「歩み足」の剣道
HPでも何度がご紹介しました打味一範(うつみかずのり)氏の「歩み足」の剣道が、雑誌「剣道日本」で紹介しされました。打味氏とは、何度もメール交換をさせていただき、常歩(なみあし)の剣道をご参考にしていただいたようです。私(木寺)も、打味氏から多くの示唆をいただきました。
今回「スキージャーナル社」のご好意により、記事の転載のお許しをいただきました。下記、タイトルよりダウンロードしていただけます。
「歩み足」の剣道
HPでも何度がご紹介しました打味一範(うつみかずのり)氏の「歩み足」の剣道が、雑誌「剣道日本」で紹介しされました。打味氏とは、何度もメール交換をさせていただき、常歩(なみあし)の剣道をご参考にしていただいたようです。私(木寺)も、打味氏から多くの示唆をいただきました。
今回「スキージャーナル社」のご好意により、記事の転載のお許しをいただきました。下記、タイトルよりダウンロードしていただけます。
先日、「2軸感覚スイング」の浜田節夫プロにお会いして、練習場(打ちっぱなし)へご一緒させていただきました。そして、浜田プロのスイングを撮影させていただきました。
私も200球ほど打ちました。浜田プロのアドバイスで確実に上達したかも・・・。
練習が終わってから食事をしながらのゴルフ談義。興味深かったお話をいくつか紹介します。
一般に、ゴルフのスイングではバックスイングで右足体重、ダウンスイングで左足に体重を移動させるように言われるそうです。しかし、それは外国ではほとんど言わないとのこと。アメリカには「左一軸打法」というものもあるらしい。浜田プロの「2軸感覚打法」も左軸でスイングします。
また、ダウンスイングでは腕(グリップ)はアウトからインに振る感覚がよい。一般的には、逆にイン(自分のからだに近いほう)からアウトに振ることが良いとされています。浜田プロのアウト・インの振る感覚を教えていただくと非常にスイングがスムーズになりました。
ヘッドアップについて。頭を残すというのは間違い。顔は飛行線方向に向くのが自然。それよりも早くクラブヘッドが適切な位置にくればよい。ヘッドアップとはクラブヘッドとからだの関係をいうらしい。
浜田プロの動画をご覧ください。ゴルフの素人の私がプロのスイングを解説するのはおこがましいのですが、バックスイングと同時に左ひざが前方へ送り出されています。つまり、左股関節を外旋させています。バックスイングで右ではなく左に乗せていく感覚があると思います。また、フィニッシュの体勢ががとても立っています。多くの日本人ゴルファーはプロ選手であっても、もっとからだを逆Cの字に反っています。
スポーツや武道(武術)を左右の自然体で考えると面白い。左足・左肩が前でるのが「左自然体」、右足・右肩が前にでると「右自然体」という。武術の流派によっては「半身」という場合もある。ただし、一般的には「半身」という場合には、自然体よりもさらにからだを開くことが多いようだ。
スポーツと武道(武術)の違いは、思想性にあるのではなく、動作性にもある。スポーツはからだを前方に押し出す(進める)ことが主動作であり、武道(武術)の動作特性はからだを止める、または引くことにある。
写真は、嘉納治五郎先生と三船久蔵先生である。確認したわけではないが柔術の型だと思われる(情報をお持ちの方はお知らせください)。右自然体だ。古流柔術の型はほとんど右自然体の構えらしい。
批判を覚悟で大雑把に言えば、スポーツは左自然体、武道(武術)は右自然体ということになる。現代のしな打ち剣道は、打突後からだを前方に進める。これは、明治期から大正期にかけて構築された新しい動作性である。この意味からも、現代剣道はスポーツ化している。競技化だけがスポーツ化ではない。
このように検討してくると、剣道の中段の構え(右自然体)は現代剣道の動作性とは矛盾している。左自然体が合理的であるはずだ。以前、左上段が全盛期であった。ルール改正により左上段の剣士は激減したのだが、現代剣道の動作性から鑑みれば、左自然体を主体とした左上段は合理的であったことになる。
