「常歩(なみあし)・二軸動作」を基礎から学べるネット講座です。

 現在、ネット上などに「常歩(なみあし)・二軸動作」の情報が氾濫しています。それらを、断片的にご覧になっておられる方も多いと思います。歩(なみあし)無限☆驚異のスポーツ上達法講座」では、常歩(なみあし)・二軸動作を基礎から学べるように、順序良く配列しました。

第1章 常歩(なみあし)・二軸動作の基礎知識  ⇒ 7項目

第2章 常歩(なみあし)・二軸動作の身体操作  ⇒ 8項目

第3章 常歩(なみあし)・二軸動作の身体感覚  ⇒  5項目 

第4章 トレーニング(からだづくり・動きづくり)   ⇒  20項目以上

 (トレーニングは、動画でご覧いただけます) 

  新規受講者の皆様には、2010年9月行なわれました「石田カイロ常歩(なみあし)勉強会」の動画ファイルをプレゼントしております。2日間、約6時間行なわれました勉強会のようすが、ほとんどノーカットで収録されています。 

 常歩身体研究所のネット通信講座は、ネット講座配信会社「ナレッジサーブ」のシステムを利用させていただき配信しております。

 第1章はナレッジサーブのサイトから「お試し受講」していただけますが、このページにも、第1章すべてと第4章の「四股スクワット」の動画をご覧いただけるようにいたしました。

「常歩(なみあし)無限〜驚異のスポーツ上達法講座」は、常歩(なみあし)・二軸動作を基礎から学べるように順序良く配列しています。
第1章 常歩(なみあし)・二軸動作の基礎知識
第1節 はじめに
第2節 常歩(なみあし)事始め
第3節 ナンバの誤解
第4節 中心軸と二軸
第5節 荷重と抜重
第6節 常歩・二軸動作とは

第2章 常歩(なみあし)・二軸動作の身体操作
第1節 外旋で立つ
第2節 骨盤を立てる
第3節 股関節を抜く
第4節 踵(かかと)を踏む
第5節 膝を抜く
第6節 肩甲骨の外放と上腕の外旋
第7節 おとがいを出す
第8節 からだと左右

第3章 常歩(なみあし)・二軸動作の身体感覚
第1節 二軸感覚
第2節 同側感覚
第3節 アウトエッジ感覚
第4節 またぎ(遊脚)感覚
第5節 水平感覚

第4章 トレーニング(からだづくり・動きづくり)
第1節 骨盤を前傾させよう
第2節 左右の股関節にのる 
第3節 股関節の外旋ストレッチ(1)
第4節 股関節の外旋ストレッチ(2) 
第5節 股関節の外旋ストレッチ(3)
第6節 四股を踏もう(1)
第7節 四股を踏もう(2)
第8節 垂直感覚を身につけよう
第9節 常歩(なみあし)LSD
第10節 骨盤歩
第11節 アヒル歩き
第12節 順回転常歩歩行(1) 
第13節 順回転常歩歩行(2)
第14節 逆回転常歩(なみあし)歩行(1)
第15節 逆回転常歩(なみあし)歩行(2)
第16節 膝抜き歩行(1)
第17節 膝抜き歩行(2)
第18節 相撲の押し(突き)動作
第19節 すりあしに挑戦
第20節 踵ふみと膝抜きトレーニング(1)
第21節 踵ふみと膝抜きトレーニング(2)
第22節 踵ふみと膝抜きトレーニング(3)
第23節 肩甲帯のストレッチ(1)
第24節 肩甲帯のストレッチ(2)
第25節 上腕の外旋トレーニング 
第26節 ホッピングトレーニング
第27節 抜重トレーニング 
第28節 日常で強くなる

 第1章 常歩(なみあし)・二軸動作の基礎知識」をお試し受講していただけます。是非、ご覧ください。そして、最後に第4章「四股スクワット」の動画を見ていただきます。

2007年01月01日

 
ネット講座「常歩(なみあし)無限☆驚異のスポーツ上達法講座」へ、ようこそいらっしゃいました。


ビデオでも、お話しさせていただきましたが、二軸・常歩(なみあし)は、2003年に公開されました。その後、多くのアスリート・スポーツ選手・コーチ・指導者などの方々のお役に立てたと自負しております。多くの関連図書も発刊されております。
⇒ 
http://www.namiashi.net/category/1257085.html


