モデル歩きは「なみあし」なのか??

2016-12-06

 先日、ミスユニバース日本代表にも選出され、ジバンシィのオートクチュールの専属イメージモデルとしても活躍、パリコレのプレタポルテ部門やミラノコレクション(プレタポルテ)などヨーロッパでご活躍されたモデルの方と歩調を合わせる機会がありました。

 その時に、彼女と私の上下肢の振られるタイミングが全く同じだったのです。つまり、一般の歩きより上肢が遅れて前方に振りだされるのです。

 また、リオオリンピックの開会式でスーパーモデルのジゼルが歩いた動画を教えていただきました。やはり、同様のタイミングなのです。そして、基本は腰と肩がローリングしないこと。

 なみあしの歩きはモデル歩きと共通点が多いことがわかりました。

動作改善用品「テノウチ」装着法

2016-09-08
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 なみあし研究所では「肩」「肩甲骨」に着目しいます。

先日、五体治療院代表の小山田良治氏から送っていただいた上腕挙上時の肩甲骨の動きの動画をアップしました。ご覧ください。

 肩甲骨にある力をかけ(テンションをかけると言っていいのか?。まず、肩甲骨を適正位置おさめることが大切です。

 これができると、肩甲骨のテンションのかけ方で腕を素早く動かせるようになります。肩甲骨を適正位置におさめる方法の一つが動作改善用品(Supernatiral Quint V)のテノウチを装着してストレッチや走歩行を行うことです。

 テノウチは装着方法にコツがあるのです。セミナーを受講いただいた方々にはご説明しているのですが、今回その方法を動画と静止画でアップしました。(こちらからどうぞ)

 テノウチは「後歯下駄」とともに、なみあし習得の必需品です

上腕を挙上する

2016-09-01

 近年、なみあし研究会では、肩に着目している。肩甲骨がよく動くことがいいとされてきたが、その本来の意味は上腕と肩甲骨を分離させることだ。

 先日、五体治療院代表の小山田良治氏から上腕挙上時の肩甲骨の動きをアップしたとの連絡が入った。まだ未完成とのことだが、挙上時に上腕を回旋させることによって、肩甲骨が戻る動きがわかる。

 しかし、上腕を適切に回旋させることは案外むずかしい。例えば、上腕を外旋させたつもりでも、肩甲骨を内転させてしまっていることが多い。まず、肩甲骨を適正位置おさめることが大切である。

 これができると、肩甲骨のテンションのかけ方で腕を素早く動かせるようになる。

日本人は短距離も速い・・・

2016-08-22

 リオデジャネイロ五輪第15日(19日=日本時間20日、五輪スタジアム)陸上男子400メートルリレーの決勝を行い、 予選と同じ山県亮太(24)=セイコーホールディングス、飯塚翔太(25)=ミズノ、桐生祥秀(20)=東洋大、ケンブリッジ飛鳥(23)=ドーム=の オーダーで臨んだ日本は、37秒60の日本新&アジア新記録で銀メダル。銅だった2008年北京五輪以来、2大会ぶりのメダルを獲得した。

 日本人のオリンピック陸上競技でのメダルと言えば、マラソンがすぐに思い浮かぶ。しかし、日本人は決して短距離が不得意ではないのだ。短距離では上位はネグロイド(黒人)系選手で独占されているのでそのように感じるだけ。

 ネグロイド系選手は短距離のような瞬発系種目でもマラソンのような持久力系種目でも活躍している。地形や気候の違いにより西アフリカでは瞬発力系がつよく、東アフリカでは持久力系がつよい身体がつくられたと考えられている。ジャマイカ在住の人々は西アフリカにそのルーツを持つ。

 さらに、近年になってジャマイカとイギリスの大学が共同研究で、ジャマイカのトップクラスのスプリンターの約8割が、筋肉中にαアクチニン3というタンパク質を遺伝的に多く持っていることが判明したらしい。αアクチニン3とは、瞬発力を生み出す筋肉・速筋が力を爆発させる為に収縮する際に支える役目を担っている。元々ネグロイドは、他の人種に比べ速筋が多いのだが、ジャマイカの人々はさらにつよい速筋を持ってるということだ。