そこで、昨年から左の片踏み歩行で基礎をつくり、左自然体の構え(中段)を試みたところ「歩み足」の剣道が出現した(常歩剣道のコーナー)。
スポーツの動作も、左右自然体としてみると分かりやすい。
「2軸感覚スイング」でお馴染みの浜田節夫プロが本年度の「ティーチングプロ選手権シニアの部」ファイナルラウンドで優勝しました。ファイナルラウンドは、14日、JFE瀬戸内海GC(岡山)にて開催されました。
試合後、浜田プロからお電話をいただき、優勝を喜び合いました。「2軸感覚スイング」については、「とにかく方向性がいい」と語っておられました。今年はPGAのシニアツアーにも参戦されています。更なるご活躍を祈念します。
優勝のようすは、日本プロゴルフ協会のHPでもご覧いただけます。
プレーオフ後、徳永雅洋プロと握手する浜田プロ。副賞は「VAAM1年分」。
7年前より二軸動作(常歩)をトレーニングに取り入れて成果をあげられている大阪市立桜宮高等学校教諭(同陸上競技部監督)の山本幸治先生が、これまでの実践の一部をまとめられました。このたび、当研究所HPに投稿していただきました。
(上記タイトルをクリックしてください。PDFによりご覧いただけます)
山本先生によれば、「字数等の制限があり、これまでの実践のほんの一部しかまとめられなかった。」とのことですが、先生の真摯な取り組みと情熱が伝わってきます。
日 時 平成22年12月19日(日) 14時〜17時
内 容 「スポーツと左右」
講 師 小山田良治(五体治療院)
場 所 聖トマス大学セミナーハウス
(http://www.st.thomas.ac.jp/other/access.html)
兵庫県尼崎市若王寺2丁目18−1
二軸動作の基礎にして真髄・・・身体の左右と動き・スポーツについて、小山田良治氏に語っていただきます。ぜひ、お越しください。講習料は無料。
第7回身体開発研究会(12月19日)は無事終了しました。ありがとうございました。
久しぶりに内容に引き込まれる本を読んだ。「BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”」
著者のクリストファー・マクドゥーガルは、市民ランナーである。一つの疑問、「どうして私たちの足は走ると痛むのか?」から冒険がはじまる。
メキシコの山地に住む「走る民族」タラウラマ族に行き着く。タマウラマ族とは、ワラッチという日本の草鞋に酷似した履物をはいて、何時間も走ることができる。
それらの過程で分かったこと・・それは、わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ・・と言うことだった。
本書には衝撃的なデータが紹介されている。例えば、高級マラソンシューズを履くランナーは、安価なシューズのランナーに比べて、怪我をする確率が123%も多い。これは、あるロードレース4358人を分析した結果だ。
また、ある実験ではやわらかい(クッション性のある)シューズを履いた場合と硬いシューズを履いた場合では、衝撃力にはなんの違いもないことが判明したとある。さらに、「垂直床反力における第2の、すなわち推進力のピーク値は柔らかいシューズのほうが高い」というデータも紹介されている。これは、シューズのクッション性が高いほど、足が保護されていないことを意味している。人間は、クッション性のあるシューズを履くと、無意識のうちに安定性(バランス)を求めて強く足をたたきつける傾向にあるらしい。
さらに、ヒトの解剖学的分析から、私たちのからだは長く走るために進化したとする研究者の推論を紹介している。例えば、あまり知られていないヒトにもある「項じん帯」、これは他の哺乳類では犬、馬など走る動物だけが持つ。走らない動物にはない。走るときに頭の安定を保つためだ。また、アキレス腱も同様に走る動物にしかない。走ることができないチンパンジーにはアキレス腱がない。これらは、ヒトが走るために進化した証拠ではないかと研究者達は推測する。
