道では様々足さばきに転化していかないのです。

2016年03月22日

左荷重から打つ

 先日、就職関係の講座で部に参加できない女子部員が、午後稽古をするというので道場へ。二人で基本を繰り返していまいた。どんな打突も左足裏に圧を感じてから振り上げるように指導しています。

 まだまだ不十分な局面もありますが、左荷重から打つ稽古を繰り返すと、女子でも徐々に左踵が下がってきます。しかし、本人はそのことに気づいておりません。自然と下がります。

 さて、この左荷重からの打突は基本なのですが、試合では間合の入り込みが早い大学生には間の取り合いで負けることがあるのです。今は、左荷重から打たせますが、試合が近くなると右から左への移りを早くする稽古ををとりいれます。この加減がとても難しい。

 私自身は左に乗れば乗るほど打ちやすいのですが、部員らは足関節と膝関節の屈曲がよくできないので、左に完全に乗せてしまうと動きにくくなるのです。部員の動きをみながら稽古内容と量を即座に決めていきます。全体をみながら、チームが最も力を発揮できる左右の配分を探ります。

 また、時間があるときは、面と小手を交互に稽古させます。面と小手が同じ重心移動で打てるようにします。その方が打突動作が合理的になります。

2016年01月28日

左荷重で躍進

左荷重(剣日).jpg 剣道日本1月号(12月発売)に「左荷重で躍進した・・・」として九州共立大学剣道部が紹介されました。

 左の記事をクリックしていただくとPDFをダウンロードしていただけます。さて、記事の中で学生が左荷重の剣道について、

 「180度変わりました。今までの常識が真逆なんです。当たり前のように言われていたことが違う。」

と語っています。

 私は剣道の伝統をいかに受け継ぐか、ということを考えてきました。これまでは「竹刀を日本刀と考える、感じる」、つまり「竹刀を日本刀のように振る」ことによって伝統を受け継ごうとしてきたと思います・。

 しかし、運動学の観点からは、道具が変われば技術が変わるのは当たり前なのです。プロ野球の世界では、投手が落ちるボールを多用することに適応するために1980年代から比べると平均20グラムほどバッドが軽くなったそうです。その20グラムの変化によりバッティングの技術も大きく変わったといわれています。

 ですから、竹刀を日本刀のように振りながら、競技としての剣道で勝利を得ることはほぼ不可能なのです。

 そこで私は歩行形態に着目しました。竹刀を日本刀の観念で振るのではなく、日本刀を用いていたころの前近代(維新前)の歩きの原理で竹刀を振ることで剣道の伝統が保たれると考えました。

 歩行形態から剣道をみると、なぜ現在の剣道が踏み込み足を多用するのかも分かります。そして、昔の歩き方を基礎とした剣道を今の若い剣士に教える方法を開発しました。それが、左荷重の剣道です。今まで学生は右荷重の剣道をしてきましたから、最初は真逆だと感じるようです。

2016年01月19日

寒稽古

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 本学剣道部は18日(月)より寒稽古。この時期は、「かかり稽古」中心の稽古です。ねらいは、左荷重から打突する上肢・下肢の連携を強化する(かためる)ことにあります。

 昨年も最終日には約1時間の「かかり稽古」を実施しました。学生の動作を観察しながら徐々に量を増やしていきます。「かかり稽古」で効果を出すためには、それまでに左荷重から打突する基本が習得されていること。右荷重のまま「かかり稽古」をさせるとさらに右荷重となってしまいます。

 そして、これは秘伝なのですが(公開するともう秘伝ではなくなりますが・・・)かかり稽古は絶対に大技ではさせません。よく大きく振ることが良しとされますが、打突を大きくさせると右荷重に戻ってしまいます。大きく振ろうとすると右の床反力で竹刀を振り上げるようになります。大きな打突は「打ち込み」や「かかり稽古」ではなく基本打突として指導しています。

 また連続技を繰り返す「追い込み稽古」も厳禁です。右荷重になります。左荷重の剣道の消失の原因は歩き方の変化にあるのですが、大きな「打ち込み稽古」や「追い込み稽古」などの普及がそれに拍車をかけたと思います。言いかえると、右荷重の剣道の出現がそれらの稽古法を生み出したといえるのかもしれません。

2015年12月09日

左踵は「つける」のではなく自然と「つく」

ike.jpg 本学剣道部、試合稽古の一コマ。

 赤の剣士の左かかとに注目してください。接床しています。左右の荷重のタイミングを変えると自然と左かかとが床についてきます。

 学生に常歩剣道を指導する前は、左かかとが接床することはないと思っていました。しかし、左に乗るためには左足裏の接地面積を広くとる必要があるため、左かかとが接床する剣士が続出します。

 本人はそのことに気づかないことが多いようです。知らず知らずのうちに左かかとがつくようになります。当然、左右の荷重を繰り返すので、長時間かかとが接床することはありません。左荷重のときにかかとが接床するのです。

 しかし、このことを真似して最初から左かかとを接床することを意識すると上手くいきません。構えと左荷重のタイミングを習得してくると自然と接床するようになります。

 そして、左かかとを接床した状態から打てるようになります。打てるように・・というより、接床している方が打ちやすくなるのです。

 この左荷重の剣道を続けていくと、さまざまな足さばきに転化するようになります。伝統的な足さばきがよみがえります。

 また、相手との間合いが接したときに左に乗っていますから、攻めが利くようになります。また、左上腕が外旋(外の回る)するので剣先の威力が増します。

2015年10月28日

第63回全日本学生剣道優勝大会(2015.10.25)九共大対中央大学、副将・大将戦

 

 

 第63回全日本学生剣道優勝大会(2015.10.25)、一回戦、九州共立大学対中央大学、副将・大将戦がアップされました。彼らには一年間、左荷重のタイミングを指導してきました。まだまだ未熟ですが徐々に成果が表れています。白のタスキが本学です。

一本歯(後歯)下駄