 では、ネグロイド以外で10秒を切った選手は何人いるのか。

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 少し古い資料(2013年)しか見つからなかったのだが2人である。しかし、2015年に中国の蘇炳添選手が9秒99を記録しているので3人だと思われる。それはともかく、驚くべきはこの表に、4人もの日本人アスリートが名を連ねていることだ。

 これは以前から言われてきたのだが、ネグロイド系選手をのぞくと日本人は短距離においても速いランナーを量産しているのだ。近い将来、日本人スプリンターから10秒の壁を破る選手が出てくるに違いない。

上肢を巧みに操作する・・

2016-08-17
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 リオデジャネイロオリンピック女子卓球団体戦は銅メダル、男子団体は強豪ドイツを破り決勝戦へ進出した。

 身体動作学からその特性にせまってみよう。

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 卓球競技の特性は比較的軽い(190〜200g)ラケットを巧みに操ること。そのために必要な身体操作は主に「抜重」と「肩甲骨の適正位置」だ。

 「抜重」とは膝の操作によってカラダが宙に浮いた局面をつくりだすこと。足が接床しているときには腕を高速に振ることはできない。体幹の重心を制御する必要があるため上肢を素早く操作することができないのだ。

 そして、もう一つは「肩甲骨の位置」だ。

 近年、肩甲骨が自由に動くことの重要性が注目されてきたが、動作の中で肩甲骨にテンションをかけ固定させることが必要となる。

 日本の伝承的身体運動でも、肩甲骨を適正位置に収めることは重要視されてきた。その一つの方法が「たすき掛け」だ。

 また、武術では手のひらで「クルミ」を回転させる訓練方法があった。「クルミ」を素早く回すためには「肩の適正位置」が不可欠である。

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 「なみあし身体研究所」では手の親指にある負荷をかけることによって、肩甲骨を適正位置に収めることを推奨している。

 五体治療院に通う、競輪の北野良栄選手(95期・元プロ野球選手・」写真)が手の親指にある負荷をかけることによって肩甲骨が適正位置に収まることを発見。研究所公認トレーナーの山田宗司氏が中心となって「テノウチ」(写真)を開発した。

 この「テノウチ」は肩甲骨の適正位置だけでなく、上腕を外旋へ導くことができる。

 実は、「肩甲骨の適正位置」と「上腕の外旋」が手に入ると、肩甲骨へのテンションのかけ方だけで、上肢が思いのままに素早く動作するようになる。

 卓球では以前はペンホルダーというラケット保持の仕方があった。現在では、多くの選手シェイクハンドグリップを用いている。この変容も、身体動作の立場からみれば当然である。

 シェイクハンドの方が「肩甲骨の適正位置」と「上腕の外旋」をつくりだすことが著しく容易である。

やはりボルトは速かった・・・。

2016-08-15

 「やはり、ボルトは速かった・・・」

 7月のリオ代表選考会、ジャマイカ選手権決勝は左ハムの負傷で棄権。同国陸連の救済措置によって無事、代表入りを果たした。

 本調子ではなかったはずの今大会、ボルトのスタートの反応時間は0.155秒でガトリンから遅れることわずか0.003秒。ここからガトリンに離され、たちまち1メートルほどの差ができ た。50メートルを過ぎても縮まらず「3連覇危うし」の空気が漂ったところからスパート。残り約20メートルからひっくり返してみせた。

 さて、ボルトの走りは、これまでの常識を覆したといわれている。その一因は、ボルトが脊椎湾曲症を発症していたことにある。よって、肩と骨盤は大きく左右に傾くことになる。

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 上の画像はパウエル選手との比較である。特に骨盤は左足着地の局面で大きく左に前傾する。この前傾は左のハムストリングに大きな負担をかけることになる。今シーズンのハムストリングの負傷箇所も左である。

 そして、これらの左右差は歩幅にも影響を与えている。4年前のロスオリンピック時のデータではあるが、右が2m59cm、左が2m79cm。右とは右足の踏切から左足への歩幅、左はその逆である。左への骨盤の傾きが大きいので左足への反力が大きく右足を大きく振り込む。言い方をかえると、左から右への重心移動よりも、右から左への移動の方が速い。