では、なぜヒトは走るために進化したのか。それは、狩猟形態だ。狩猟民族の歴史をたどると、かれらは200万年の間、素手で狩猟していたことになるらしい。その方法とは、走ること。長く走ることによって、獲物を動くことができない状態に追い込んでいたのではないか。
とにかく興味深い内容が続きます。
先日、小田先生(京都大学)より、福田選手が一軍に登録された・・という連絡が入りました。 福田選手については昨年、記事を書きました。ご一読ください。
日本人の女性、特に若い女性の多くは、立位でつま先を内側に向けて立っています。女性向け雑誌などで「かわいい立ち方」とか「かわいい座り方」などの特集が組まれることもあるようです。
ある調査によれば、これらの立ち方はアジアでも日本人女性が最も顕著だそうです。
先日、小学校5年生の女の子(知人)の脚をみて驚きました。股関節が内旋傾向が著しいのです。
本人に了解を得て写真を撮らせてもらいました。左の写真をご覧ください。両足をそろえつま先の向きを正面にしてもらいました。膝の向きに注目しください。内側に向いています。特に左の膝関節は45度内側を向いています。
股関節が内旋で固まり、両膝がつかないO脚です。股関節内旋が原因による0脚は非常に多いようです。
後日、彼女にいつもどんな座りをしているのか聞きました。「ぺちゃんこ座り」です。この子の股関節内旋の原因はこの座り方だと思われます。
股関節が内旋で固まれば、外旋が使えないだけではなく、膝の屈曲も動きとして著しく制限されます。日本人の女性の脚が心配だ〜〜〜〜〜。
読売新聞の連載「サッカーの科学」で、中村泰介先生(聖トマス大学)が空中戦の強さについて説明しておられます。
ヘディングの強さで定評がある今野選手は「体の強さ、大きさはあまり関係ない。ポジショニング、跳ぶタイミング、落下点を予測する能力が必要」と語っているらしい。
中村先生は、「ボールにタッチできる位置を確保するため、相手より前に陣取り、早く跳ぶこと。そして腕を広げて相手がジャンプする空間をなくすことが大事。それには、ボールの落下地点を予測する空間認知能力が求められる」と解説しています。。
相手より早く跳ぶことによって「結果的に相手に乗っかるような動きが有効」といい、「腕を使って相手の体を押さえつけると、反則をとられる危険性もある。早く跳んで空間を先取りすれば、その後に跳ぶ相手選手に乗るような形になり、反則にならない」と説明しておられます。
日本代表選手の平均身長は178・78センチで、2002年大会とほぼ同じです。日本サッカー協会によると、ある方法で測定した当時の選手のジャンプの高さは平均49・4センチで、フランス代表と比べ、身長とジャンプを合わせた高さは12センチ低かったそうです。
ただ、単純な高さで決まらないのが空中戦の面白さです。
この動画をご覧ください。大日本剣道形の演武です。左は中山博道先生、右は高野佐三郎先生です。お二人とも昭和(戦前)を代表する剣聖(達人)です。剣道形は「歩み足」が主体なのです。
先日より、剣道の左右自然体や足さばきについての記事を掲載したのですが、西海堂さんより、これまで(以前)地元の剣道連盟誌にご投稿された文章を送っていただきました。興味深い内容が随所に含まれておりましたので、その一部を抜粋し皆さんに紹介することにいたしました。
是非ご覧ください。⇒ 「西海堂雑記−剣道「歩み足」のすすめ−」
(投稿レポートコーナーからもご覧いただけます。)
放課後の体育館、カメルーンからの留学生が3ポイントシュートの練習を繰り返していました。
彼については「留学生対決」や「留学生(カメルーン)の骨盤」など記事を掲載してきました。
彼からは色々なことを学ばせていただいていますが、なんと言っても骨格の違いは歴然としています。
