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 世界ランク26位の錦織圭(22=フリー)が、4大大会初のベスト8進出を決めた。同6位ジョーウィルフリード・ツォンガ(26=フランス)を、2−6、6−2、6−1、3−6、6−3で撃破。8強入りは1932年の佐藤次郎、布井良助以来80年ぶり。 

 各新聞やTVの報道は、昨年12月に米シカゴに飛び、陸上ハンマー投げの室伏広治を指導する理学療法士ロバート・オオハシ氏のもとで10日間ラケットを握らず体幹トレーニングを積んだことを伝えている。錦織選手自身も「意外と疲れていないんです。トレーニングの成果がこんなに早く出るとは。ツアーに慣れてきたというのもあるし、確実に、強くなっている証しだと思います。体力面で大丈夫、というのは本当に力強いですね。」と語っている。

 また、ある新聞社の取材で興味深いことも語っている。昨年11月の上海の大会1回戦。0−6、1−4で負けかけた時に、自然と力が抜けたらしい。50〜60%の力でストロークすることで、腕に余分な力が入らなくなった。肘から先をしならせることが可能となり、力を入れなくてもボールが飛び、ストロークも安定したそうだ。昨日の試合後、錦織選手は、「この日も50〜60%ぐらいの力で打っていましたね。さすがに攻められて、緊張も多少はあったけど、リラックスしてストロークはできました。この形が通用して、勝てているわけなので、テニスがしっかりしてきたなとは感じています。これが世界のトップ4相手に通じるかは分からないですけど。」と語っている。

  戦後、松岡修造に続く日本人2人目の4大大会ベスト8の快挙。錦織選手の体力強化が注目されているが、その裏に本人が語っているように「脱力」があることは確かである。「脱力」とは「内力」の脱力である。決して、発揮される「力」を弱めることではない。

 錦織選手のショットに注目することにしよう。

 先日も「歩み足」について書いたのだが、武道(武術)では、左右の足を交差させる足さばきを「歩み足」と言う(普通に歩くような足さばきの意味だ)。現代剣道において、「歩み足」は特別な場合を除いては使用してはならない「足さばき」とされている。通常は送り足を用いる。例えば、右足を踏み出したら左足は右足を追い越してはならない。常歩による剣道を提唱して、様々な「足さばき」が可能になることを説いてきた。それ以来、「歩み足」による剣道が注目されるようになった。

 しかし、多少誤解があるように思う。合理的身体操作による「足さばき」とは決して「歩み足」だけではない。現代剣道の「送り足」も合理的な足さばきなのである。
 「送り足」や「歩み足」等は、下肢の動きでの分類だ。しかし、身体動作学の立場からいえば、四肢の動きから離れなければその要諦はわからない。一般的に現代剣道で「歩み足」と言われている足さばきは「片踏み」のことだ。右自然体(半身)のまま前進する。つまり、現在、剣道において「送り足」も一般的に解釈されている「歩み足」も同じ足さばきと言える。
 本来の「歩み足」というのは「片踏み」ではなく、左右の「単え(ひとえ)身」(半身)によって結果として現れる。右の「単え身」では右足が前に、左の「単え身」では左足が前に位置することになる。それが「歩み」に見えるだけだ。この左右の「単え身」による「歩み」を習得すると、実践者は全く歩みを意識しなくなる。

 表出する動作は「そうなるのであってそうするのではない」。

 身体動作を専門とするものとしては、人類誕生の歴史に関して非常に興味をひかれる。ヒトの動作の特性は、2足歩行を基礎としているからである。二軸動作の着眼点のひとつもそこにあった。

 ヒトとは、霊長類、真猿亜目、ヒト上科、ヒト科のHomo属のことである。以前は、ヒト科はHomo属だけと考えられてきたが、DNA研究の発展により、ヒト科にはチンパンジーなどのPan属やGorilla属が含まれるととらえられるようになった。

 霊長類は哺乳類であるが、主に樹上で生活をはじめたと言われている。現在、人間と最も近いのはチンパンジーである。DNA的には99パーセント同じである。チンパンジーと人類の共通祖先からの分岐は800万〜600万年前。樹上生活をしていた霊長類から直立2足歩行が可能な種が現れたのだ。これがヒトの誕生である。身体動作学の出発もここまでさかのぼることになる。身体の動作とは、言うまでもなく「ヒト」の動作であるからだ。チンパンジーも、二本足で立ち歩くこともできる。しかし、その状態を長く維持することができない。骨格が大きく違うためだ。主な違いには、以下のようなものがある。