 この走りは伝承的身体操作から考察すれば「左の片踏み」という。[左の片踏み」はからだを前進させるときに用いた身体運用法。この左右差がボルトの速さの一因である。

 また、この「左の片踏み」はボルトにさらに大きな特性を与えることとなった。「左の片踏み」は左回りのコーナーを走りやすという特性がある。ボルトが本来200メートルを得意にしていたことと無関係ではない。

 この後の、200mと400リレーを制すれば、3大会連続3冠の達成である。まさしく伝説のランナーだ。

 さて、ボルト選手の体感の左右差については小田伸午先生が産経新聞に記事「世界最速!体幹の左右の動きに注目・・・ボルト」を掲載しています。

 是非、ご覧ください。

高校一年生が課題研究で「二軸サッカー」

2016-07-23

先日、関東地方のある高校1年生から学校の課題研究で二軸動作・常歩(なみあし)を研究したいとのメールをいただきました。

専門の種目がサッカーとありましたので、二軸サッカーに精通され実際に高校生をご指導されている埼玉県立本庄高等学校の福島智紀先生をご紹介しました。高校生はその後、福島先生とたずねられたそうです。

そして、研究解題を成果をユーチューブにアップしたとの連絡がありました。

二軸動作というと、どうしても左右軸の操作にのみ着目されますが、この動画では立ち脚(軸足)の膝の操作にも着目しています。素晴らしいと思います。

是非、動画をご覧ください。

近世日本人の歩行能力

2016-05-19
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 近世の日本人はどのくらいの距離を歩いていたのか。東洋大学の谷釜尋徳先生が詳細な調査をされています。

 近世日本人の歩行に関しては多くの論考を発表されているのですが、左の表は「近世における東北地方の庶民による伊勢参宮の旅の歩行距離−旅日記(1691〜1866)の分析を通して−」(東洋大学スポーツ健康科学紀要、2015/03)に掲載された表です。

 36編の東北地方から伊勢神宮に参拝(お伊勢参り)した旅日記(男性に限る)から詳細にその歩行距離を算出しています。

 よく、近世日本人の旅は一日10里(約40キロ弱)歩いたと伝えられるのですが、この表では平均30キロ台になっています。しかし、これはあくまで平均で旅行程の都合で一日一桁から10キロ台の日も含めたものです。

 最長は75キロですが、どの旅日記も50キロを超えています。谷釜先生は、「無理のない歩行の上限は50キロ程度であった」と推察されています。

 これはとんでもない距離です。一般の庶民は一日50キロであればある程度余裕で歩けたということです。

 このような歩行を可能にしていたのは何だったのでしょうか。ますます、前近代日本が保有した「身体」に興味がわきます。

五体直伝、開脚股関節外旋エクササイズ

2016-05-03

なみあしセミナーでの股関節外旋ストレッチの様子・・。上腕と股関節の外旋を連動させることで効果が倍増します。膝関節は曲げてよい・・・いや、曲げることで外旋します。

運搬と歩行形態

2016-04-12
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 現代人の歩行形態は著しく画一化していると考えられます。前近代(明治維新以前)の歩行形態は多様化していました。当時の日本人の歩き方が「右手と右足が同時に前に出る」というようなナンバであったというのは誤解です。

 私は、その歩行形態の多様化の原因を、歩行目的の多様化と日本の伝統的履物に由来するといってきました。しかし、民俗学者の横出洋二氏が興味深い論考を発表しています。(日本中世における身体技法について−身体の姿勢を中心とした試論−)

 横出氏は「一遍上人絵伝」を中心に中世人の姿勢と歩行形態の考察を試みています。その中で、中世では比較的に背筋が伸びた立位姿勢や歩行形態が、時代が下ると徐々に前かがみで膝をまげている傾向が強くなることを指摘しています。そして、その原因を運搬方法に見出しています。

 「一遍上人絵伝」では頭上運搬の絵が多く描かれているようです。頭上に荷物をのせて歩く運搬法です。しかし、時代が下り江戸時代に入ると、頭上運搬は少なくなり、担いだり背負ったりしている絵画が多くなるようです。この運搬法が一般の歩行形態に大きな影響を与えたのではないかと考察されています。