以前より、講習会やセミナーなど開催はしないのか、というお問い合わせをたくさんいただいてきました。
これまで多くの二軸・常歩(なみあし)関連の講習会などが開催されましたが、私たちが主催したものは一つもありません。他団体で開催していただいた講習会などに講師として出席させていただいてきました。 


現在、多くの二軸・常歩に関する情報がネット上に氾濫しています。みなさんは、それらを断片的にごらんになっていることと思います。
そして、混乱されて何からはじめていいのかわからなくなっておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。


この講座では、二軸・常歩を習得するためにその知識やトレーニングを順序良く配列いたします。


常歩(なみあし)・二軸動作を学ぼうとされる方で、なかなか習得できない方々に共通しているのは、動きを習得しようとされることです。
動きは、それが可能な「からだ」をつくれば自然と出てきます。


「動作はそうなるのであって、そうするのではない」
のです。


急がずに、ゆっくり進んでください。さあ、私たちと常歩(なみあし)の旅を開始しましょう。 

事始めとは、物事の始まりとか新しくはじめることという意味があります。

ご存知の方々が多いと思いますが、常歩・二軸動作は、小田伸午(当時・京都大学)・小山田良治(五体治療院)・木寺英史(当時・久留米工業高等専門学校)の3名が知りあったことで生まれました。 


全く異なる分野で活動をしていた3人が出会うきっかけはインターネットです。お互いのHPなどに書き込むことからメールを交換するようになったのです。それまで3人は、分野は違いますが共通する問題意識(課題)をかかえていたのです。 


それは、からだの右と左です。 

 

私(木寺)は剣道の構えや動きから、小田伸午先生は研究から、小山田さんは治療法から、それぞれからだの左右に着目していたのです。 

からだの左右について剣道のお話をすこしします。 

私は、中学時代から剣道部に所属しましたが、そのころから剣道に関して様々な疑問が湧いてきました。 

当時の一番大きな疑問は、 


剣道の中段の構えは、なぜ右足が前で左足が後ろなのだろう 


ということでした。 

 

皆さんも考えてみてください。剣道経験者であれば一度は不思議に思うことです。剣道を始めると右利き・左利きに関係なく右足前、左足後ろの右自然体で構えを習います。逆の構えはありません。初心者で逆(左自然体)の構えをしていたら、すぐに先生になおされます。 

江戸時代末期には、300から400の剣道(剣術)の流派があったと言われていますが、逆(左自然体)の構えは存在しません。不思議だとは思いませんか。 

この事実は、私たちのからだが左右対称ではないことを示しています。からだの左右に何か法則があるから右自然体なのです。 

剣道に疑問を持った私は、その基礎となる江戸時代までの姿勢歩きついて調べだしました。しかし、日常的に無意識に出現している姿勢歩きについての文献は驚くほど少なかったのです。 

そこでインターネットを活用することを考えたのです。 

平成8年(1996年)、当時勤務していた久留米工業高等専門学校でも、コンピューターでインターネットに接続できるようになり、剣紫堂というHPを開設しました。その中に、姿勢歩きについての記事を掲載しました。 

インターネットが普及するにしたがって、徐々に様々な情報が寄せられるようになりました。 

そのような中で、平成12年(2000年)7月、小田伸午先生より次のようなメールをいただきました。
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木寺様 

 なんばについて興味を持ってまして、なんばで検索しましたら、貴殿のページに行き着きました。私は、京都大学の総合人間学部というところにおりまして、体育と運動科学を教えています。バイオメカ二クスなどの身体運動動作の客観分析と、運動者の主観的把握(感覚的把握)の間の「ずれ」を研究しています。研究と様々な運動選手の感覚論をつきあわせて、両者の翻訳を試みています。 (中略) 