 1.チンパンジーの背骨は頭骨の後ろについている。それに対し、ヒトは真下についているので、頭部を支えることができる。脊椎と頭蓋の連結部を大後頭口という。動作学からは大後頭口の位置は重要な観点である。

 2.ヒトの背骨はS字形に曲がっており、重量のある頭部を支えることができるようになっている。腰に重心が位置するようになっているのでバランスよく立つことができる。

 3.チンパンジーは大腿骨が骨盤から真下にむいているのに対し、ヒトの大腿骨は内側に向いている。これにより、上体を垂直に保っての歩行が可能である。二軸動作でいう「垂直感覚」の動きが可能になるのはこの大腿骨の角度による。

 4.チンパンジーの親指は足の内側についており、手のようなかたちをしている。歩行ではなく木の上での生活に適した形である。これに対し、ヒトは五本の指が足の前側に同じ方向についている。しかも「土ふまず」があり、体重を足の裏の3点でしっかり支えるようになっている。3点とは拇指球・小指球・踵部である。

 脊椎のS字状へ変化はなぜ起こったか。一説には、樹上生活で枝などにぶら下がったために、脊椎が伸びて徐々にS字状になったとも考えられている。地上で生活する種からは直立2足歩行が可能な哺乳類は生まれなかったのだ。

 地上にたったヒトは、当初は頭蓋容積が約750ml程度であったが、約100万年前にはホモ・エルガスターが現れた。頭蓋容積は1000ml程度、北京原人やジャワ原人などはこの時代のヒトである。その後、約40万年前にはホモ・ネアンデルターレンシスがあわわれる。俗に言うネアンデルタール人である。彼らは頭蓋容積は1600mlあり、ほぼ現代人と同じ容量を持っていた。

 さて、我々は20〜30年前に現れたホモ・サピエンスの子孫である。ホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルターレンシスは同時代に生存していたが、どういうわけかホモ・ネアンデルターレンシスは3万年前に絶滅している。ホモ・サピエンスは、アフリカやユーラシア大陸に広がっていた原人が、それぞれの地域で進化していったものだと考えられていた。 ところが1987年、とんでもない説が発表された。現在の人類の祖先は、29〜14万年前にアフリカに住んでいた、あるひとりの女性であったというのだ。

 これは、DNAの研究からでてきた仮説である。細胞内のミトコンドリアがもつDNAは、ヒトなど高等生物の場合、母親側からしか遺伝しないことがわかっているので、これを調べることで母方の先祖をたどることができる。そして、アフリカ人、アジア人、オーストラリア人、ヨーロッパ人、ニューギニア人からとったミトコンドリアDNAを比較して家系図をつくった結果、アフリカ人から他の人種が枝わかれしていったことがわかったのである。

 この説によれば、現在の人類は、20万年ほど前にアフリカに出現した新人から枝分かれしていった。世界各地にいた原人たちは、子孫を残すことなく絶滅したということになる。ちなみに、人類共通の先祖と想定されるアフリカ女性は、旧約聖書に登場する最初の女にちなんで「ミトコンドリア・イブ」と名付けられた。この説が正しいとすれば、その女性とは一体どのような経緯で現れたのであろうか。

 いずれにせよ、身体動作を専門とする立場からは、人類誕生の歴史は非常に興味深い課題である。

 「隠されていた空手」(桧垣源之助著・チャンプ)という著書がある。「桧垣源之助」はペンネーム。以前、何度かメールを交換させていただいたことがあるが、本名も、またどのような経歴の方であるのかも知らない。ただ、世界空手道選手権や全日本選手権、さらには数々の国際大会で優勝経験を持つ鈴木雄一氏が、「中学・高校と寮生活をともにした」と語っているところをみれば、本格的に空手の修行をされたであろうことは推察できる。

 さて、「隠されていた」とはどういうことなのか。真実はなぞのままであるが、以前から空手に関してはある興味深い話(伝説)がある。いくつかの流れはあるが、空手は沖縄から本土に伝えられたというのが定説である。ところが、船越義珍先生らが本土に「唐手」を伝えるにあたり、沖縄の唐手家の間で「秘密協定」があったと言われている。その「秘密協定」とは「ヤマトンチュー(大和人)には本当の唐手は教えない」「型は使えないようにして本土の人に教える」というものであった。本土で一般に広めた空手の型は使えないように改変されたものであったらしい。