 本来、歩くという動作は手ぶらで歩くことの方がきわめて少なかったと思われます。移動を目的としても、同時に荷を運ぶ必要がありました。その運搬方法が歩行形態に大きく影響していたことは違いありません。

 また、頭上運搬は主に女性が用いていた方法です。男性は女性のように頭上運搬が上手くいかなかったとも記されています。

浅井・山内、常歩ラインでワンツーフィニッシュ

2016-02-24
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 競輪奈良開設65周年記念の春日賞争覇戦(G3)最終日、同競輪場で決勝(2015メートル、6周)が行われ、「ミスター左重心」で昨年暮れのグランプリを制した浅井康太選手(三重)が、2分57秒2(上がり9秒7)で制し、G3、16勝目を挙げました。

 8番手だった浅井選手はまくって残り半周すぎでトップに立ち、そのまま押し切りました。実は、浅井選手を追走し2着にはいった山内卓也選手(愛知)も五体治療院で小山田良治氏からトレーニングや技術指導を受けている。

競輪界では、昨年から常歩旋風が吹き荒れている。左重心と常歩のトレーニングは、他のスポーツにも飛び火すること必至です。身体の左右特性を活かす考え方は、日本の武術や伝統的身体動作が持っていたもの。常歩が世界を席巻する日も近いかも・・・。

 レースのダイジェストはこちら。

外旋トレーニング

2016-02-05

 外旋トレーニング、なぜ外旋が動きの基礎であるのか。

 10月より「屈曲動作」をテーマにセミナーを主催してきましたが、「屈曲動作」を支えるのは股関節の外旋なのです。膝関節の屈曲と股関節の外旋はワンセット。昔の武道家は開脚のトレーニングだけは欠かさなかったといいます。日本の伝統的な動作の基礎だと思われます。

 さて、動画のタイトルは「ヤギトレ」となっていますが、プロ野球選手の八木亮祐投手のキャンプイン前のトレーニングの様子です。トレーナーは「 KEEP LEFT program」所属の前川隆治氏。このトレーニングは20年以上も前から、プロ選手らの間で秘伝として伝わってきました。今回、公開を許されました。是非、トライしてみてください。

勝利至上主義について

2015-10-06
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 先日「勝利至上主義の功罪問う」というタイトルで講演をいたしました。上はそのなかで使ったスライドです。

 「勝利至上主義」というのは「勝つことが最も大切である(価値がある)とする考えといっていいと思います。そして、その前提として「優勝劣敗」があります。「優勝劣敗」とは「優れたものが勝ち、劣っているものが負ける」という考え方や感じ方。

 しかしながら、武道や武術では必ずしも「優勝劣敗」であるとは考えません。「劣勝優敗」の場合が多くあると考えます。「劣っているものが勝ち、優れているものが負ける」ことが頻繁にあると考えます。

 ですから武道や武術では競技的な勝敗を決めることを第一義としないのです。技の優劣と勝敗は一致しないというとらえ方です。本来日本の武道にはトーナメント試合はありません。勝者どうしを戦わせてチャンピォンを決定するというのはスポーツ的な考え方です。

 技を高めること、つまり「技の洗練度」を高めることが武道(武術)の最大の特性であると考えられます。その中に本来の人間形成があると考えられます。だからこそ、合理的身体操作の必要性が浮かび上がってきます。

アクセルとブレーキを入れかえる

2015-07-18
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 合理的身体動作を体得していただくために、動作指導や講習会で最初に行っていただくトレーニングは、アクセルとブレーキを入れ変えることです。

 とても単純なトレーニングですので取り組んでみてください。写真のように素足で立ちます。床でも畳の上でもけっこうです。この状態からつま先で床を押してください。からだはどのように動くでしょうか?。ほとんどの方は体を前に倒してつま先で床を押します。

 そうではなく踵を接床したまま(重心位置を変えないで)つま先で床を押すと体は後ろに倒れます。動作を変えるときにまず最初に行う体感トレーニングです。この動きを覚えるだけで多くの方が動作を変えるきっかけをつかみます。是非、何度も繰り返してみてください。