 剣道の動きは、なんばとみるか、否かについても大変興味があります。このあたり、体幹をしなやかにアーチ状にさせて、身体重心を接地足にスムーズに体重移動をはかってゆくターンオーバー走歩行の基本と共通点があると感じました。剣道は素人ですが、なんば系の動きと見たほうが、その後の上達度が大きいのではないかと想像します。 

 身体重心を接地足にスムーズに乗せて体重移動をはかってゆく走歩行運動をめざしていますが(ターンオーバー走歩行)、なんば歩行を毎日続けていると、人類はもともと基本的な運動形態がなんば系の動きではなかったかと思えてきます。 

*********************************** 

 

私は次のような返信をしました。 

*********************************** 

 


小田先生 

 メールをいただいて光栄です。私は剣道が専門ですが、高専に採用になり9年目になります。自分の拙い考えを少しずつ整理しているところです。 

 なんばについては、現代剣道の技術特性を考察しているうちに行き着きました。しかし、私自身、なんばがどのような運動をいうのか理解しきれないでいます。剣道の動作をみると、確かになんばに近い動作をする方と、普通の歩行に近い動作をされる方とに分かれます。どちらが剣道に適しているのかは判断しかねます。 

 また、剣道の打突動作において、骨盤の縦・横の回転とそれにともなう胴体の動きから、上肢・下肢に動きを伝える方法があることがわかってきました。しかし、これも暗中模索といったところです。

 意見交換というよりも、様々な課題についてご教授いただければと存じます。よろしくお願いします。

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さらに、小山田良治氏からもメールをいただきました。

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木寺先生

 はじめまして、小山田です。よろしくお願いいたします。私の出身は福岡県で須恵町に実家があります。小田先生より、なんばのお話を聞き、「なんば症候群」に侵されております。現在、世界誠道空手道連盟に属しており、空手の移動等にもなんばを意識して稽古に励んでおります。

 私の師匠で祖父でもある、小山田秀雄は柔術・剣術の経験者でありましたので幼いころより武道系の話をいろいろ聞かされておりました。なんばを知ることで人間の自然動作(動物的動作)を知ることができると思っております。よろしくお願いいたします。

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皆さん、すでにご存知のように、小山田氏は、愛知県小牧市でスポーツマッサージ五体治療院を開院され、競輪選手、Jリーガー、プロ野球選手など多くのスポーツマンに治療とトレーニングの指導をされています。このようなメールのやり取りからで意見交換がはじまりました。多い月には、200通前後のメールを交わします。ざっと計算しても、20000通は超えています。

ナンバの検討からはじまったメール交換ですが、徐々にその本質がわかってきました。一般的なナンバは誤解されて伝わっている場合が多いのです。

よく、ナンバ・常歩という表現がされますが、一般的なナンバのとらえ方をされていると、常歩・二軸動作は全くわからなくなると思います。

次回は、ナンバを正しく理解することからはじめましょう。

この講座を受講されている方ならば、ナンバについてご存知だろうと思います。ナンバ・常歩などを言われますように、常歩・二軸動作ナンバと同じものであるとか、ナンバの一種であると理解されている方もおられるようです。まず、下のビデオをご覧ください。



ビデオでもご説明しましたように、ナンバとは、

1、           ナンバとは右足が出るときに右手が出るような同側の手足が前にでる  歩き方のことである。 

2、           ナンバとは、左右の半身(はんみ)を繰り返す歩き方である。 

3、           ナンバとは、胴体(からだ)をねじらない歩き方である。 


と、とらえられています。
 

すでにナンバ歩きナンバ走りというような用語が使われていますので、その意味では間違いであるとは言い切れませんが、ナンバはもともと歩行や走行のような連続動作ではありません。 