 桧垣氏は船越義珍先生の高弟であった久保山紹山先生に師事しているが、ある逸話が紹介されている。日本に伝わった空手は、大学の空手部を中心に発展した。久保山先生によれば、船越先生が大学で教える空手と、夜に自宅で教える空手は全く違っていたという。「なぜ、昼と違うことを教えるのですか」という問いかけに、船越先生は「本当は教えてはいけないのだ」ということを言われたらしい。どの程度の拘束力があったかは分からないが、「秘密協定」があったとする伝説は信憑性がある。

 技や技術を改変しての伝承に違和感を持つ方も多いであろう。しかし、武道・武術の世界では目新しいことではない。武道(武術)の伝承形態は一子相伝だ。本来、武道(武術)の技は殺傷術である。よって、誰にでも教えてはならないという不文律があった。道場に入門してくる弟子にも、「型」は教えてもその「用法」や「操作」は教えなかったとも言われている。

 この一子相伝的伝承形態はスポーツにもあるのかもしれない。欧米人が自国の魂とも言えるスポーツ文化を、正直に東洋の小国に伝えたであろうか。

 そういえば、ある競技のオリンピックコーチの言葉を思い出す。「戦後の長い間、日本は欧米から嘘を教えられてきた・・・やっと気づきました。」

 外来スポーツの技術や習得法などを今一度見直す必要がある。

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 昨日(14日)のトヨタカップ、サントス(ブラジル)対柏(日本)戦。度肝を抜かれた。ある新聞は「子どもが大人を子ども扱いした」と表現した。19才のネイマールにあのプレーを見せつけられては、ネイマールを子ども扱いはできないだろう。

 抜群のドリブルセンスと決定力を併せ持つことから、同サントスの伝説的選手ペレの再来と並び称される逸材。前半19分、MF大谷を鋭い切り返しでかわす。「ちょっと考えたけど、マークされてたからね」。しかし本当の見せ場はこの後だった。なんと利き足とは逆の左で、器用にカーブをかけてシュート。GK菅野が、1歩も動けないほどの精度で、ゴール左隅ギリギリに決めた。

 シュート直後の写真、着目すべき点が二つある。まずは、彼の左足関節が屈曲されたままであること。これはネイマールだけではない。インステップもしくはインフロントにみえるキックを、世界のトップは足関節を十分屈曲させたままで打つ。

 そして、彼の体幹を見ていただきたい。左右の股関節と肩甲骨の位置と内外旋が同調している。全く体幹がねじられていないのだ。この局面では、一般的には右肩が前方に位置する。この左右の股関節と肩甲骨の位置と同調は、左上腕の外旋でつくられている。

 全く体幹がねじられていない身体を「単え身(ひとえみ)」という。「単え身」は前近代日本の伝統的な「身体」のあり様だ。やはり、日本人の身体を見直す必要がある。

 現在の身体運動(スポーツや武道)の考え方は、競技性や人間の陶冶(教育)におかれている。学校での体育活動をみれば一目瞭然。競技か教育か、その狭間でスポーツや武道が悲鳴を上げている。これらは容易には両立しない。

 合理的身体動作を「身体操作」というとすれば、その目的は何か。多くは競技性(パーフォーマンス)の向上やそこから派生する副次的な要素を目的としている。

 しかし、もう一つ最も吟味しなければならない目的がある。それは、身体を捨てさること。身体におよぼす力(パワー)を、私は「内力」と「外力」と説明してきた。あいていに言えば「内力」は「筋力」、「外力」は「重力」だ。しかし、実はもうひとつの「力」がある。それは武術でいえば「気」とか「意念」とか言われる。これら「気」や「意念」を概念という人もいるが、これらは概念ではなく実体だ。これらのパワーは、誰の「からだ」にも作用しているがほとんどの人は気づくことはない。なぜなら、「からだ」が「内力」や「外力」で動くととらえているからだ。「気」や「意念」の実感は、からだを極限まで合理化しそれを捨て去ることによってはじめて現れる。合理的身体操作を学ぶ真の目的はそこにある。