伊藤選手が五輪女王に惜敗 世界卓球

2015-05-02
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 昨日、帰宅したら世界卓球、伊藤美誠選手とオリンピック金メダリスト李暁霞の試合が・・・。思わず見入ってしまった。どちらのランキングが上かわからないほど、14歳の伊藤選手は堂々としていた。

 セットカウント2−4だったが、内容的には互角の戦いだった。ジュースのときにポイントを取りきっていたら、どういう結果になっていたかわからない試合だった。

 しかしながら、動作を比較すると改善点がある。卓球のようなラケットや腕を高速に振る動作では、抜重が大切となる。必ず抜重しながらでないとラケットを高速に振ることはできない。抜重には「沈み込み抜重」と「立ち上がり抜重」があるのだが、伊藤選手は日本の女子卓球選手の中でも「沈み込み抜重」を駆使できる数少ない選手である。フォアのスマッシュは「沈み込み抜重」で動作しているが、その他はほとんど「立ち上がり抜重」を使っている。一方の李選手はほとんど「沈み込み抜重」を使っている。膝を伸展しながらボールをラケットでとらえることがほとんどない。これは両選手の身長差も影響しているかもしれない。非常に強い精神力が評価されている伊藤選手、動作に関してはまだまだ改善の余地がある。

 是非、世界のトップを目指してもらいたい。

カギは「左荷重」にあり

2015-03-27
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 3月25日(水)発売の雑誌「剣道日本」5月号に、「左荷重」についての記事が掲載されました。

 現代剣道でも、さかんに「左」の重要性が言われます。

 「左のひかがみ(膝の裏)を張る」
 「左の軸をつくる」
 「左を動かさない・・」

など。しかしながら、それらの教えは「伝統的歩行」を原理とした動作の教えだということが分かってきました。多く剣士は「現代的歩行」を原理とした剣道を実践しているのです。

 剣道は「歩行法」を基礎とした「動作原理」を解明することによって解き明かすことができます。

 昨年、発刊させていただいた『日本刀を超えて〜「身体」と「竹刀」から考える剣道論』の剣道日本の紹介文には

『著者は「日本刀」でないもの、しかしまぎれもなくかつての日本人が持っていた伝統に答えを求めた』

とあります。

私自身、剣道をこよなく愛するがゆえに、剣道の伝統をいかに受け継ぐかということの実践と研究に人生をかけてきました。剣道の伝統は「日本刀」の操法ではなく、「日本刀」の操法を支えていた「歩行原理」を現代剣道に当てはめることによって受け継がれると考えられます。

「身体動作における二軸動作の効果の実証」

2015-03-19

 北海道教育大学函館校、人間地域科学課程、地域創生専攻、地域文化分野の4年生、岩崎真美さんにお願いし、学士課程論文「身体動作における二軸動作の効果の実証」の抄録を送っていただきました。

 昨年、ボウリングの講習会で函館を訪れましたときに、会場まで足を運んでくださり、二軸動作に関する研究をしたいとのことで、講習会を受けていただき、その後、少し話をさせていただきました。

 論文では、6名の被験者に二軸動作のトレーニングをを課し、「20メートル走」と「アジリティテスト」をその前後で実施しています。その結果、「20メートル走」において明らかな有意差が認められたと報告されています。

 岩崎さんが二軸動作を知ったのは、中学2年次で、所属していたサッカー部の顧問から指導を受けたと記されています。その結果、男子選手と当たり負けしなくなり、短距離走の記録が大幅に縮まったそうです。

 論文作成中に、ご本人の走動作の動画等を拝見させていただきましたが、とてもよく二軸動作を理解し習得されています。そして、運動能力が非常に高いことが見受けられました。

 短期間の指導で二軸動作の明らかな効果が実証されたことは、大変有意義な結果であると思います。二軸動作を研究課題として取り上げていただいきました岩崎真美さん、そして、指導教員の北海道大学函館校、吉村功教授に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 岩崎真美さんの益々のご活躍を祈念いたします。

 なお、抄録はこちらからダウンロードください。

石川選手、卓球ワールドツアーグランドファイナル優勝・・・・おめでとう

2014-12-16
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 卓球の石川佳純選手が、卓球のワールドツアー・グランドファイナルの女子シングルスで日本勢として初優勝。強豪の中国勢は出ていなかったとはいえ快挙である。