上の3項目のようなイメージを連続動作としてもたれているとすれば、常歩・二軸動作の習得には妨げになるかもしれません。 


少し乱暴な言い方になりますが、常歩・二軸動作を理解し習得するためには、 


これまでのナンバのイメージを忘れていただきたいのです。 


そのためにこの節を設けました。 


これまでもっているナンバのイメージを払拭していただくために、しばらくお付き合いください。 


私たちがイメージしていたナンバは、武智鉄二氏(歌舞伎や映画の演出家、評論家)が「演劇伝統論」(1975)や「舞踊の芸」(東京書籍・1985)で紹介したものです。 


その後、「身体の零度」(三浦雅士著・講談社・1996)や「身振りとしぐさの人類学」(野村雅一著・中公新書・1996)によって引き継がれました。これらの著書をお読みの方は多いかもしれません。 


すこし、彼らのナンバ論をのぞいてみましょう。 


昔の日本人は行進ができなかったらしいとう説があります。武智氏は、日本の農民にはもともと集団的歩行の行動がなかっただけでなく、日本人が行進ができなかった理由はその歩き方がナンバであったためとし、さらに 


百姓一揆でもむしろ旗をかかげて、ぞろぞろ足をひきずりながら、歩いたものだったに違いない。ぞろぞろ足をひきずり歩く行動が、武芸的に昇華されると、撃剣などのツギアシ(摺足の一種)になるので、同時に剣道があくまで個人技であることの理由も、根を尋ねれば、農民の生産方式における孤独の労働という性格に戻っていく。(「演劇伝統論」)  


これだけでは、わかりにくいですね。 


三浦雅士氏は「身体の零度」において、 


ナンバというのは、あるいは説明するまでもないかもしれないが、簡単にいえば、右足と同時に右手が出、左足と同時に左手が出る歩き方である。
二、三十年前までは、小学校の運動会などに必ずこういう動作をするものが二、三人はいた。整列行進などで、緊張のあまり、習ったとおりの歩行ができなくなるのである。他の児童が右手を出したところで左手を出してしまうから、前の児童の左手とぶつかってしまう。 


と述べています。 


江戸時代までの日本人がそのような歩き方をしていた根拠として浮世絵がよくあげられます。江戸時代の浮世絵には同側の手足が前にでて歩いている人間の姿が多く描かれています。 

また、ナンバ歩きについて、同側の手足が同時に前にでると理解している方の中には、具体的には左右の半身を繰り返すと考えている方が多いようです。武智氏は「舞踊の芸」で左右の半身を繰り返すことを詳細に説明しています。


 ナンバの姿勢を説明するときに、よく、右足が出るとき右手も前にだす、というように説明される。しかし、これは正確ではない。日本民族のような農耕民族の労働は、常に単え身でなされるから、したがって歩行の時にもその基本姿勢を崩さず、右足が前へ出るときは、右肩が前へ出、極端に言えば、右半身全部が前へ出るのである。
 しかし、このような歩行は、全身が左右交互にむだにゆれて、むだなエ不ルギーを浪費することになるので、生産労働の建て前上好ましくない。そこで腰を入れて、腰から下だけが前進するようにし、上体はただ腰の上に乗っかって、いわば運搬されるような形になる。能の芸の基本になる運歩もこのようにしてなされるのであって、名人芸では上体は絶対に揺れることがない。
 ただし、日常行動では能ほど厳格でなくてもよいので、上半身の揺れを最小限にとどめる程度であるかもしれない。この場合、右足が出たときには右肩も少し出るが、背筋をしっかり伸ばして、背筋の力で肩の揺れを留め、エネルギーのロスを最小限とするように心がける。
 

さて、ナンバに関する武智論を見てきましたが、いかがでしょうか、納得されたでしょうか。


これら武智鉄二氏やその後のナンバの解釈の影響で、ナンバは「同側の手足が前に出る」とか「左右の肩を入れかえて歩く」というように理解されて広まったのです。


しかし、これらの解釈は明らかに誤解です。この誤解にきづいたことが、常歩(なみあし)・二軸動作をつくりだす要因になりました。


常歩・二軸動作
は、これまで言われてきたナンバとは全く異なるイメージ(感覚)の動きです。ナンバのイメージを持っておられる方は、まず、それを忘れて常歩・二軸動作に取り組んでみてください。新たな動作が生まれると思います。