 よって、それらを知る方法は一つではない。スポーツや武道(武術)はその一方便でしかない。たとえば、座禅を組むのも同じこと。からだをある「型」に押しこめることによって、からだを捨て去ることを目的とする。合理的に静止することと合理的に動作することは同じことなのだ。人によっては日常生活を送ることによってその目的を達成しているかもしれない。

 スポーツの目的を「競技」か「教育」かととらえると動作の本質がわからなくなる。競技性や人間形成を離れた目的を見据える必要がある。

 「2軸感覚スイング」の浜田節夫プロが「2010PGAティーチングプロ選手権シニアの部」で優勝したことは昨年記事にしました。昨日、携帯に浜田さんからメールが・・・、「今年のティーチングプロ選手権は1打差の2位でした」。PGAのHPに記事が掲載されています。

 昨年は優勝、今年は2位、「2軸スイング」の威力でしょうか。浜田プロは、24歳からゴルフをはじめてプロを目指しました。元々、野球で鍛えた「身体能力」は抜群です。そして、何といっても福山雅治に激似の甘いマスク(ゴルフに関係ないか・・笑)。

 現在、「ゴルファーなら知っておきたいからだのこと」(大修館書店)が編集の最終段階に入っております。私もほんの少しお手伝いいたしました。年内には発刊される予定です。

 浜田プロは今週は、日本シニアオープン(広島CC八本松C)にも出場されます。ご声援をお願いします。

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  三保の松原で開催された「のび剣」(第32回のびのび剣道学校)に参加いたしました。常歩剣道も取り上げていただきました。今回、あらためて実感したことが構えでの「骨盤の前傾」です。

 上の2枚の写真を比べてください。「のび剣」に参加された女性剣士なのですが、左は従来の「中段の構え」です。竹刀を持たないで、骨盤の角度を調節してもらいました。右が、その構えです。右の構えにすると、ご本人から「こんなに前かがみでいいんですか〜〜」と。

 「前かがみになんてなってませんよ、写真を撮ってみましょうか」というわけで構えを撮影。右の写真をご覧になって驚いておられました。私もはじめて骨盤を前傾させた時には、ゴルフのスタンスのように前かがみに感じたことを思い出しました。実際には、体幹は理想的に立っていますが、骨盤が前傾することで体幹全体が前傾していると錯覚するのです。

 左の骨盤の角度では、柔らかく細かい竹刀操作は難しいのです。右の角度で稽古を重ねると上達が早い思われます。多くの剣士の皆さんは、左の写真のように構えています。

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 最近、ボーリングが再流行の兆しがあるとか。こちら(大阪)では、日曜日の深夜に女子プロの番組が組まれてる。(番組名はなんだったか??)

 ボウリングは案外運動量を確保できるらしい。3ゲーム投げた場合の運動量を他のスポーツと比べてみると、マラソンなら7分30秒(距離にしておよそ3㌔)、テニスなら20分、サイクリングは20分(距離にしておよそ8㌔)、散歩ならば70分(距離にしておよそ4〜5㌔)に相当するそうだ。

 運動量が確保できる理由の一つは、ボールの重量にある。重さは一般に4から16ポンド。1ポンドは約456グラムだから、16ポンドなら7キロ以上になる。

 さて、ボウリングの投球動作、フィニッシュでは脚をクロスさせる独特のフォーム。様々な投球があるが、この脚のクロスだけは共通している。この動作は何を意味しているのだろうか。そして、その機能は何か。ボールの重量と関係しているように思われる。(写真は栃木県ボウリング協会のHPより)

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 世界陸上2011(テグ大会)、男子100M決勝でフライングによる失格のボルト選手が、200M決勝では19秒40で2連覇を果たした。スタートのリアクションタイムは、決勝出場選手中最下位の0秒193。いかに慎重にスタートを切ったかが分かる。しかし、その後は大きなストライドで100メートルのコーナーを回り終えるころには、ディックス選手(米国)、ルメートル選手(フランス)らを置き去りにした。19秒40は今季世界最高。ここ2シーズンでは自己ベストの記録だった。

 今回の世界陸上、選手の下肢の動きに注目していた。特に、黒人選手。白人選手や日本選手の走りと比して違いが顕著だ。一つは、膝が最大限に屈曲してる選手が多いこと。そして、前方に振り出された膝(モモ)の位置が低いことだ。そのために、黒人選手の足部は前後ではなく上下に動いているように見える。股関節の動きを抑えてターンオーバーを速くしているのか。