 講演会や講習会で、よく石川選手の身体操作に関しては紹介させていただいていた。上はそのスライドである。理由は、日本の女子卓球選手の中で唯一「沈み込み抜重」がつかえる選手だからだ。「抜重」というのは両足を床(地面)から離してカラダを浮かせること。「抜重」することによって、腕が素早く、もしくは巧みに動くのだ。多くの競技で「抜重」を使っている。剣道の跳躍素振りも「抜重」によって竹刀を早く振る稽古である。

 「抜重」には「立ち上がり抜重」「沈み込み抜重」がある。「立ち上がり抜重」は卓球に限らず多くのプレーヤーが無意識に利用しているが、「沈み込み抜重」を使える選手は少ない。その中で、石川選手は「沈み込み抜重」を利用している。

 「立ち上がり抜重」は予備動作が大きいのに対して、「沈み込み抜重」は予備動作がない。そのために相手が反応できないことが多い。
 「抜重」という観点でいうと、「立ち合上がり抜重」はスポーツ技術に多く見られ、「沈み込み抜重」は武道(武術)で多くみられる。そして「沈み込み抜重」ほぼ静止状態から生み出される。よって、スポーツの動きと違って、武道(武術)は「静」に特性がある。

身体動作講習・・・

2014-11-22

 約2年間、陸上部の学生と身体動作研究会を開催してきました。約2〜3週間に一度の割合。そのくらいの頻度でも、身体操作の感覚は全く変わってしまいます。

 彼自身も、自己ベストを更新することができました。卒業を控えて「身体動作法の教え方を学びたい・・・」ということで、引き続き講習会を開催。剣道部の学生を相手に歩行を指導。

 途中から私が打突動作と歩行を協調させる講習を・・・・。このタイミングで竹刀を振り上げることが「伝統的打突」⇒「常歩剣道」へと移行します。この左足への荷重で振り上げ動作が発現することは剣道の基本であったのです。しかし、現代では、ほぼ逆のタイミングで竹刀を振り上げる剣士がほとんど。

 実際に指導するときには、歩行と打突動作の関係を指導する必要はありません。剣道の稽古で右荷重と左荷重のタイミングを教えるだけでいいのです。そのタイミングを教えると剣道は劇的に変わっていきます。左のかかとは下がり「ひかがみ」が伸びてきます。左のこぶしは正中線から外れなくなっていきます。

左荷重

2014-10-16
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 「常歩(なみあし)」の大きな着眼点に左右がある。元々、カラダの左右特性の研究から「常歩(なみあし」ははじまった。

 剣道に伝わる教えに、「ひかがみ(膝のうら)を張れ」「左足の踵を下げよ(接床させるのではない)」などがある。

 しかしながら、現代の剣士(特に若い剣士)は、そのような教えとは逆の動作をしている。左のひかがみが緩み、左踵が上がっている。

 その原因を探っていくと歩行形態に行きつく。現代人の歩きを基礎として、剣道をすると、左のひかがみが緩み左踵が上がるのだ。これは、言いかえると、右足に荷重していることを意味している。

 しかし、このように右荷重の現代的な剣道をしている若い剣士に、左荷重の打ち方をしてもらうと、短期間に剣道が変わっていく。左のひかがみが張られ、左踵が下がってくる。

 剣士によっては

「先生、左踵を床につけてもいいですか・・・」

と尋ねてくるものもいる。左踵を接床させることは現代剣道では基本とされていないので、「左踵はつけないように」」と若い剣士には指導している。しかし、この剣道で左膝の抜きを覚えれば、はるかに左踵を接床させた方が打ちやすいはずだ。

 この左荷重の剣道は、左に荷重するタイミングを教えることで上達するようだ。振り上げ時とその直前に左に荷重することが大切。そのための基本打突と構えを教えると短期間で左の剣道になっていく。

 そして、驚いたことに「相手の打突に対して引く」「左拳を頭上にかかげる」「引き技を多用する」というような、現代剣道の特徴的な動作が影をひそめていく。

 さらに、この左荷重の剣道を発展させると、左足踏込の技ができるようになる。常歩(なみあし)剣道は、やはり伝統的歩行法を基礎としていることが明らかになった。

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