 


それではいよいよ、中心軸二軸について学びましょう。

 

 


2003年ごろから私たちは、常歩・二軸動作を提唱していますが、中心軸二軸に関してはおおかた二つの意味で使われています。一つは動作を語ったり理解したりするときに動きの基準として考える中心軸二軸です。 

 

 


もう一つは、実際に私たちが動くときに感じる感覚としての軸、つまり軸感覚です。 


軸感覚(中心軸感覚・二軸感覚については、おって触れることにして、ここでは動きの基準(動きの考え方)としての中心軸二軸についてお話ししましょう。 

 


日ごろ、身体の軸など考えたことがない人でも、「あなたの身体の軸はどこにありますか」と聞かれたらほとんどの方が頭の上から両足の中心を結ぶ線(軸)を想像すると思います。 

 


この身体を串刺しにした想像上の線を中心軸ということにします。 

 


ヒトは四足歩行から二足歩行になったと考えられています。そのとき、歩くことより、まず立つということが優先されたと思われます。歩くことの前に上手に立つことを覚えなければなりません。 

 


これは赤ちゃんが立ち上がって歩き出すときと同じです。 

 

伝い歩きしていた赤ちゃんが、両手を離して歩き出すときもまずバランスをとり(立ち)、そして歩き出します。 

 


立っているときに、私たちの身体の重心は、おへそあたりの体の中にあります。その重心から地面に垂線を下ろし、その交点が両足がつくる支持面の内側にあれば倒れません。そして、最も安定して立つというのは、支持面の真ん中(中央)に垂線が落ちる場合です。 


私たちは無意識に重心から両足の中央を通るラインを感じることになります。これが中心軸です。 

 


つまり、私たちが無意識のうちに感じている中心軸とは動くための基準ではなく、安定して立つための基準なのです。

さて、中心軸が立つ(静止する)ための基準であることを確認して、動作を考えてみましょう。

ここでは、動作のなかで最も基本的な走歩行を例に考えます。 

 

中心軸を基準としたまま、走歩行するとどのような動きになるでしょうか。中心軸を基準としたまま体を前へ進めようとすれば、下肢で中心軸(体)を押し出す動きになります。さらに中心軸を保とうとしますから、振り出された足を自分の重心(中心軸)の真下に接地させようとするのです。

このときの骨盤の動きを想像してください。

振り出された脚と同側の骨盤(腰)が前方に動くように回転します。この骨盤の回転を補償するために、反対側の腕を前方にふりこんだり、肩を骨盤の回転とは逆方向に動かします。

つまり、中心軸を基準とした動作はからだ(体幹)をひねる動きになるのです。

これは、走歩行だけではなく他の動作でも同様な傾向の動きになります。 

 

それでは、二軸を基準とした走歩行を考えてみましょう。 

 

二軸とは左右軸です。中心軸を維持しながら(中心軸に重心を置いたまま)動くのではなく、からだの左右の軸に重心をうつしながら前進します。 


中心軸の走歩行が、骨盤と肩を左右交互にねじりながら足をクロスに入れる傾向があるのに対して、二軸(左右軸)での走歩行は左右の足幅(歩隔)はおよそ骨盤幅を保持したままそれぞれの足を2本のレール上を運ぶイメージです。 


それぞれの足が二直線上を進むことによって、体幹のひねりがおさえられます。中心軸での走歩行での脚と骨盤の動く方向を思い出してください。

脚と同側の骨盤はほぼ同方向に動きます。右足が前方にふり出され、左足が着地している間は骨盤の左側(左腰)が後方に動きます。

しかし、二軸での走歩行では骨盤の動きが多少異なります。左足が着地し右足がふり出されるときには、中心軸基準の走歩行ほど骨盤(左腰)が後方に動きません。

途中から骨盤(左腰)が前方へ動く場合もあります。(個人差や歩行・走行によっても多少異なります。)