 研究会の他のメンバーは、肩甲骨と上肢の動きの変化にも注目しているようだ。これらの変化は、アンツーカーからタータンへと走路が変わり、さらにタータンも反発力が強くなる傾向にあることが原因なのかもしれない。走競技も走路(道具・用具)の変化によってその技術が変容していく。

 世界陸上(2011)の100M決勝で、ウサイン・ボルト選手がまさかの失格。金メダルを奪取したのは、ボルト選手のトレーニングパートナーのヨハン・ブレーク(21)で、向かい風1・4メートルの中、9秒92を記録した。ボルト選手、位置についての号令で珍しく吠え(声をだし)た。何か、いつもと違っていたのかもしれない。

 ビデオをスローでみると、となり6コースのブレーク選手がわずかにからだが先に動いている(動かしている)。武道などでいう「懸る(かかる)」という状態だったのか。理想の状態は「懸」と「待」が一致した状態だ。「懸待一致」という。「懸(けん)」が強いと、相手や周囲のわずかな「動き」に反応してしまう。「待(たい)」が強いと素早い反応ができない。

 それにしても、ボルト選手の走りが見れなかったことは残念。フライング即失格は、今回から採用されたルールだが、やはり再考の余地はあるだろう。200Mでの走りに期待しよう。

 陸上世界選手権第1日(27日、韓国・大邱)、男子100メートルでは世界記録保持者のウサイン・ボルト(25)選手(ジャマイカ)が楽々と予選を突破した。

 怪物の独壇場だった。男子100メートルで予選6組に登場したボルトはスタートからトップに立つと、爆発的なスピードで周囲を圧倒。50メートル過ぎには後方を振り返る余裕を見せ、すぐに力を抜き始めた。それでも全体トップの10秒10で準決勝へ。

 故障の影響から、今季はベストにはほど遠いとも伝えられていたが、その走りは他を圧倒した。優勝候補筆頭であることは間違いないであろう。

 今回、注目しているのは、各選手の下肢のたたみ方。短距離に限らず、中長距離でも、遊脚の膝をたたみこんで前方に素早く切り返す走りに移行しつつあるよう感じられる。写真は、ボルトの右脚のたたみだ。ほぼ完全に右踵が右大腿後部に接するようにたたみ込まれている。

 第93回全国高校野球選手権大会(阪神甲子園球場)の決勝、日大三(西東京)が光星学院(青森)を11―0で破り、10年ぶり2度目の全国制覇を果たした。 2年ぶり14回目出場の日大三は、強力な打線で勝ち上がり、初優勝した第83回大会(2001年)以来となる決勝に駒を進め、参加4014校の頂点へ登り詰めた。1974年に東京大会が東西に分かれて以降、西東京勢としては第88回大会(06年)を制した早稲田実以来、4度目の栄冠。

 青森県勢の決勝進出は実に42年ぶり。太田幸司投手をようして、松山商業との18回引き分け再試合で敗れ準優勝に輝いた三沢高校以来だった。私たちの年代では「語り草」の一戦だ。心情としては光星学院に勝たせたいと感じていたのは私だけではなかろう。

 今日は吉永(日大三)・秋田(光星)両投手の動作について記してみる。両投手とも右の本格派、将来を嘱望される優秀な投手であることには間違いない。しかし、投球動作に関してはかなり差異がみられる。特に頭部の使い方。

 両投手とも左足をステップ(接地)する局面では、頭部が一塁側に倒れている。しかし、吉永投手(日大三)は、その後リリース直後まで頭部が一塁側に倒れたまま、その後頭部を三塁側に戻している。一方の秋田投手(光星)は、左のステップ後、すぐに頭部が三塁側に戻り始める。リリース時には、ほぼ頭部が垂直に立っている。その後、三塁側に倒れていく。頭部の操作は、肩の開き(右肩の出方)に関係する。頭部を傾けると同側の肩が前方へ出ていく。

 吉永投手は頭部の戻しが遅い分、腕が遅れて加速しながら出ていく。バッターとしてはタイミングがとりにくいか。しかし、制球力に多少難があるかもしれない。一方、秋田投手は、頭部が立っている分、コントロールがいいはずだ。しかし、多少開きが早いフォームとなる。打者からは見やすいのかもしれない。ただ、吉永投手に比べると、無理なく合理的な動作だ。