左の写真はシュートする直前の姿勢です。見事な骨盤の前傾姿勢です。
これだけ骨格が違うと動作習得法そのものが異なると思います。
彼はサッカーも大好き。私が近づいていきますと、「先生、韓国に負けたね〜〜〜」
6月14日(月)はサッカーワールドカップの初戦、日本対カメルーン戦。彼は、半年前から「カメルーンが3対1勝つ」と宣言しています。
ゲームはやってみなければわからない(笑)。岡田監督と日本選手の健闘を祈ります。
昨日(29日)、織田記念陸上(広島ビッグアーチ)で、福島千里選手(21=北海道ハイテクAC)が女子100メートルで自身の持つ日本記録を0秒03更新する11秒21で3連覇を達成しました。
今冬に肉体改造を行いパワーアップし48キロだった体重を50キロまで増加させたとのことです。
福島選手の特徴の一つは、右腕の振り方にあります。ちょうど分かりやすい写真(読売新聞より)を見つけました。右腕を内旋させながら大きく右へ振ります。そして、前方へは外旋させます。右方向に肘を伸展させながら大きく振っています。
この腕振り、実は女子選手のトップには多くみられるようになっています。昨年、奈良インターハイの陸上競技を観戦しましたが、陸上関係者の方によると、この腕振りを取り入れる指導者も増えてきているそうです。
前進するには、左右の重心移動も必要だということかもしれません。
(2008年日本選手権決勝)
プロ野球のペナントレースも開幕から一ヶ月。セリーグではジャイアンツが首位を固めつつあるようですが、最近、プロ選手の中でも「ツイスト打法」というのが話題になっているようです。
動画をご覧ください。からだの開きを押さえるために「腰を逆にまわる(まわす)」そうです。さて、なぜこのような動きになるのでしょうか。
ツイストは、無意識のうちに出る動きです。実は、サッカーのキックでもあらわれます。例えば、中村俊輔選手のフリーキックは、頻繁にツイストがみられます。しかし、TVのインタビューで「腰をできるだけ右回りにまわすようにしている・・・」と語っています。 逆に腰を回転させる意識は皆無だと思います。
「動きは、そうなるのであって、そうするのではない。」
野球でツイストがあらわれるといわれる、阿部選手、イチロー選手、小笠原選手、サッカーの中村選手・・・・・共通しているのは「左」だということ。つまり、時計まわ回り(右まわり)の回転のときにあらわれる動きなのです。
ツイストは動きを知るにはいい題材です。
馬の歩様は一般に「常歩(ウォーク)」・「速足(トロット)」・「駆歩(キャンター)」・「襲歩(ギャロップ)」の4種類といわれています。
しかし、実際には6種類とも8種類ともいわれているようです。
左は馬の「側対歩」 (WIKIPEDIAより)。「速足」は対角線の前後肢が同方向に動く、しかし「側対歩」は同側の前後肢が同方向に動くのです。
日本に伝わる馬術では、この「側対歩」が重宝されたようだ。上下動がないので馬上で安定したといわれている。
動物で言うと「ラクダ」は「側対歩」であるくことで有名。
「側対歩」は「常歩」の変形(応用)とも考えられる。しかし、「常歩」より速い・・・・・。
ユーチューブで動画を見つけました。
馬の「側対歩」を考察すると、「順回転の常歩」も重要であると思います。
現在、私たちが紹介しているのは肩が側方から見るとタイヤが逆に回るように動く「逆回転の常歩」、しかしその逆の「順回転の常歩」もあるのです。
トップスピードの連続動作を身につけるならば「逆回転の常歩」が有効、しかし日本の武術(武道)のように動と静を繰り返す動きには「順回転の常歩」が必要に思えてきました。
昨年(2009)の世界陸上でまたまた100Mの世界記録を塗り替えたボルト選手。彼の走りについて、ベースボールマガジン社の陸上競技クリニック(vol6)に貴重なデータが掲載されています。そして、元400mハードラーの山崎一彦氏(福岡大)が、左右非対称があたりまえ、という記事を書いておられます。