つまり、着地足側の骨盤(腰)が前方へ動く力が加わるのです。この骨盤の動きによって、着地足が離地した後、すばやく前方に切りかえされます。

さらに、ここで重要な役割をするのが股関節なのです。股関節に外旋力が働くことにより、この骨盤の動きが顕著になります。(股関節の外旋や外旋位については、次章で詳細に学びます)

 

 

 

 


上のデータは2003年、奈良先端科学技術大学院大学ロボティクス講座との共同研究で通常歩行(中心軸基準)常歩歩行(二軸基準の動作分析の結果の一部です。 

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上段のグラフで、黒は腰の動き、赤は肩の動きをあらわします。通常歩行(中心軸基準)では、腰を肩はほぼ逆にひねられていますが、常歩歩行(二軸基準)では、ほぼ一致しからだ(体幹)のひねりがおさえられていることがわかりました。 

さて、中心軸二軸を基準とした動き(走歩行)についてお話してきました。 


よく、動きや走歩行を中心軸動作二軸動作と分けてしまうことは乱暴であるというご意見をいただきます。たしかに、私たちの動きをどちらかに当てはめてしまうことは不可能です。 


しかし、あらゆるスポーツや競技で中心軸二軸という概念を用いることによって、これまで不明瞭であった動きの違いが説明できるようになったことも事実です。左右への重心移動を説明することによって、合理的な動きの説明ができるようになったのです。

 

2007年01月01日

 この節では、荷重抜重についての基礎を学びます。




荷重とは、一般に、物(構造物)が外から受ける力のことをいいますが、ここでは動詞的に解釈してください。何かに重み(体重)をかけることと理解してください。スキーやスノーボードなどで、前に荷重するとか後ろに荷重するなどという場合と同じです。 

 
一方、抜重荷重の逆です。重みを抜くことです。 


ここでの荷重抜重は、体重を地面(床)にかけたり抜いたりすることを言います。 


それでは問題です。立位(立った姿勢)から素早くしゃがんで立ち上がってください。

実際に動きをしてみてください。そのときに地面(床)反力はどのように変化するでしょうか。わかりにくいときには、体重計に乗っているとイメージしてください。立位姿勢からしゃがんで立つときに体重計の針はどのように振れるでしょうか。さて、上の①〜⑥のどれが正解でしょうか。

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分かりにくかったら、実際に体重計に乗ってやってみてください。(デジタルの体重計は上手くいかないかもしれませんね。)

正解は・・・・・・・・・②です。正解しましたか。不正解でもかまいません。身体運動を専門とする方でもよく間違えます。 

 
立位姿勢からしゃがむときには、動作開始後すぐに体重計の針は低い値を示します。体は軽くなります。
その後、針は逆には振れて体重を追い越します。しゃがんでまた立ち上がろうとする切りかえしのときに最も大きな値を示します。そして、立ち上がるにつれて、針は軽い値をしめします。立ち上がりおわる直前は、ふたたび体重より軽い値を示します。 

スポーツや武道(武術)などで動くときに、私たちは荷重抜重を繰り返しています。荷重すれば、それと同じ力で地面(床)はからだを押しかえしてくれます。逆に、抜重すれば地面からの反力を減少させることができます。 

さて、合理的な身体動作をするにはどちらを利用したらいいでしょうか。

荷重ですか、それとも抜重でしょうか。荷重と答える方が多いかもしれません。現在、スポーツでは盛んに地面(床)反を利用することが言われるようになりました。つまり、瞬間的に(速く)荷重することによりその地面(床)反力を利用して動こうとするのです。ご自分の専門競技の技術を思い出してください。瞬間的な荷重による地面(床)反力の利用はあらゆる場面で使われていると思います。 

例えば、テニスなどのスプリットジャンプ(スプリットステップ)などは、この反力(他に伸張反射も使われると思います)を利用している代表的なものです。スプリットジャンプ(スプリットステップ)とは、相手がサーブのときなどに、小さくジャンプするステップのことです。小さくジャンプすることで地面に瞬間的に荷重し大きな反力をもらっています。 