 この投球フォームによる頭部は、さらに洗練されてくると、左右に振ることなく操作される。下の写真はダルビッシュ投手。投球動作のスタートからフィニッシュまで、ほぼ頭部を垂直に保ち、可能な限りわずかな頭部の動きで「体幹」を操作している。 

  eo光チャンネルの番組「生まれたるは関西」(日本の美意識を今に伝える〜京履物司 祇園ない藤〜)に、小田伸午先生(関西大学人間健康学部)と私(木寺・奈良工業高等専門学校)が出演します。江戸時代までの日本の伝統的履物と歩きについて解説いたします。ぜひ、ご覧ください。

放送日時 8月17日(水)〜9月6日(火)放送

期間中は何度も放送されます。(いずれも14分番組です)
 ・月曜(8/22・29・9/5)    11:15〜
 ・火曜(8/23・30・9/6)     8:00〜 
 ・水曜(8/17・24・31)        13:00〜 / 19:45〜
 ・木曜(8/18・25・9/1)       7:30〜 / 20:30〜
 ・金曜(8/19・26・9/2)     13:30〜 / 23:30〜
 ・土曜(8/20・27・9/3)     16:45〜  / 20:30〜
  ・日曜(8/21・28・9/4)   13:30〜

尚、番組はネットでもご覧いただけます。上のタイトルのロゴをクリックしてください。ネット配信は、8月17日(水)より一か月半の間、ご覧いただけます。

 放送(ネット配信)終了しました。 

 もう、結果を言うまでもない。なでしこジャパンが女子W杯で、世界一の座についた。早朝(夜中か?)目が覚めた。TVのスイッチを入れるとW杯の映像が・・・。準決勝のスウェーデン戦では、日本選手のステップが細かく見えた。サッカーやラグビーでは、歩幅がせまく見えるチームが技術的に優っている(私はそういう見方をしている)。スウェーデン戦では、技術的に圧倒していた。

 しかし、このアメリカ戦は、技術的にはアメリカがいいように感じられた。予想通り苦しい展開。それにしても、前半はアメリカの猛攻をよくしのいだ。後半、多少日本ペースになってきたかと思われた24分、縦パス一本からモーガンのシュート。正直、勝負あったかと思われた。しかし、前半よりもはるかにボールを支配していた日本は、後半36分、サイドからの速いクロスを丸山がキープ、相手のクリアがこぼれたところを宮間あやが見事に反応して同点。いつもは、仕事柄、両チームの動作をみているのだが、この一点で完全になでしこのサポーターになってしまった(笑)。

 後半、残り10分弱で追いつかれたアメリカチームの落胆は想像に難くないが、延長前半終了間際、左からのクロスをワンバックが狙いすましたヘディングシュート。しかし、延長後半終了4分前、宮間選手の左コーナーキックに、澤選手がニヤサイドに走りこんで神業とも思えるシュートで同点。

 PK戦前、映像に映し出された笑顔で選手を送り出す佐々木監督のすがたに勝利を確信した。一方、アメリカ選手は硬い表情。PK戦では、GKの海堀選手がファインセーブを連発。最後は、熊谷選手のPKがゴールネットを揺らし、日本の勝利。少し遠慮しているかのような熊谷選手のガッツポーズに日本女性らしさが垣間見えた。

 それにしても、感動的なゲームだった。そして、この勝利は日本のサッカー界に大きな自信をもたらしたと思う。私は、日本人にはサッカーは向かないと言ってきた。その理由はリズム感。日本人はサッカーのような連続動作が苦手だ。しかし、日本の若者は欧米の音楽や言葉を頻繁に耳ににしながら育つ。もう、日本語のリズムと生活様式からくる体感は変容しているのかもしれない。

 少し考えてみれば、ペレ、マラドーナ、メッシ・・・・、思いつく超トップのプレーヤーの中には、日本人と大差ない体格の選手がいる。今回のなでしこの勝利は、サッカーが体格的に劣る日本人でも十分に戦える時代に入ったことを証明してくれたのかもしれない。

 「東日本大震災被災地支援・第20回寛仁親王牌」の決勝戦が3日、新潟・弥彦競輪場で争われ、浅井康太選手(27=三重・90期)が優勝しました。三重県登録のタイトルホルダーは海田和裕(65期=引退)以来2人目、また90期以降のG1優勝は深谷知広(21・愛知=96期)に次いで2人目。

 浅井選手は、五体治療院(小山田良治代表)でからだのケアを欠かさない「左重心」の選手です。下の動画をご覧ください。決勝戦の様子です。

 4番(青)が浅井選手、「左重心」というより「左の片踏み」です。「左半身」で進んでいます。 浅井選手は、仲間内では「Mr.左重心」とよばれているらしい。小山田さんのブログ「常人歩人って・・」にも、ニックネームの「コス☆丼」としてたびたび登場しています。(どうして「コス☆丼」なの??)