9秒58(世界陸上ベルリン大会)のボルト選手の40歩のピッチとストライドの全データがグラフになってでています。(JISSの松尾氏の分析)。
最初の左右合計10歩(最初の10歩)までは、右足のピッチが(右着地から左着地まで)4.5から4.7歩(毎秒)で、左足(左足着地から右足着地まで)が3.8歩(毎秒)から始まり、だんだん速くなり右足のピッチにトータル10歩目で追いつきます。ここまでで3秒かかっています。
そのあとの17歩(最初から言うと27歩目まで)が、左右足とも4.5歩毎秒をキープします。最後の13歩ですが、あいかわらず最後までボルトの右ピッチは、4.5歩(毎秒)をキープ、ところが左ピッチは、ゴールにむかって徐々に低下し4.25歩(毎秒)くらいまで下がっています。
ストライドは、8歩まで急激に伸びてゆきます。1歩目が1mの歩幅で、8歩目が2m35cmくらいまで直線的に伸びていきます。その後、17歩目まで、右左とも徐々にストライドが2.35mから2.75mまで伸びてゆきます。
最後の13歩ですが、ピッチをキープする右足から左足までのストライドは、ほんのわずかにストライドを縮めて2.6mくらいを維持します。ピッチを急激に落とす左足から右足のストライドは2.9mくらいまで伸びてゆきます。
文章では分かりずらいのですがイメージしてみてください。私はピッチの変化に注目しました。
スタートからゴールまで、右のピッチ(右から左)は4.5~4.6歩(毎秒)であるのに対し、左のピッチ(左から右)は3.8~4.5歩と幅があります。このことは何を意味しているかというと、左に重心(基準)があるために、左から右へのピッチが変化するのだと考えます。
右のピッチに変化がないのは、左基準であるために右から左に自然に(自重を利用して)もどっているためと思われます。
左のピッチに変化があるのは、左基準ですから自在にピッチを調整できるからだとしているからだと思われます。これは走動作だけではなくて、ピッチが変化している側(この場合は左)に基準があるという共通点があるのではないかと考えられます。
他の選手のデータが分かりませんのでなんともいえませんが、ボルト選手は本来200Mが得意ですから、このようなデータが明確にでたのかもしれません。
それにしても、左右の違いがデータとして注目されたことは画期的なことだと思います。
先日、気になる論文がネイチャーに掲載されたらしい・・・。
シューズを履いたランナーの4分の3はかかとから接地する。しかし、裸足のランナーは、圧倒的多数がかかと接地せず、拇指球やそのやや外側で接地しているらしい。かかとを接地させない走りは、足(脚)への衝撃回避になると報告されています。
最近、フォアフット(ストライク)走法を提唱している方々も多い。足の接地をかかとではなく、フォアフット(前足部)にするというもの。それによって膝・足関節などへの衝撃がやわらげられるというものです。
フォアフットとヒールコンタクトとどちらがいいのか?というような論争にもなってるようです。
なんで、どちらかに決めたがるのかな〜〜、というのが私の感想。
正しい歩き方や動き方などない・・・、という理由と同じで正しい接地方法などない、と思われます。
正しいか正しくないか・・と考えると動きは難しくなる。その人(選手)に適している(合っている)か適していないか・・・。
足・膝・股関節が合理的に機能すれば、かかと接地が有効。接地と同時か直後、足関節が背屈(屈曲)し膝関節が前方に送り込まれることができれば、かかと接地が可能となります。
足関節と膝関節の屈曲は、股関節の外旋が条件となりますので、やはり常歩の外旋ストレッチが大切。
股関節の内旋傾向が強い方は、かかと接地はブレーキになると感じるのかもしれません。フォアフット走法の方が動きやすいと感じると思います。