それでは抜重はどうでしょう。実は、抜重することも身体運動には大きな意味があるのです。このことに多くの方は知りません。結論からいうと、抜重することによって四肢(からだの末端)がすばやく動くのです。(詳細な理由はここでは省きます)

スポーツでよくつかわれている抜重は、膝を伸展させて重心を持ち上げたところです。この節の問題の正解②で確認してください。例えば、バドミントンが上達してくると必ず重心をもちあげ、ほぼ両足が床から離れるか離れないかのタイミングで打つようになります。

また、テニスのサーブとかバスケットのフリーシュートなども、このタイミングの抜重を使います。この抜重を「立ち上がり抜重」ということにしましょう。

さて、「立ち上がり抜重」をつかう選手は多いのですが、抜重にはもうひとつのタイミングがあります。そうです。重心を落とすときの抜重です。この抜重「沈み込み抜重」といいます。 

簡単な実験をしてみましょう。立位姿勢のまま両腕をできるだけ速く前方に地面と水平になるようにあげてください。(前にならいの位置まで)

次に、膝をすばやく曲げながら同じ動作をしてみてください。

いかがでしょうか。どちらが速いですか。また、抵抗感や力感(筋肉を使っている感じ)はどうでしょう。膝をすばやく曲げた方が速く、また抵抗感や力感がないと思います。この抜重「沈み込み抜重」です。様々なスポーツの動きを観察しますと、トップ選手は例外なくこの2つの抜重を使っています。 

 
しかし、多くの選手は「立ち上がり抜重」しかつかえません。なかなか「沈み込み抜重」がつかえないのです。 


荷重
での地面(床)反力抜重での四肢の動きを上手につかうことが、合理的な身体操作の条件なのです。 


常歩・二軸動作
を習得することによって、荷重と二つの抜重がつかえるようになります。  

 

 

 


はじめて常歩・二軸動作にふれる方は、あまり急がないでゆっくり進んでください。 

 

この節では、常歩・二軸動作について整理してみたいと思います。まず、ご理解いただきたいとは、常歩・二軸動作は特別な動作法ではないということです。多くの方々が常歩・二軸動作的な動きをしています。それを、私たちが「二軸」に代表される、これまでにない表現によって、より理解したり習得することができるようになったのです。 

全く新しい動作法ではありません。このことは間違えないでください。 

しかし、その自然な動きが、様々な要因によってできなくなっている人が多いのです。 


生活習慣による「姿勢」の変化や足部に代表される骨格のアライメント異常、さらには子供のころからの動作に関する錯覚など・・・。常歩・二軸動作はそれらを正常な状態に戻す試みです。ご自分のからだに備わっている動作です。 


ここでは常歩・二軸動作「重心に移動」ということで説明してみます。ご理解が深まるかもしれません。 

 

第4節の「中心軸と二軸」を読み返してください。常歩・二軸の基礎はここに凝縮されています。 


これまで前進(からだを前に進める)するということは、重心を直線的に前方に運ぶことだとイメージされてきた方々が圧倒的に多いと思います。しかし、前進するときでも二足を使います。合理的にからだを前進させる場合は上手に左右に重心を移しかえる必要があるのです。常歩・二軸動作重心の合理的な左右移動を目指します。そして、さらには重心の上下動です。皆さんの中には重心の上下動は極力抑えなければならないと考えておられる方もいるかもしれません。しかし、「荷重と抜重」で説明したように、からだの重心を上手く上下動させることが必要なのです。 

 

この重心の上下動を上手く引き出す「身体操作」が、これから学ぶ「膝を抜く」とか「踵(かかと)を踏む」などの操作なのです。つまり、からだの重心を上手く前後・左右・上下に移動させることによって、あらわれる合理的な動作が常歩・二軸動作です。 

 

そして、さらに知っていただきたいことがあります。 


ここまでは「二軸動作」の二軸とはからだの左右軸のこととしてきました。しかし、常歩(なみあし)では、二軸はもう一つ意味があります。もう一つの二軸が「主観」「客観」です。 