 先日、クロールの動作について、水泳の専門家の方と話していました。このHPでは、あまり水泳は取り上げていないのですが、「優秀な選手はキャッチする位置が前にある」ということをお聞きしました。可能な限り前方でキャッチすることによって、長く水をかく(プル)することができます。まず、クロール動作の基礎を理解するために下の動画を見てください。

 キャッチとはどういうことか確認してみてください。動画の中盤に説明されています。「エントリーキャッチスカーリングプルフィニシッシュリカバリー」という一連の腕の動きを理解ましょう。クロールの推進力は、7割〜8割が腕の動きによってつくりだされます。キックの推進力はそれほど多くありません。

 さて、水を前方でキャッチするにはどうしたらいいでしょうか。イアンソープ選手の動画を見てみましょう。

 イアンソープ選手は、水を前方でキャッチしています。動きをみる時には、どんな競技でも共通しているのですが、からだ全体の関連(連鎖)をみる必要があります。特に、体幹と四肢の動きをみるようにします。例えば、水中で水をかく(プル)のは手(腕)ですので、どうしてもその動きに惑わされます。そうではなく、体幹の動きでキャッチ動作をみてみてください。まず、肩のローリングとキャッチ・プルの関係をとらえてください。キャッチやプルは腕ではなく、肩(体幹)のローリングによってつくりだされていることがわかります。

 IHI東京病院の片岡喜直先生(内科)より「雑食性の二足歩行生物として」というレポートを投稿していただきました。片岡先生とは、ここ数年間メールの交換をさせていただいております。いつも、貴重なご意見や情報をいただいています。

 片岡先生は、若い頃の「ぎっくり腰」のご経験から、ランニングを開始、それから18年、第1回東京マラソンをはじめ25回のフルマラソン、29回のハーフマラソンなどに参加されています。それらのご経験から、肩や腰に障害を持つ患者さんに姿勢のアドバイスなどもされているといいます。そして、次のように記されています。本文より抜粋します。

 患者さんに実感してもらいたいのは、「ちゃんとした姿勢で座るのは楽ではない」ということである。意識せずに座ると体重をお尻・坐骨で受け止めることになり、実はこれが腰に負担をかけていて腰痛の原因の一つだと思うのだが、確かに楽ではある。正しい座位姿勢では骨盤はやや前傾、肩甲骨を後ろに引き、耳は肩の真上になる。意識の中心は臍下(いわゆる丹田かそのもう少し下)である。自然に手は太ももの上に乗る。この姿勢だと自ずと背筋・腹筋を使わざるを得ない。楽ではないのである。楽に座っている時には腹筋も背筋も緩んでいる。だから楽。

 片岡先生の文章を拝読させていただいて「不自然の自然」という言葉を思い出しました。誰が言われたか忘れましたが「自然とは不自然からはじまる」という意味です。例えば、ゴルフの上級者にスイングのコツを聞くとします。よく「自分の体に合うように自然に振ればいいんだよ・・・」なんて返事がかえってきます。でも、そんなはずはありません。ゴルフの初心者にとってスイングが「自然」なはずがないんです。「不自然」のはず。その「不自然」を我慢し繰り返して、やっと「自然」になります。

 さらに先生の話題は、江戸時代と現代人の生活形態およんでいきます。そして、私たちの「身体」はまさしく生き抜く時代をの生活に合うように意識的に工夫しなければならないと語っておられます。是非、お読みください。 

(こちらからダウンロードしてください)

 「身体は文化である」・・多くの身体関係の専門家の方々が言われています。私たちの「身体」は、様々なものを時代を超えて受け継いでいます。そして、これからも伝えていくであろう、ということだと思います。だから、「身体」は非常に価値があり、その「身体」を主体として実践されるスポーツ文化もすばらしい。