裸足のランナーといえば、オリンピックローマ・東京の両大会で金メダルを獲得した故アベベ選手、ユーチューブで動画を見つけました。
アベベ選手は、典型的なヒールコンタクトのフラット走法です。動画の一コマを抜いてみました。右足接地の直前です。
ヒールコンタクトとフラット走法を分けてとらえるのは乱暴。ヒールコンタクトで全身が上手く機能すればフラット走法に・・・・。
走動作で速度が上がっていけば、接地時間が短くなり、また体幹が前傾すればヒールコンタクトしなくなる傾向があります。しかし、その場合も前頸骨筋とハムストリングの収縮による膝の送り込みと体幹の乗り込みが重要。
そのようにとらえると、かかと接地は一つの象徴的(客観的)な事象で、総合的な身体動作の中で考える必要があります。
そして、もう一つ足部の接地方法と関係がある重要な事項があります。それは・・・足部の骨のアライメントです。
特に「踵骨(しょうこつ)」と「距骨」の位置関係は重要です。
↓
私たちは「屈曲(感覚)で動く」ことが合理的動作につながると考えています。しかし、その動きやイメージがつかめない人が多いようです。
その最も大きな要因は「はきもの」。かかとが高い「はきもの」を、幼少時から履いてきた若者に、この「屈曲感覚」を伝えるのは容易ではありません。
上の写真は「足半(あしなか)」という「はきもの」。戦国時代は武士は日常的にはいていたようです。江戸時代になると農作業などでも使用されたらしい。草履(ぞうり)に似ていますが、かかとの部分がありません。
かなり前から、その「足半」を模したサンダル(健康のためのサンダル)が販売されるようになりました。以前は、「かかとが着かない」というようなコンセプトだったようですが、最近では「足のゆびとかかとが地面につく」というように変化してきています。
まさしく、屈曲感覚で履く「はきもの」だと思います。この足半については、神戸大学大学院の高橋昌明教授が「日本人の歩き方」として投稿されています。是非、ご覧ください。
常歩(なみあし)研究会が提唱してきた「垂直感覚⇒体幹を垂直に立てる感覚」をさらに発展させた水平感覚。
武術などでは、「頭部を傾けない」という教えが残っているようです。「五輪の書」(宮本武蔵著)では「鼻筋を直にして、少し頤(おとがい)を出す心なり」とあります。頤(おとがい)とはあごのこと。「鼻筋をまっすぐにたてて、すこしあごを出す感覚」というわけです。
また、中国武術とくに太極拳では「二目平視」という教えがあります。常に両目が水平になること。
日本では「目を水平にする」という教えはほとんど聞きません。日本では縦(垂直方向)、中国では横(水平方向)の感覚が強いのかもしれません。
この水平感覚は、視覚だけではなく平衡感覚にも関係すると思われ、身体動作において絶対感覚を生み出すと考えられます。
下の写真は、このHPでも何度もご紹介した和歌山さんのコーナーリング。両目のラインに注目。
足底屋日記(水口さんのブログ)に気になる記事が・・・・・・。
クロスカントリーのお話しです。
上の二つの写真、左が日本選手、右が外国人選手。日本人選手は軸足に乗り込むことを教わるそうです。左右に乗り込むことで進もうとします
しかし、外国のトップ選手は乗り込むのではなく、軸足に(体幹を)寄せていく。そのことで遊脚側の骨盤が下がり、左右の重心移動がスムーズになります。
左の日本人選手はニーイントウアウト、つまり足先の方向より膝が内側に入りすぎています。
水口氏によれば
軸足側のアライメントがくずれたまま中心軸が乗り込んでしまっているので、制動が必ずうまれる。足元には「踏みしめる」ような感覚があるはず。
日本人選手がよく言うのは「パワーの差」しかし、実は物事を効率的に運ぼうとする欧米の感覚は動作の一つをとっても浸透しているのかもしれない。 いわゆる「力感」が大好きな日本人は「踏みしめて!蹴る!」みたいな随意的な動作の概念から脱却しきれていないような気がする。
とのことです。