もう少し、広くとらえると「可視的な要素」不可視的な要素」す。 


「見えるもの」と「見えないもの」です。 


常歩・二軸動作は武術(武道)から多くのものを学んできました。スポーツと比べると武術(武道)は「不可視的な要素」を課題にすることがとても多いのです。武術(武道)は元々相手を殺傷する術です。スポーツのように頻繁に試合をする(相手と戦う)ことはありません。負ければ命の保障はありませんから、戦う前に「見ることができない」相手の力量をはかることになります。 


剣道では「観の目」といいます。「観の目」とは見えないものをみる目です。客観的な「可視的な要素」をみる目は「見の目」といいます。武術(武道)では、当たり前のように「不可視的な要素」を主とします。「間」・「気」・「気位」・「攻め」など多くのことばが使われます。 


このような背景があるからか、日本人はとても身体の「不可視的な要素」「感覚」が鋭いようです。 

 

ある著名な選手の講演会で

日本人選手ほど感覚の話をする民族はいない。 黒人トップ選手などは、コーチから見た目の動作の指導を受けて、あとは感覚の話はしない。黒人選手に感覚の話などをしても誰もわかってくれなかった。だれも感覚をことばにする人はいなかった。われわれ日本人は、コーチとも、選手間でも感覚を研ぎ澄ますために感覚の話をする。日本が世界に通用していくに は、感覚路線でいくことが重要ではないか。

というお話を聞いたことがあります。 

常歩・二軸動作をつくりあげていく過程で、私たちは「不可視的な要素」のなかの「感覚」をクローズアップすることにしました。私たちが身体を動かすときには、理論(客観)ではなく自分の身体感覚(主観)で動いています。私も何度か動作分析の被験者になったことがあります。しかし、その結果を教えていただいても、ほとんど役に立ちませんでした。それは、動きの客観的なデータしか示されなかったからです。自分の動きがどのようになっているかは確認できます。しかし、その動きをどのようにして合理的なものの変えていけばいいのかわからないのです。自分の動きの悪弊を取りのぞいたり、合理的な動きを身に付けるためには、そのための身体感覚(主観)が必要なのです。

 

客観的(目にみえる)な動作と主観(感覚)は、車の両輪のような関係です。


ある動作を習得するとその動作に関する身体感覚があらわれてきます。また、ある身体感覚をみにつけると、それにともなう動作があらわれます。動作が感覚をつくり、感覚が動作をつくります。

 

この講座では、多くの感覚を取り上げます。これらは、私たちが選手を指導してきた経験から、常歩・二軸動作をみにつけた選手に最大公約数的にあらわれる「感覚」です。

個人差はありますが、これらの感覚を知ることで合理的な身体操作にはやく近づくことができます。

 

2007年01月01日

第6節 四股を踏もう(1)

先日までの股関節のトレーニングは順調にすすんでいますか?。小山田さんのように、開脚して体幹(上体)が床につくのが理想なのですが、この動きは柔軟性というより、からだへのが分かるとできるようになります。工夫してみてください。

さて、今回と次回は四股を踏んでみましょう。相撲では大切な稽古なのですが、二軸動作・常歩(なみあし)においても効果的なトレーニングです。

いきなり、本格的な四股は難しいので今回は「四股スクワット」をしてみましょう。まず、肩幅より広く足を左右に開いて立ってください。つま先は120度程度外を向けます。

そして、つま先の向きと膝の向きを合わせます。「四股スクワット」の準備姿勢で、ほとんどの方がつま先の向きより膝の向きが内側に入ってしまいます。

確認をしてください。無理をしていると感じたら、つま先の向きを中に入れて膝の向きにあわせてください。足(つま先と膝)の位置が決まったら両手を前に上げてください。

両腕は大きなボールを抱えるようにしてみましょう。肩の外放も同時につくれます。さて、その状態から腰をおろしていきます。ほぼ両膝のラインまで腰を下ろします。

 

動画は正面から側面へ移動していますが、骨盤が前傾したままであることを確認してください。このトレーニングは中学生や高校生でも、比較的取り組みやすいものだと思います。

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