 全く同感なのですが、身体動作や身体操作を考えるときに、「身体は文化である」ことほどやっかいなものはないと感じることがあります。例えば、素晴らしいパフォーマンスを発揮する選手の動作を考察するとします。考察の仕方は様々でしょうが、選手の身体が文化であるとすれば動作も文化として様々なものを包含しています。最も分かりやすいのは「癖(くせ)」。武道などでは「個癖(こへき)」と言ったりします。その選手が持っている「癖」です。その動作(選手個人の文化)が、パフォーマンスにプラスに作用しているのか、マイナスに作用しているのか判断することは難しいのです。

 「身体操作(論)」とは、そのような動作から合目的な「動き」だけを抽出して、合理的動作を構築することだと思います。一般に「身体運動文化論」といえば、「身体は文化である」ことを前提として「身体」を見ていきます。 内蔵ている文化を包含したまま「身体」を考察します。または、文化と「からだ」の関わりを課題とします。しかし、「身体操作(論)」は「身体」から文化を排除し、合理的または合目的的な「身体」を課題とすることではないかと思います。

  さて、「身体」は時代を超えて文化を包含している例として、女性の「内股」を取り上げてみます。ここ数年、興味を持っている課題です。来日した外国人の多くが、日本人女性の「立ち方」や「歩き方」に違和感を感じると言われています。多くの日本人女性がつま先を内側に向けているからです。ところが、本来、日本人女性は内股ではなかったのです。後天的に「女性らしさの表現」として定着したものと思われます。民俗学者の柳田国男は、日本女性の内股について「美女の嬌態として認められることになった」(『木綿以前のこと』柳田国男・1924年・大正13年)と記しています。「嬌態」とは、「女性が男性にこびる色っぽい態度」(広辞苑)のことです。つまり。女性が男性にたいして「女性らしさ」を表現する方法として用いられたのが「内股」です。様々な資料がるのですが、田中比左良のイラストを紹介します。 

 上は戦前の人気漫画家の田中比左良のイラストです。多くの女性たちのイラストを残しています。すべてのイラストを調査したわけではありませんが、一般女性は和服であっても外股で描いているのに対し、芸者さんを極端な内股で描いています。 女性らしさの表現として、運動に適さない非合理的な姿や動作が用いられてきたように思います。中国の纏足(てんそく)などはその最たるものでしょう。

 日本女性の「内股」は「身体は文化である」ことを明確に示している例だと思います。日本では、多くの女性が幼少のころから「足先を閉じなさい」といわれて育つのかもしれません。また、周りの大人を真似るのかもしれません。この傾向は、スポーツなどの技術や動作習得に関してはマイナスになることは明らかです。さらに、女性の年配者に、膝・腰・股関節などの障害が多いことも、この「内股傾向が大きく影響していると思われます。

 前近代(江戸時代まで)の日本人のからだ使いを、洗い出そうと考えているのですが、なかなか方法が難しいのです。何しろ、当時の日本人がいません。現在のようにビデオが残っているわけでもありません。しかし、その当時の日本人の動作に、すばらしい身体操作法があると確信しています。一つは、履物や服装から、当時の歩き方や動作を推測することです。草鞋や草履、足半、足袋というような、日本の伝統的履物から動きを考察することができると考えています。

 今日は、日本人の走力について調べていたのですが、明治44年(1911)に行われた翌年に開催されるストックホルム五輪に向けたマラソンの予選 会に出場した金栗選手は、当時の世界記録(但し、当時は40・225km)を27分も縮める大記録を出し、日本人初のオリンピック代表選手となりました。実は、その時に履いていたのが足袋なのです。足袋といっても、マラソン用に作成された「マラソン足袋」です。

 そこで、マラソン足袋を検索しておりましたら、最近アシックスが「マラソン足袋」を復活させたという記事を見つけました。同社のブランド「オニツカタイガー」から「マラソン足袋」を原型としたスニーカー「OKATABI MT」を2011年1月中旬に発売、さらに「OKATABI SANDAL」を2011年3月下旬から発売したらしい。2商品は、アシックスの前身であるオニツカタイガーが1953年に開発した「マラソン足袋」を現代風にアレンジしたもの。男性用の「OKATABI MT」は、柔らかいスエード素材に格子柄の模様を配し、かかとには足袋に使われる留め具「コハゼ」を思わせる刺しゅうと糸をあしらっています。レディース向けの「OKATABI SANDAL」はぞうりの意匠も取り入れ、かわいらしさをアピール。以前の商品と比べ、よりストリートファッションにも合わせやすいデザインが特徴のようだ。

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